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72 スキル強化

「持って来たわよ」


 玲子がスキルホルダーになる薬品を持って来て柚葉達に配る。


「今は改良して飲むタイプにしてあるから、そのまま飲むと良いわよ」


「飲むのは良いけど、副作用が怖いわね」


 一度副作用の酷さを経験した香弥は飲むのに若干のためらいがあった。


「大丈夫よ、由奈ちゃんの力で香弥ちゃんも身体は丈夫になってるはずでしょ?」


「それは、そうだけど」


「じゃあ、皆で一斉に飲むわよ、せーの」


 玲子の言葉で全員が一斉に飲み干す。


「何も起きないわね」

 

 柚葉は自分の身体を確かめるように見るが特に変化は起きていなかった。


「そうね、人によって時間差があるのかもしれないわね」


 玲子が考えを述べていると八波が突然ふらつく。


「どうした八波君?」


「すみません、急に激しい眠気が襲って来て」


 頭を抱えて立ち上がろうとするがおぼつかない。


「ベッドに横になると良い」


「は、はい」

 

 八波はベッドに横になるとすぐに眠りにつくのだった。


「もしや、これが副作用かね?」


「多分そうじゃないかしら」


 理事長の問いに玲子は答えるが確信が持てない様子。


「皆はどうだ?」


 理事長の問いに他の少女達は首を振る。


「やはり時間差で八波君は速攻で現れる体質だったと考えるべきか、これが副作用かどうかはまだ判断しかねるが、これがそうだとしたら楓君、君の副作用はどれくらいで治まった?」


「そうだな、私の場合は一日で治まったが、他はどうなるかわからないな」


「となると治まるのも人によって時間差があるという事か」


「考えても仕方ないから今日はもう解散しましょう」


 玲子の言葉で各自部屋に戻るのだった。

 次の日、ディベルタとの戦いで負傷していた夜見達が完治した事で玲子から説明があり、夜見達もスキルの薬を飲みスキル強化をするのだった。

 それから各々副作用が起こるが副作用が治まった頃には全員何かしらの変化が起きていた。

 玲子のスキルも変化が起きていた事から基地にいる少女達全てに可能性があると考えてた玲子は基地にいる全ての少女達にも飲んでもらい由奈達サポート系のレアスキル持ちも変化が起き、さらにレアスキルじゃない少女達もレアスキル持ちほどじゃなくても各々の戦闘スキルに変化が起きていた。

 基地のほぼ全員がスキルの強化を終えたが一人だけ今だに副作用が治まらない少女がいる。


「お姉様、あーん」


「あーん」


 由奈に膝枕をさせてもらって柚葉は由奈から渡されたお菓子を口にする。

 そう、他の皆よりも早く飲んだのに未だに柚葉の副作用だけは治まっていないのだった。




 




読んでいただきありがとうございます。


スキル強化、果たしてどうなるか。

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