93 最終決戦 10
柚葉達が海外に向かっている中、八波と香弥は日本で未確認の反応があった場所で待機していた。
「いよいよ、最後の戦いだから緊張して来るわね」
「逃げ出したいなら、今ならまだ間に合いますよ」
「バカな事言わないでよ、八波一人に任せたりしないよ、昔と違って今は私も戦えるんだから」
「本当にあの時は心配しましたからね」
「・・・・・・ごめんなさい」
「まあ、もう過ぎた事だから良いですけど、頼りにしてますよ、香弥」
「了解、任せてよ」
『二人共聞こえる?』
通信機から玲子が話し掛ける。
「はい、聞こえています」
『良い? 八波ちゃんのスキルも強化されていくらかマシになったけど、それでも身体の状態を考えて長時間の戦闘は避けたいわ』
「相手によりますね、おそらくネームドが来ると考えられますので」
「まあ、私が頑張ればいいだけだから大丈夫よ、最終手段もあるし」
『香弥さんも気をつけるのよ』
通信機から成海の声が聞こえる。
『スキル強化されて、とんでもない武装強化ができるようになったけど、最終手段は本当にどうしようもなくなった時の手段だからね』
「わかってるわ、切り札は最後まで取って置くって言うしね」
「どうやら、お喋りはここまでですね」
八波がそう言うと香弥は八波が見ている方を向く。
「はは、こりゃまた懐かしい」
乾いた笑いを上げる香弥。
「久しぶりだな」
香弥の目の前にはかつて彼女が戦ったネームド、ディベルタの姿があった。
「彼女は、確かディベルタと言うネームド」
「そう、夜見達五人を圧倒しためちゃつよなネームドよ、やっぱあれで倒せてなかったか」
「あれで私が倒せると思ってたのか? なめられたものだな」
「別になめてないわよ、ていうかアンタ一人だけ?」
香弥の言う通りディベルタの周りには誰もおらず彼女一人だけである。
「私は常に一人で戦ってきた、他の奴などいても邪魔なだけだ」
「なるほど、圧倒的な強さがあれば味方が返って邪魔になる事もありますね、それはこちらも同じですけど」
ディベルタが一人でいるように八波と香弥も二人だけしかその場にいなかった。
「お前は見た事ないな、私を楽しませられるか?」
「そうですね、それはあなたが決めてください」
言って八波はスキルを発動させる。
強大な力が彼女の周りから溢れだす。
「少なくとも、あなたが退屈しない程度には楽しませられると思いますよ」
「ほう、それは楽しみだ、私を退屈させるなよ」
ディベルタも力を解放するのだった。
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ディベルタ再び。




