表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/123

71 変化したスキル

 ナンバーズシックスとの戦いからしばらくの間、未確認の動きはなく束の間の平和な時を過ごしていた。

 そして現在理事長室で柚葉、楓、湊、香弥、玲子、そして八波と理事長が集まっていて話をしていた。


「聞きたい事は、楓ちゃんのあの城のゴーレムについてよ」


「む、キャッスルゴーレムがどうかしたか?」


「その名前貫くのね、まあ良いわ、そのキャッスルゴーレムについてよ、皆も知ってるように楓ちゃんのスキルは『城壁』壁を出現させるだけであんな人型にしかも動かすなんてできないはずなのよ、何で動かせたの?」


「うむ、そうだな。どこから話せばいいか」


 楓はしばらく考える。


「これは海外に出ていた時の事だが、私は壁を出現させるだけでなく人型のゴーレムのように、いや自分の意思で好きな形で出現させる事ができるようになったと言った方が正しいだろうか」


「好きな形? もしかしてあのキャッスルゴーレムって」


「そうだ、城壁で攻撃できる形にしたのが、キャッスルゴーレムだ」


「何でそれを帰った時に言わなかったの?」


「何故できたのかハッキリとした理由もわからないし、身体に特に異常もなかったから良いかと思ってな」


「あのね、まあ良いわ、それで何か心当たりないの?」


「そう言われてもな、何も心当たりないぞ」


「そう言えば楓、あなた海外に行く前に凄い腹痛になってたじゃない」


「む?」


 湊に言われて楓は思い返してハッとする。


「おお、思い出した、確かにあの時物凄い腹痛が襲い掛かって一日中大きなお花を摘みまくっていたな」


「そこは言わなくて良いでしょ、確か玲子の所から帰って来た時だったよな?」


「うむ、確かに言われてみれば玲子の所に行って部屋に戻ったらいきなりきたな」


「私の所から帰った時? という事は」


「その時に何かあったと思った方が自然ね、楓、何か変わった事はなかったの?」


 柚葉の問いに楓は腕を組んでその時の事を思い返す。


「確かあの時は玲子の部屋でコーヒーを飲んだな」


「そうね、コーヒーにミルクを入れたわ」


「ミルク? 甘くなかったぞ、むしろブラックだった」


「そんなわけないでしょ、確かにあの時入れたわよ」


「でも苦かったぞ、思えばあのコーヒーを飲んだ後に腹痛が起きたな」


「そんなバカな、私の入れたコーヒーで・・・・・・あ」


 何かを思い出したのか玲子の顔から汗が出てくる。


「玲子君、どうした?」


「いや、えっと、その」


「様子がおかしいですよ? どうしました?」


 八波にも心配されるが玲子は覚悟を決めて言う。


「ごめんなさい、楓ちゃんのキャッスルゴーレム、私のせいでした」


『え?』


 その場の全員が玲子を見る。


「私コーヒーを入れる時ミルクとかそういうのって試験管とかに入れてるのよ、それであの時だけどミルクの入った試験管の隣にあったような気がするのよ」


「何がですか?」


「スキルホルダーになる薬、つまりスキルが手に入る奴」


「何!? あの薬か!?」


「ごめんなさい、もしかしたらあの時ミルクを入れていた試験管の隣にあったのがそれだったのかも、慣れていたから余所見して入れてたと思う」


「なるほど、それを楓君が飲んだ事で何かしらの化学反応が起きたのかもしれないな」


「ちょっと待ってください、その薬を飲んだのなら、何故腹痛だけで済んだのですか? 香弥の時はもっと酷かったのに」


 一度スキルを得た者が再びスキルを得ようとすると身体に酷い拒絶反応が起きる。

 それを知っている八波の疑問は当然だった。

 当時の事を思い出した香弥は気まずそうにしていた。


「レアスキル持ちだから、もしくは、由奈のスキルのおかげかもね」


「由奈さんの?」


「ええ、由奈のスキルで私達はスキルが強化された、そしてその強くなったスキルを扱えるように身体も強化された、そう考えると楓が腹痛だけで済んだのも納得いくわ」


「なるほどね、そう考えると・・・・・・他の子達もやってみる?」


「待て待て、私達も使うのか? 楓がたまたま腹痛だけで済んだだけかもしれないんだぞ、私達もそれだけとは限らないぞ」


 湊の言う通り、楓だけしか成功例がないからこそ失敗する可能性もある。


「なら、私がやりましょう」


「八波ちゃん?」


「私もレアスキル持ちですから、試すには十分でしょう」


「なら、私もやるわ、面白そうだし」


 八波に便乗するように柚葉も言う。


「ああもう、わかった、私も受ける」


 頭を掻きながら湊も受ける意を伝える。


「成功したら戦力がアップするって事ね」


「何を言ってるのですか? 香弥、あなたもするのですよ」


「え!? でも私もうその薬でとんでもない事になって偶然レアスキルが手に入っただけだよ」


「一度すれば二度も同じです」


「八波、鬼!?」


「わかったわ、でも私もやらせてもらうわ」


「玲子さんもですか?」


「ええ、戦闘のレアスキル持ち以外が使用時のケースも必要でしょ? だからそれは私がやるわ、じゃあ早速用意するわね」


 玲子はスキルホルダーになる薬を用意するのだった。




 






 

読んでいただきありがとうございます。


強くなるとスキルも成長すると言う奴ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ