76 同時発動
「何だ、それは?」
「アンタが仲間と融合して強くなったのならこっちは、私達の力を融合したって事よ」
終音の両腕には冷気と業火が纏っている。
「あれがあのふたりのスキル強化なの?」
「ええ、今まで人格を変えないとできなかったけど、強化された事で両方のスキルを同時に使えるようになったのよ、その代わり副作用で熱が上がったり下がったりして大変だったけどね」
「それは、大変ね」
「バカな、二つのスキルを一度に使えるだと?」
「ああ、実戦で使うのは初めてだから、行くぜ!!」
終音が片手をかざし業火を放つ。
「ふん!!」
001は土壁を出すがあっと言う間に氷漬けにされる。
「もう土壁は効かないぞ」
もう片方の手に纏った冷気を放ち土壁を使えなくさせた事で先に放った業火が001を包む。
「二人の人格で終音の方が戦闘向きだから冷気と業火を同時に使う戦い方は終音に任せているのよね」
「なるほど、まあ相手は氷だしあの業火じゃさすがに・・・・・・なっ!?」
「残念だったな、私単体なら今ので倒せただろうが」
炎に包まれた001の身体は鋼鉄に変化していて業火に耐えていた。
「ちっ、弱点を補ったか」
(終音、どうする?)
「どうするも、やるしかないでしょ」
「一つ言っておこう、融合した事で私の戦い方は増えた」
001は身体を鋼鉄化したまま両腕が剣の形に変わる。
「私は冷気を放つだけの遠距離攻撃が主だったが、006と融合した事で近接戦もできるようになった、遠距離攻撃しかできない相手は近づかれたら対処はできん!!」
「ちっ」
終音は業火を放つ。
「無駄だ!!」
鋼鉄化した001の身体には業火は通用せずさらに冷気を纏って防いでいるためそのまま終音に近づくが蘭華の大剣が001を止める。
「もちろんわかってるわ、だからこの子達には近接が得意な私が組んでいるのよ」
「お前は、スキルで痩せるんじゃなかったのか?」
「私もあの子達と同じで変化したのよ、スキルを使っていない時でもこの体系のままになったのよ」
「リンネ様を倒したのはお前だな? だが今の私は簡単に倒せないぞ」
蘭華と001の攻防が続く。
「夜見さん、こいつの弱点は?」
「もう見つけてるけど、二体を取り込んで強化されてるから、普通に攻撃してもダメだと思うわ」
「そう、厄介ね」
「余所見している場合か?」
001は冷気を発射させ蘭華を凍らせようとするが蘭華は大剣でガードして後退する。
「強い」
「弱点はわかったけど、普通に叩いても意味がないわ」
「じゃあ、どうするの?」
「あたしに考えがある、終音に頑張ってもらうけどね」
夜見は二人に作戦を伝えるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
別々なものを同時に発動するって何かロマンを感じる。




