表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/109

ゲーム最大イベントの裏側



「クックックッ・・・っ」




隣で本物のヴォルフガングが笑っている。

 

先程まで四天王から軽く殺気を飛ばされていた私だけど、乙女ゲームの話をしたら予想通り頭のおかしい女認定された。


それが面白かったのか魔王は途中で吹き出して今も笑っている。




「ヴォルフが笑う所は何度も見てるけど、魔王様がそんなに笑っているのを見るのは初めてな気がするな」


「まあ・・・、一応害の無さそうな人間だという事は分かりましたが・・・」




青紫のネルガルと黒のアドラがお腹押さえて笑っている魔王を物珍しい顔で見ている。





「あ~、笑った。やっぱりお前ら異世界人は面白いな」


「狂人扱いされて笑われた私は何も面白くないんですけど」



「クックックッ、まあそう不貞腐れるな。ゲームのシナリオとやらが真実かどうかは置いといて、オレガリオに突如現れた神の巫女とやらが魔王を滅ぼす希望の象徴と持て囃されているのは事実だぞ。カラスで情報集めたからな」


「え?知ってたの!?ヴォルフは知らなかったのに」



「俺はアイツの記憶を自由に見れる。記憶操作など簡単だ。自分が討伐されるなんて知ったらビビってまた引き篭もるのは目に見えてるからな。仕事に支障が出るから隠していた」



確かに・・・引き篭もりの前科あるものね。

四天王の4人も同時に深く頷いている。 



「でも私がシナリオ話した時は平気そうだったけど・・・」


「お前の前だから痩せ我慢してただけで、アイツめちゃくちゃビビってるぞ」


「え?そうなの?」


「ああ。───クックックッ、何でバラすんだってアイツがキレてるな。まあ、今は交代しないぞ。今後の方針決めなければならないからな」



魔王の気がガラリと変わったのを感じて四天王達の顔つきも変わり、空気が張り詰める。



「さっきの話の通り、オレガリオで神の巫女による魔王討伐が話題になっているのは事実だ。たぶんアレだ。何百年に一度クソ雑魚どもがイキってガウデンツィオに乗り込んでくる奴らがいるだろ。あれがオレガリオの奴らだったんじゃないか?面倒くさすぎて俺は一度も相手にしていないが」



魔王がアドラに尋ねると、あまり印象に残っていないのかアドラは考え込み、



「ああ、そういやいましたね。前回は確か・・・200年くらい前だったかと──」




それ間違いなく前回の神の巫女!



「魔王は一度も相手したことないってどういう事?オレガリオでは神の巫女が魔王を定期的に討伐してるって王家に言い伝えられてるらしいけど・・・」


「ああ、それは事実だぞ。俺の影武者が倒されるフリして帰してるからな」


「影武者?」


「さっき会っただろ。コンビニ店員の体がデカい方の奴だ」




あれほぼモンスターじゃん!!


全然魔王に似てない!影武者の定義おかしいでしょう。そんなことやってるからオレガリオでの魔族の印象が化け物のような描写になってるのよ!



「馬鹿な奴らは適当にあしらって関わらないのが1番だ。だから茶番仕掛けてさっさと帰ってもらってたんだよ。下手に潰して噂が出回ると後々外交が面倒くさいことになるからな」


「魔王様の身代わりの彼、生き生きと魔王様を演じてましたしね。つまりレティシア嬢の言っているシナリオとやらは定期公演で行われている寸劇のことでよろしいですか?印象薄くてすっかり忘れてましたよ」


「寸劇・・・。国の一大イベントが寸劇扱い・・・」



アドラの言葉に唖然としてしまう。あの命がけのゲーム最大イベントが、実際は寸劇扱いで八百長だったとは──。


これはゲームの裏事情なの?それとも設定崩壊してるの?


どっちにしても衝撃すぎて言葉が出てこない・・・。



「だが今回はちょっと毛色が違うな。カラスの情報によると、今の国王になってからオレガリオの動きがきな臭い。獣人国からも同様の声が上がっている。恐らくあの国の後ろに混血魔族が絡んでいるんだろう。じゃなきゃ魔族や獣人を人間が攫えるわけがない」


「確かに彼らは獣人や我々魔族の扱いをよく知っていますからね。国外追放されたのを根に持って、人間を使って我々に反旗を翻そうとしている。ということなんでしょうか?」


「まだ推測の域だがな」





待って待って・・・、なんか話が魔王ルートに近づいてるんだけど、どういうこと?


ユリカはルイスを選んだから王太子ルート決定だよね?



あとは戦争起こした魔王を2人が討伐してエンディングだけど、魔族側の事情がかなりシナリオから逸脱してるからこのままゲーム通り進むのは無理だろう。



見た感じ、魔王は孤独どころか四天王と信頼関係が築けているように見える。


俺様な感じはそのままだけど、私ら異世界人をおちょくって笑っているくらいだから、病んではなさそうなんだよね・・・。


そして国の内政も御曹司の日本での知識を取り入れてきちんと国王としての仕事をしているようだし、コンビニで見た魔族の民達は笑顔に溢れていて、ゲーム内で語られていた弱肉強食の殺伐とした空気は感じられなかった。




御曹司が転生しただけでこうもシナリオが変わるものなの?


魔王ルートは中盤で魔王が神の巫女を攫って以降、オレガリオは登場してこなかった。



混血魔族と結託してガウデンツィオに攻め入るエピソードはなかったわ。


ここまで話が違うと、本当にゲームの世界に転生したのかさえ疑わしく思えてきた。



この世界はゲームに似た世界というだけで、実際はゲームとは別物なんだろうか。



だとしたらこの後の展開は誰も知らない。





子供と二人で穏やかに暮らす為に、私はこれから何をしたらいいのだろう。


今日から毎日1話投稿になります。よろしくお願いします。


面白いと思っていただけたら評価&ブックマークをいただけると励みになります(^^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ