91 最終決戦 8 VSキリエイト 2
憧れだった。
あの子が刀一本で戦う姿が、私には美しくカッコよく見えた。
その時からだ、私も刀一本で戦うようになったのは。
でも私はあの子じゃない。
どれだけ頑張ってもあの子に近づく事ができない。
わかっていても、それでも、私は憧れから逃れる事ができなかった。
やめたくなかった。
例えとうの昔に気づいても、私は憧れたあの子と同じ戦い方でいたかった。
「紗耶香」
紗耶香とキリエイトの戦いの場に到着した真由は切られて血を流して倒れている紗耶香に近づく。
「玲子さんが作った回復薬です」
紗耶香に回復薬を飲ませると紗耶香の傷が塞がる。
「真由」
傷が塞がっても大量の血が流れたので紗耶香はしばらくは起き上がる事ができない。
「後は私に任せてください」
「真由、ごめんなさい」
紗耶香の目からは涙が零れる。
「私が倒すべきなのに、何もできなかった、何もかもが中途半端」
「自分で考えて決めて行動したなら、あなたは中途半端ではない、やれる事をやっての結果ならそれは中途半端ではない、そこで待っててください、一瞬で終わらせますから」
真由は紗耶香に笑みを向けてキリエイトの方を向く。
「待たせましたね」
「お前がここにいると言う事は、あれは倒したのか?」
「ええ、倒しましたよ、後はあなただけです」
「そうか、少しはまともなのが来たか、そこに倒れているのは相手にもならなかったからな」
「随分な言い方ですね」
「ああ、得意な戦い方をしないでやったとしても結局は私の相手にすらならない、中途半端な奴だ」
「・・・・・・」
真由は無言で刀に手を添える。
「言葉は不要か、なら始めようか」
キリエイトは先程と同じように刀に炎と水を同時に纏わせる。
「同時に纏わせた?」
「できないと言った覚えはないぞ、さあ、お前はいつまで私を足止めする?」
「足止め? その必要はありませんよ、何故なら一瞬で終わりますから」
真由は刀に手を添えて抜刀の構えをする。
「一瞬で終わらせる? 私相手にか?」
「やってみればわかりますよ」
「良いだろう、ならば見せてもらおうか!!」
キリエイトが切り掛かって来たタイミングで真由は刀を抜いて一閃する。
二本の刀と一本の刀がぶつかり合ってお互いに交差する。
「刀一本で両方共受け切るとは見事、だが一瞬では終わらなかったな」
「いえ、終わりました」
「何?」
「今の動きあなたにはどう見えてましたか?」
「何を言っている?」
「もし、私が抜刀して一閃する動きだとしたら、あなたは終わりです」
「だから何を」
キリエイトが何かを言おうとした瞬間血が流れる、そして。
「ぐあああああー!!!」
キリエイトの身体にいくつもの切り傷が刻まれていくのだった。
読んでいただきありがとうございます。
真由は一体何をしたのでしょうか?




