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73 柚葉の副作用

「お姉様、はい、あーん」


「あーん」


 由奈が持っているお菓子を柚葉の口に運ぶと柚葉は口を開けて食べる。


「由奈、まだ柚葉の副作用治まらないの?」


「うん、まだ治まらなくて」


 由奈は膝枕をしている柚葉を見る。

 今までの柚葉と違い、力なさそうにボーっとしている。


「副作用があると言ったけど、まさか柚葉の副作用がこれなんて」


 夜見は柚葉を見て溜息をする。

 柚葉がこうなったのは今から一週間前に遡る。






「お姉様、朝ですよ」


 いつもの朝が来て目覚めた由奈は隣で柚葉がまだ寝ている事に驚く。

 いつもなら柚葉が早起きしていて由奈の寝顔を少し堪能しながら起こしているからだ。


「んー」


 柚葉は目を覚ますが寝ぼけている状態だった。


「おはようございます、お姉様」


「うー」


 由奈が挨拶をしても柚葉はボーっとしている。

 

「お姉様?」


「んー」


 由奈が不思議に思っていると柚葉はまた眠りだす。


「え? お姉様?」


 柚葉が眠り出した事で由奈は揺さぶって起こし、すぐに玲子を呼びに行くのだった。


「んー、見た感じ特に異常はなさそうだけど、由奈ちゃん、朝起きてからずっとこの状態なの?」


「はい、ずっとボーっとしていて」


「取りあえず、様子を見ましょう」


 身体に異常がない事がわかりその日は様子を見る事にするのだが一向に柚葉の調子が戻らずに時だけが過ぎていく。

 それから一週間。


「はい、お姉様、バンザイしてください」


「んー」


 由奈に言われて柚葉は両腕を上に挙げると由奈は柚葉の着ていた寝間着を脱いで制服を着させる。

 柚葉の副作用が戻るまでは由奈が柚葉の世話をするのが日課になった。


「さあ、お姉様、朝食を食べに行きますよ」


「んー」


 由奈に腕を引っ張られて柚葉は今にも眠そうな顔で歩き食堂まで行く。


「はい、お姉様、あーん」


「あーん」


 柚葉は口を開けて由奈に食事を食べさせてもらっている。


「完全に介護ね」


「柚葉ちゃんが自分で動く気がないからね」


 夜見と由奈は慣れた光景を見て食事をしている。

 他の少女達も最初は驚いていたけどもう慣れた光景なのでいつも通りに生活していた。






「あれから一週間経つが柚葉君の副作用はまだ治まらないか」


「はい、他の少女達は全員副作用が治まったのですが、柚葉さんだけはまだ」


「身体が痛む者、倦怠感が襲って来る者、人それぞれ副作用が違ったがそれでも数日以内には治まっていたが柚葉君だけが一週間も続いている」


「柚葉さんが演技をしているとも思えませんし、そんな事する理由もありませんから、本当にあの状態になっているという事でしょう」


「そろそろ敵も動き出す頃だろう」


「この前みたいな、ナンバーズがまた来るかもしれませんね」


「総戦力で来るという事だな」

 

 嵐の前の静けさが今終わろうとしている事を直感で感じるのだった。






 

読んでいただきありがとうございます。


いつもクールな感じの柚葉が由奈におはようからおやすみまでお世話されている。



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