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80 ネームド融合強化 2

 楓と湊がエスタとの戦闘を行っていた同時刻。

 真由と紗耶香はもう一体のネームドの所に到着していた。


「来たか」


 ネームドのキリエイトは真由と紗耶香を見る。


「お前達がこの国のスキルホルダーか、私の名はキリエイト、言葉は不要、敵同士の我々が会えばやるべき事は一つ」


 キリエイトは二本の刀を抜き構え、真由と紗耶香も刀を抜き構える。


「こちらも名乗りましょう、私の名は真由」


「紗耶香」


「律儀だな、行くぞ」


 キリエイトの二本の刀にそれぞれ炎と水が纏う。


「初めに教えておく、私はナンバーズと融合してこの炎と水の力を手に入れた、私と融合したナンバーズは、ナンバー003(ぜろぜろさん)、自然型モデル炎、ナンバー007(ぜろぜろなな)、自然型モデル水、いずれも普通のナンバーズよりも上位のシングルナンバーだ」


「融合強化態というものですか」


「ネームドでもできたんだね」


 真由と紗耶香はより警戒心を高める。


「いざ、参る!!」


 キリエイトが地面を勢いよく蹴りそのままダッシュで間合いを詰め二本の刀を振り下ろす。

 

「重い」


「意外と力ある」


 真由と紗耶香がそれぞれ受け止めるがキリエイトの力に押される。


「ほう、やるな、だが甘い」


 キリエイトは二本の刀に炎を纏わせて豪快に攻める。


「はあ!!」


 真由が躱してキリエイトに切り掛かると今度は二本の刀に水を纏わせて真由の刀を受け流していく。


「これは」


「炎を纏った時は力で押して、水を纏った時は相手の力を利用して受け流している?」


「わかりやすく剛と柔の戦い方をしているのさ、だがこれだけじゃないぞ」


 キリエイトは炎を纏って振り払うと炎が放たれて真由と紗耶香を襲う。


「炎を飛ばした?」


「それだけじゃないぞ」


 水を纏って振ると水が勢いよく飛んで行き二人が躱すと壁に当たり綺麗に鋭く切られる。


「炎は業火のように放ち、水はかまいたちのように切れ味が鋭い、と言ったところでしょうか」


「それぞれで戦い方が違う」


「避けてばかりでは私には勝てないぞ」


 キリエイトは片方に炎をもう片方に水を纏って攻撃する。

 炎を纏った刀で豪快に攻め、真由と紗耶香が攻撃すると水を纏った刀で受けし隙ができた所を炎の業火で焼き払う。


「真由!!」


 紗耶香のスキルで先を読み業火が当たる前に真由を引き寄せて業火から逃れる。


「聞いた通りだな、相手の次の動きを読む事ができるスキルホルダーがいると、能力は厄介だが躱すのがやっとでは何も意味がないな」


「ん」


「それに、適した戦い方を何故しない?」


 キリエイトの言葉に紗耶香は目を見開く。


「気づいていないとでも思ったか? 今のお前の戦い方はお前にとってやりにくいだろ? 動きでわかるぞ」


「・・・・・・」


「何故刀一本で戦う事にこだわる? 何かあるのか?」


 キリエイトは紗耶香の戦い方に疑問を持つが真由を見た瞬間に気づく。


「なるほど、そっちのスキルホルダーか」


「!!」


「図星か、別にどうしようとお前の勝手だが私に対して全力で戦わないのは、虫唾が走るな」


 キリエイトは静かに怒りを露わにする。

 その怒りに答えるように纏う炎と水が激しくなる。


「全力で戦わないなら、大人しく死ね」


 キリエイトが切り掛かろうとすると大きな音が鳴りキリエイトはポケットに入れていたスマホのような機械を取り出しでる。


「何だ? そうか、わかった」


 キリエイトは機械を切ると刀を鞘に納める。


「時間のようだ、命拾いしたな、だが次に会う時は決着の時だ、まあその時はすぐに来るだろうがな」


 そう言ってキリエイトは炎と水を地面いぶつけ水蒸気爆発を起こして煙幕のようになり霧が晴れるとキリエイトの姿はいなくなっていた。


「逃げましたか? 紗耶香?」


 真由が紗耶香を見ると紗耶香は悔しさで手を強く握りしめていた。


「大丈夫ですか?」


「あ、うん」


 真由に呼ばれて紗耶香は握る力を弱める。


「あのネームドに言われた事を気にしてますね?」


 真由の問いに紗耶香は何も答えない。


「決めるのはあなたです、ただ一つ言える事は、私はあなたがどんな決断をしても共に戦うだけだと言う事を忘れないでください」


「・・・・・・うん」


 真由の問いにそう返す紗耶香。

 二人はその後無言のまま帰還するのだった。





読んでいただきありがとうございます。


光と闇、炎と水の組み合わせはロマン。



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