54 さらなる強化
「特に何もせずに帰って来たと?」
「返す言葉もない」
前回アドメラは強化した部下を引き連れ向かうが予想外な状況で押されていたのでやむなく帰ってしまった事をアリスに伝えるのだった。
「予想外だと思うけど、強化されたあなた達ならそう簡単に倒れないはず」
「いや、何て言うか相手に気圧されてどうにも撤退せざるを得ない状況に思えたんだ」
「戦場での状況や判断はその場にいる者にしかわからないし、戦力を減らさないようにしたのは良い判断ね」
「悪いな」
「気にしなくて良いわ、もう一つの強化薬も確かめたかったんだけど」
「もう一つの強化薬?」
「ええ、私達ネームドの強化薬よ」
「私達の強化薬!?」
「そう、この国のスキルホルダー達は私達の想像以上の実力を持っている、現にネームドも二人倒された、だから私達自身の強化も必要になる」
「で、それがその強化薬なのか?」
「そう、そしてこの強化薬も私の計算では副作用もなく強化されるはず、でも試して見なければわからない、だから私が試す」
アリスは強化薬を一気に飲み干す。
「おい、大丈夫なのか?」
アドメラがアリスを心配するように言うとアリスは自分の身体を見ながら確かめる。
「成功したようだ、身体から力が溢れ出てくる」
「そうなのか?」
「飲んで見れば良い」
アリスはアドメラにもう一つのネームドの強化薬を渡す。
「・・・・・・」
アドメラは少し戸惑ったが意を決して強化薬を飲み干す。
「・・・・・・」
「どう?」
「確かに、何だか身体の奥底から力が溢れ出てくるような感じがするな」
「ホントですか姐さん?」
「ああ、マジで力が溢れ出てくるぞ」
047の問いにアドメラは自分の両手を見ながら驚いているように言う。
「何か今すぐにでも奴らにリベンジしたい気分だ」
「そう、なら今すぐ行く?」
「そうだな」
「ここですね、反応があったのは」
未確認の反応を感知した事で現場には真由と紗耶香が来ていた。
すると壁が壊されて現れたのはナンバー047だった。
「来やがったか」
「ナンバー047」
「早速来ましたか」
真由と紗耶香は刀を抜き構える。
「フフフ」
ナンバー047は両腕の鋭い爪を構えるがどこかから大きな音が起きる。
「合図か、あばよ」
そう言って047はその場から離れて撤退するのだった。
「戦わずに逃げた」
「何がしたかったのですか」
真由と紗耶香は呆気に取られるのだった
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




