79 ネームド融合強化
「ふん!!」
湊は剣を思い切り振りエスタに切り掛かる。
「あは」
エスタは持っているギターで剣を受け止める。
「そんなんで私は倒せないよ」
エスタは振り払いギターを構える。
「さあ、ノッていくよー!!」
エスタがギターを弾くと音がエネルギー波となって湊を襲う。
「くっ!!」
「あはは!! 避けても無駄だよ!!」
湊が攻撃を躱すが音のエネルギー波の動きが変化する。
「私の奏でる音は自在に操る事ができるのよ、さあ私の演奏にノッて踊りなさい!!」
「私も忘れないでもらおうか!!」
楓がキャッスルゴーレムが放つゴーレム砲を城壁を大砲の形にして放出する。
「無駄よ」
エスタの前に黒い渦のようなものが現れてゴーレム砲を飲み込み消滅する。
「何!?」
「あは、この闇の渦はあらゆるエネルギーで生み出した攻撃を飲み込んで消滅させる、つまり私を倒したければ純粋な物理攻撃しかないのよ、さらにいくよ」
エスタの両隣に光の塊が現れてレーザーのように発射される。
「マズい!!」
湊がスキルで腕を伸ばして楓を掴んで自分に引き寄せるとレーザーは間一髪のところで当たらずに済んだがレーザーが発射された方を見ると地面が抉れている。
「へえ、地味子ちゃんのスキルで救われたね」
「あ?」
「湊落ち着け!! 助かったぞ!!」
またもやキレて突っ込みそうになる港を楓が宥める。
「それより湊、おかしいと思わないか?」
「・・・・・・確かに、あのさっきの黒い渦もそうだけど、あのレーザーもあのネームドの力とは思えない、どちらかというとナンバーズの方の・・・・・・まさか!?」
湊は一つの可能性に気づく。
「まさか、ナンバーズの力を取り込んだのか?」
「へえ、察しが良いね、そう、私は二体のナンバーズと融合して力を使えるようになったのよ、さらに教えると融合したのはナンバー005、自然型モデル闇とナンバー009、自然型モデル光よ」
「さっきの黒い渦は闇、レーザーは光だったのか」
「この融合強化はイリスちゃんの研究を元にしたものよ」
「イリス、柚葉と夜見が戦ったネームドか」
「ええ、イリスちゃんのナンバーズの細胞を打ち込んでその姿と力を得て強化するって技術だけど、あの子の着眼点は良い線行ってたのよね、ただアリスちゃんの存在があったからあの子焦っちゃって不完全な状態で行ったから、残念な結果になっちゃったけど、あの子の研究でこの融合強化ができたのよ」
「仲間を取り込んでまで強くなりたいのか?」
楓が怒りを抑えて問う。
「ああ、勘違いしないでよね、無理やりじゃなくてこの子達が自らの意思で私と融合する事を選んだんだから」
エスタの答えに楓と湊は驚く。
「アンタ達のおかげで私達の数も減って来て、アーマノイドやナンバーズ達じゃアンタ達に敵わなくて、相手になるのが私達ネームドくらいなのよね、まあ、そのネームドも相手になれるかどうかわからなくなったからね、それであの子達もこのまま無駄死にするくらいなら融合強化態になって戦った方がマシだと思ったのよ・・・・・・そんなあの子達の覚悟をアンタ達に偉そうに言われる筋合いないのよ!!」
エスタはギターを激しく弾くと音撃のエネルギー波と光のレーザーが連射される。
「ちっ!!」
湊が楓を掴んだまま近くの壁に隠れる。
「滅茶苦茶に連射して来たな」
「すまん湊、私が足手まといだな」
「気にするな、それよりこの状況をどうにかしないとな」
「湊、私にかまうな、思い切りやれ」
「・・・・・・」
楓の言葉に湊は迷っている。
「・・・・・・ダメだ」
「湊、だがこのままでは」
「あは!! 隠れても無駄よ、このまま周りの建物全部壊してあげるわ!! ん?」
攻撃をしているとエスタはポケットから音が鳴り、手を入れて取り出すと手に持っているのはスマホのような機械でありその機械から音が鳴っていた。
「何?」
攻撃をやめたエスタはスマホのような機械で誰かと話をしている。
「ああレガイア、どうしたの? え? 準備できた? えー、今良いところなのにー・・・・・・わかったわよ」
エスタはスマホのような機械を切ってポケットの中に入れる。
「ごめんねー、用事ができたから帰るわ」
「何?」
「まあ、元々時間稼ぎと融合した力を試したくて暴れてただけだからね、次に会った時に決着をつけようよ、じゃあね、地味子ちゃん」
「あ?」
湊がキレて出て来るがエスタの姿はそこにはもうなかった。
「楓」
「何だ?」
「エスタというネームドの相手は私がする、皆にもそう言ってくれない?」
「わ、わかった、指揮官にもそう言っておく」
湊の圧に冷や汗をかきながらも楓は了承して二人は基地に帰還するのだった。
読んでいただきありがとうございます。
幹部が配下を取り込んで強化するって奴です。




