78 二体のネームド
「なるほど、それで001達は倒されたと?」
「そういう事ー、いやー思ったより強いよ、リンネちゃんとイリスちゃん倒したのも頷けるかも」
「そうですか」
エスタの報告を聞いたレガイアはすぐに次の指示を出す。
「思ったより強いですが、問題ないでしょう、早速次に移るだけです」
「はーい、じゃあ私とキリエイトちゃんが行ってくるよ」
「この力を試すにはちょうどいい」
「頼みましたよ、私はその間に準備をしておきますので」
レガイアとエスタとキリエイトはそれぞれ行動するのだった。
「何か私達完全に無視だな」
「あの三人にディベルタもいるから、失敗続きの私達は数にすら入ってないんでしょうね」
「ライリアも何かを待っているかのように帰って来ないし」
「ねえ」
アドメラとイリスの会話にリースが入っていく。
「どうした?」
「私、思ったんだけど」
リースは二人に言うのだった。
「じゃあ、始めますか」
「あまりやり過ぎるなよ」
テスタとキリエイトはお互いに正反対の方へと向かう。
「おーい、柚葉ー、由奈ー、朝だぞー」
朝になっても起きて来ないので香弥が二人を起こしに部屋のドアを叩いている。
「まだ寝てるのかな? 入るよー、って、え?」
部屋を開けて中に入ると二人は一緒に寝ているが、香弥が驚いているのは二人共裸の姿で寝ていたからだ。
「んあ、あ、香弥さん、おはよございます」
目が覚めた由奈は目をこすりながら香弥を見る。
「おはよう、ていうかアンタ達、裸よ」
「あ、ごめんなさい、お姉様といつもこうしていたので、何だか恥ずかしいです」
「アンタ達、いつもそうやって寝てるのね」
「んー」
騒がしいのか柚葉も目を覚ます。
「あ、お姉様、おはようございます、もう朝ですから起きましょうね」
「むー」
柚葉はまだ起きたくないのか寝ようとする。
「ダメですよ、ちゃんと起きないと、ほら私も起きますから、一緒に起きましょう」
「うー」
嫌々ながらも柚葉は由奈に起こされる。
「立場が逆転してるわね、ていうか柚葉の副作用まだ治まらないのね」
これ以上は見てはいけないと思った香弥は由奈に任せて部屋を出るのだが、この時指令室では未確認が姿を現すのだった。
「未確認が現れました、ネームド二体、いずれも情報にないネームドです」
「新しいネームドが二体も現れたのか、特徴は?」
「一体はギターを持った少女で、もう一体は二本の刀を持っている少女です」
理事長の問いに少女が答える。
「二体のネームドは別々の場所で暴れています」
「ネームドの近くに他の未確認の反応はなし、ネームドだけで行動していると思われます」
「ネームドのいる場所はここが一番近いです」
「すぐに現場に向かわせるんだ」
「了解」
「イエーイ!! アゲアゲでいくよー!!」
ギターを弾きながらエスタは周りの建物を破壊しまくる。
「そこまでだ!!」
「ん?」
エスタは声のした方を向くと楓と湊が立っている。
「あは、やっと来たね」
「ネームドだな?」
「正解、私はエスタ、よろしくね」
「随分変わった武器を持っているな」
「カッコいいでしょ? まあ、地味子ちゃんのあなたにはわからないけど」
「は?」
エスタの言葉に湊は一瞬眉がピクりと動く。
「一応スキルホルダーの事は見たんだけど、あなたって正直影が薄いんじゃないって言うくらい地味だし、おまけに眼鏡してるし」
「眼鏡は関係ないだろ」
平静を装っているが湊の身体は震えている。
それを見て楓は冷や汗をかく。
「だってあなたのスキルってあらゆるものを伸ばしたり縮めたりするだけでしょ? 他の子達に比べると地味じゃん、正直地味子ちゃんの相手をするなんてやる気が出ないのよねー」
「ふーん、そうかそうか、よーくわかったよ」
「み、湊」
「あ?」
楓の問いに湊はキレ気味に答える。
「お、落ち着いていけ」
「私は落ち着いているけど?」
「そ、そうか、なら良いんだ」
「ちょっと何? 仲間割れ? 地味子ちゃんなんだから変に目立つと悪目立ちするよ?」
「ああ、ご忠告ありがとう、お礼に、一瞬で終わらせてやるよ!!」
「やっぱり怒っていたか」
楓の心配を余所に湊はマジギレしてエスタに剣を振るうのだった。
読んでいただきありがとうございます。
二体のネームドが動きました。
そして湊がマジギレ状態です。




