59 戦うために手にした力
「何者だ?」
ディベルタは目の前に立つ人物を見る。
ローブを纏っていて誰かはわからないが声からして女性であるのは確かである。
「私が誰かって? そうね、そこに倒れている子達の仲間であり、アンタの敵って言えばわかるかしら?」
「敵? スキルホルダーか、だがお前からは妙な感じがする」
「妙な感じ?」
「今まで気づかなかったのにいきなり目の前に現れた、それにお前からは倒れてるこいつらよりも生気が感じない、お前の正体は何だ!!」
ディベルタは距離を詰め拳を振るうとローブを纏った人物はそれを右手で受け止めるが衝撃波でローブが飛んでいき受け止めた右腕の皮が剥がれていき剥がれたその右腕は人間の腕ではなかった。
「これは、機械の腕?」
「あーあ、せっかく見た目だけでも人間の腕っぽく見えるようにコーティングしたのに衝撃で剥がれちゃったよ、ローブもどこか行っちゃったし、あれ気に入ってたんだけどな」
ローブが剥がれそこに立っていたのは機械の腕の少女だった。
「嘘・・・・・・」
少女の姿を見て八波は目を見開いていた。
「香弥、なの?」
「どうやら間に合ったようだな、彼女が相手をしている間に夜見君達を」
理事長の指示で少女達を迎えに行かせるのだった。
「八波君、後で詳しい話をする、だが今は」
「は、そうでした」
驚いていた八波だがすぐに冷静に戻るのだった。
「さあて、やりますか」
機械の腕をした義手を動かしながら香弥はディベルタを見る。
「機械の腕か、いや腕だけじゃないな、足も機械だな」
「へえ、やっぱわかる奴にはわかるんだ、まあばれた所で問題ないけど」
「機械の身体で私に勝てるほど甘くないぞ」
「別に甘くないし」
香弥は指を向けるとその指から銃弾が発射される。
「何!?」
「五本全部行くよ」
五本の指からマシンガンのように連射される。
ディベルタは不意をつかれた事で一瞬動きが止まるがすぐに夜見の銃弾を掴んだように香弥の銃弾を全て掴んで防ぐが香弥は一瞬でディベルタとの距離を詰める。
「いつの間に」
「私の足が義足だと見抜いたんでしょ? この義足はただの義足じゃないからね、小型のジェット噴射機能がついているのよ、そして」
香弥の腕から刃物が出てそのまま振るうとディベルタを切る。
「ぐう」
ディベルタの身体は切られて血が噴き出る。
「どう? 仲間の技術力は? リンネってネームドの戦闘データを元にして私の義手や義足はできてるのよ、今の私はリンネを圧倒できる力を持ってるわよ」
「・・・・・・」
「一気に決めるよ」
香弥は再び刃物でディベルタに切り掛かるがディベルタはその刃物を受け止めそのまま腕を引き千切る。
「なっ!?」
千切られた腕はそのまま地面に転がる。
機械の腕なので香弥には痛みも何もないがそれでも片腕を失い戦力がダウンしたのは間違いない。
それからさらにディベルタは香弥の足に思い切り蹴りを入れるともろに入ったのか香弥の義足も壊れてしまいバランスを崩して倒れてしまう。
「ぐっ!!」
香弥は残った腕でディベルタの足を掴むが踏み潰されてもう片方の腕も壊されてしまいそのままディベルタに蹴られて両腕がないため受け身も取れずに転がって行く。
「私に傷をつけたのは褒めてやるが、それで私に勝てると思い上がるな、リンネが何だ、あんな力だけの奴と一緒にするな」
「へえ、そりゃ悪かったわね」
両腕と片足がない状態で香弥は何とか身体を動かして身体を起こす。
「ほう、機械の身体だからか普通なら死んでいる状態でも生きているんだな、見たところその残った足も機械だろ?」
「大正解と言っても今の私じゃまだアンタには勝てないようね、まあ次に生かせば良いだけね」
「私が次を与えると思っているのか? そこに転がっているお前の仲間もだ」
「そんな事させないわよ」
「その状態で何ができる?」
「アンタ、私だけに目が行ってアンタの足についている私の腕と転がっている腕と足には何も気にしてないわね」
「何?」
ディベルタの足には香弥の片腕が掴んだ状態でありもう片方の腕と片足はそれぞれディベルタの近くに落ちている。
「私の戦い方がこれだけで終わるわけないでしょ、戦っていればいつかアンタみたいに圧倒的に強いのと出会う、そうなった時に今のような状況になった時の最終手段もちゃんと用意してあるのよ」
「何だと?」
「私の義手と義足は私の身体についている時には何もないけど私の身体から外れた時に作動するある機能があるのよ、そしてそれは私の意思で自由に作動できる」
「ん?」
ディベルタが足についている腕を見るとその腕から大きな音が鳴り転がっている腕と足にも同じような音が鳴っている
「吹っ飛びなさい」
香弥の言葉と共にディベルタの足についていた腕と転がっている腕と足が大きな音と共に爆発するのだった。
爆発で起きた煙が晴れると爆発した場所には大きな穴が開いていた。
「ありゃ、思ったより威力髙、て言うかこんなのつけて生活してたなんて軽く引くんですけど」
その威力の高さは香弥自身も想定していなかったようでありディベルタの姿も見当たらなかった。
「まあ、あれで倒せてたら苦労しないわよね、やっぱり生きてるって考えた方が良いよね、大方地面に空いた穴に落ちたってところかしらね、まあこの子達を守れただけでも今回は良しとしましょうか」
しばらくして少女達が駆け付け夜見達を担架に乗せて移動するのだった。
「えっと、生きていますよね?」
「ああ、うん、生きてる生きてる、義手と義足だからこうなってるだけだからちゃんと生きてるから、乱暴に乗せても良いからよろ」
「はあ、了解」
香弥も担架に乗せられて無事に帰還するのだった。
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