57 壊滅
「こんなものか」
とあるスキルホルダーの支部で一人の少女が立っていた。
その少女の周りにはたくさんの少女達が倒れていて基地と思われる場所はすでに破壊されていた。
「この国のスキルホルダー達も大した事なかったな、日本では歯応えのある奴がいると良いが」
そう言って少女はその場を後にして日本へと向かうのだった。
「いやー、マジ助かったわ、えーっと」
「ライリア」
「ありがとな、ライリア」
柚葉達との戦いで助けに来てくれたライリアにアドメラは礼を言う。
「戦力であるあなた達を失いたくなかった、ただそれだけだから」
「それでもだよ」
「アドメラ、強化した感じはどう?」
「ああ、良い感じって所だな」
「それは何より、ところで海外にいたネームドの一人がこの日本に来てるわよ」
「おお、どんな奴なんだ?」
「そうね、近づき難い存在ってところかしら、少なくとも私はそう感じた」
「強いのか?」
「そうね、元々強いけど強化薬でさらに強くなったわ、海外のスキルホルダーの支部をいくつも壊滅させたからね、日本に来て早速いくつかの基地を壊滅させたって情報も入ったし」
「強いって事がわかるな」
「基地が壊滅している!?」
「はい、すでにここ数日で三つの基地が壊滅しました」
夜見の驚きに八波は淡々と説明をする。
「いずれも日本支部の基地であり、その基地にいたスキルホルダー達も全滅しています」
「それは未確認によるものなの?」
「はい」
蘭華の問いに八波は頷き説明を続ける。
「壊滅した基地で何人か生き残っていた少女達の証言を得る事ができました、それによるとたった一人のネームドによって全滅させられたとの事です」
「たった一人にですか? 基地と言う事は当然戦闘のレアスキル持ちも何人かいたと考えられますが」
「ええ、確かに戦闘のレアスキル持ちもいましたがいずれもそのネームドに圧倒されて全滅したとの事です」
八波の答えに質問した真由は目を見開き驚愕する。
そしてそれはその場にいる他の者も同じ思いだった。
「その少女が言うにはそのネームドは今まで報告にあったどのネームドとも違うと言っていました、つまり新たなネームドと言う事になります」
「そのネームドたった一人に全滅って」
「そのネームドについてだが、どうやら海外でもいくつかの支部の基地が壊滅されていていずれのスキルホルダー達も全滅したそうだ、この前の会議でそのような報告があったから間違いない」
「マジか」
「そのネームドの出現した場所を見ると次に狙われるのはここと考えて良いでしょう、そして先程ネームドの反応があり間違いなくこちらに向かっていました、そこで基地で迎え撃つのではなくこちらから出向いて交戦しようと考えています、ですが相手の強さを考えてレアスキル持ちじゃない少女達を向かわせても無駄に犠牲を増やすだけになりますの、そこで夜見さん、真由さん、紗耶香さん、蘭華さん、初音さん、あなた達五人にお願いします」
「なるほどね、それであたし達が呼ばれたのね」
「しかし、それなら柚葉さん達も呼ぶべきでは?」
「あなた達を行かせるとここの守りが手薄になります、リンネの時みたいに襲撃する可能性もあるので楓さんと湊さん、そして柚葉さんには今回待機させてもらいました」
「なるほど、そう言う事でしたか」
八波の答えに真由は納得してそれ以上は何も言わない。
今回の任務で柚葉、楓、湊の三人は基地での待機となる。
リンネの時の様に囮を用意して本命の部隊が現れる可能性も考えての配備である。
楓と湊は前回の襲撃での守りのためにそして柚葉はネームドと一対一で渡り合える実力を持っているので今回は守りにつく事になるのだった。
「相手はネームドだ、皆十分に気をつけて行ってくれ、危険だと判断した場合は逃げる事を最優先してくれ」
『了解』
理事長に返事をして夜見達はネームドの反応のあった場所に向かうのだった。
「ここが反応のあった場所だけど、すぐに見つかったわね」
夜見達が反応のあった場所につくと目の前にはネームドと思われる少女が堂々と真っ直ぐ夜見達に向かって歩いて来る。
「何だお前達は?」
「アンタが最近いくつも基地を壊滅させてるネームドで合ってる?」
夜見が銃を向けて問いかけると他の四人も既に戦闘態勢に入っている。
「ほう、さすがに気づくか、それでわざわざ来たと言う事か、そう言う奴等は嫌いじゃないぞ」
「わかってるなら、そう言う事よ」
「良いだろう、私の名はディベルタ、これからお前達を殺す者だ」
新たなネームド、ディベルタとの戦闘が始まるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




