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オレガリオ王国の闇



魔王と魔王軍四天王と一緒に食べる朝食は、和やかムードどころか内容が重すぎて朝食後のプリンを食べる事へのためらい感が半端なかった・・・。



何故、部外者の私がここにいるのだろうか・・・。




会議の内容は国内の治安情勢が主な内容で、魔族の国でもやはり地方は治安が悪いらしい。


それに対して軍の戦士をどう増やして配置するか、被害に遭った民をどう救済するか。



考える事は人間族と何ら変わりなかった。



なのに混血魔族のせいで人間側には魔族の全ては残忍で他者を蹂躙する憎き者だと一括りにされ、排除の対象にされてしまったのよね・・・。


ゲームでは浅くしか理解していなかったけど、こうして現実問題として目の当たりにすると、かなり深刻だわ・・・。



だってそれが、魔王が全てを滅ぼす理由になってしまったんだもの。




「ヴォルフ様、オレガリオ王国の人身売買の情報は掴めましたか?」


「うーん、各地にカラスを飛ばしたんだけど、攫った魔族や獣人の魔力残滓が辿れないんだよね。多分それらを消す魔道具かなんかを売人は使っているんじゃないかなぁ。攫う時にも絶対魔道具使ってるはずなんだよ。じゃなきゃ魔族や獣人が非力な人間に負けるわけがない」




ちょっと待って、今なんて言った?




「人身売買・・・?オレガリオが・・・?」




驚愕してヴォルフの顔を見ると、気まずそうに視線を逸らした。



「もしかしてあの家・・・漫画描く用じゃなくて、オレガリオを監視してたの?」


「───漫画を描く為の部屋であるのも確かだけど、監視してたのも事実だ・・・。あの森に拠点を置いてたのはレティシアが森に入ったのと同じ理由。磁場が狂ってて僕の存在がバレにくい事と、あの森は魔物が強いからあまり人間が近寄らない場所でもあるしね」



「人身売買ってどういう事?」


「・・・オレガリオ王国は獣人や魔族を攫って他国に売りつけたり、魔道具の実験体に利用して利益を得ているという情報を掴んだ。だから僕はあの森で売人の情報を探っていたんだ」




嘘でしょ・・・。オレガリオ王国がそんな事してたの?


ゲームのシナリオにそんなイベントなかったけど!?




そういえば国王は予算を軍事費に注ぎ込み、国民への政策が複数凍結してて陳情書が激増してるって文官達の愚痴を聞いた事がある。


確かその予算の大半が魔道具開発に消えていたはず。


議会でも穏健派と王族派が対立しているから『自分の立ち位置をその都度しっかり見極めて揚げ足を取られるな』ってお父様とお母様に忠告された。



魔道具の実験なんて、あんな高価なもの並みの人間が手にできるはずがない。




「まさか…王家、もしくは高位貴族が関わってる?」




ボソっと呟いた私の言葉に、四天王のメンバーの目つきが変わった。今までの雰囲気とはガラリと変わって冷たい空気が肌をすべる。


この瞬間、私は警戒対象になったのだと気付いた。



アドラが私に疑惑の目を向けてくる。



「貴方はヴォルフ様と同じ異世界人だと聞きましたが、どうやらオレガリオ王国の情勢に詳しいようだ。一体何者です?ただの妾候補ではなさそうですね?」




「本当に異世界人?スパイとか?魔王様はともかく、ヴォルフは純粋で騙されやすいからね。答えによっちゃ生かしておけないなぁ。自白魔法かけさせる?」



緑ジャージのザガンが脅しをかけてきたので私は血の気が引いた。



先程までふざけた衣装だと呑気に分析してたけど、今のこの4人から軽い殺気を感じる。


魔王は私と子供を守ってくれると言ったけど、この四天王の守るべき対象に私は入っていない。


だから簡単に殺すという判断ができるのだ。




背中に冷たい汗が流れる。


何か言わないといけないのに、4人の強い視線が怖くて言葉が出てこない。




それでも何とか妾候補でもスパイでもないと伝えたくて口を開いたその時、


凍えるような低い声が聞こえた。




「よせ。コイツは本当に異世界人だ。それに保護対象だと言ったはずだぞ。少しでも傷をつけてみろ。俺が許さん」





これは・・・。



その身に纏っている空気は、本物のヴォルフガングのものだ──。


人格が入れ替わった。




「レティシアの持つ知識はこのガウデンツィオに更なる光をもたらす。だから連れてきたんだ。今後はヴォルフ同様に民の為に働いてもらう。お前らも丁重にもてなせよ」



「「「「御意」」」」




「では、腹も満たされたようだから早速働いてもらおうか。コイツらに例のゲームとやらの話をしてやってくれ。お前の持っている情報を全て話すんだ」



未だ微妙な空気が流れている中で乙女ゲームの話をしろという魔王は鬼畜以外の何ものでもない。


空気読んで!!



話したらますます疑いの目を向けられるじゃないの!


あれはヴォルフのゲーム知識があったからこそ通じたのであって、この世界の人に言ってもただの頭のおかしい女と思われるに決まってる。



でも有無を言わさない魔王のオーラに折れて、私は彼らに話した。




その結果、





「おい、コイツやべーぞ。頭のおかしい人間だ」





やっぱりケンタウロスにドン引きされた。

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