53 ナンバーズの変化
「さて、大型の強化は成功したようね、彼等にもちゃんとした名前がいるわね」
「名前か?」
「ええ、と言っても個人名じゃなくて総称の方が近いわね、ナンバーズとか私達ネームドとかそっちの方」
アドメラの疑問にアリスはわかりやすく答える。
「ああ、そう言えばこいつらだけ大型って言ってたしな、スキルホルダー達も大型未確認とか言ってたし」
「そう、そんな大型もちゃんとした強化兵士になったからこれからは彼等にも名前を与えないとね、何か良いのはないかしら」
「良いのねえ」
「アーマノイド」
二人が考えているとリーネが案を言う。
「アーマノイド?」
「なるほど、ヒューマノイドと鎧などのアーマーを掛けたのか」
「そう言えば人の姿をした生き物やロボットをそんな風に言うらしいな、言われて見れば大型の強化した姿って装甲したロボットみたいだし、ぴったりだな」
「では、大型の名前は今後アーマロイドに決定」
アリスの言葉にアドメラやリンネはおおーと言いながら拍手をして部下のナンバーズ達も拍手をしていた。
「さて、アーマノイドも決まった事だし、そろそろあなた達ナンバーズも変化さましょうか」
「変化?」
「これを使うわ」
アリスは白衣のポケットから薬を取り出す。
「これは、イリスが作った強化薬を元に作った物、私の計算だと何のリスクもなく強化できると思うわ」
「本当か?」
「ええ、と言いたいけど試してはいないのよ、私ができれば良かったんだけど私はナンバーズじゃないから」
「そう言う事か、でもなイリスの作った強化薬だろ? 改良したと言われても私の部下に進めるわけにもいかねえしな」
「じゃあ、自分がやるっすよ」
そう言って手を上げたのはナンバー022だった。
「022、良いの?」
「問題ないっすよ、強化薬の改良版っすよね? だったら非戦闘員ナンバーズの自分の出番っすよ、失敗しても戦力が減らないし、成功したら強化されて儲けものっすよね?」
リーネの問いにも軽々と答えた022はアリスから強化薬を受け取り早速それを使うのだった。
「どう?」
「いや、使ったのは良いっすけど、何も起きないっすよ?」
「おい、何ともないのか?」
「何ともないっすね、うんともすんとも言わないっす」
022の言葉にアドメラとアリスはお互いに顔を見合わせてアドメラはどう言う事だと言いたそうに指を差しアリスはさあと答えるように首を傾げる。
「もしかして、すぐに効果が出ない?」
「あ、それっすよ、即効性じゃなくて時間が掛かるタイプっすよ」
そう言った瞬間022の身体が急に光り出すのだった。
「おい、何なんだよ」
あまりの輝きにアドメラ達は目を閉じるが光が消えた事によりアドメラ達は目を開ける。
「え?」
目を開けるとアドメラ達は目を見開くいてその光景に驚くのだった。
「皆、用心しろ!! 敵はネームド、警戒を最大にするんだ!!」
『了解!!』
「反応だと、アドメラだったな」
「うむ、それと四つの反応があった、おそらくアドメラの部下のナンバーズだろう、総攻撃を仕掛けて来るかもしれん」
城壁を作りながら楓達は未確認の襲撃に備えて万全の体制を取っていた。
「楓さん!! 前方から何か来ます!!」
「何だと!?」
見ると目の前にはアドメラが近づいて来る。
「よお、わざわざこんな立派な城を建ててお出迎えか?」
「貴様だけか? だとしたら随分我々も舐められたものだな」
「安心しろ、私一人だけじゃないさ、お前ら出て来い!!」
アドメラに言われて四人の男性が姿を現す。
「人間?」
「人間だと思うだろ? だが違うんだな、お前ら!!」
アドメラに言われて男性達の姿が変化していきナンバーズの姿へと変わった。
「な、何だと!?」
その変化に楓達は驚く。
「驚いたか、アリスが作った強化薬を使った事でこいつらナンバーズも人間の姿になる事ができたのさ!! しかも元の姿と人間の姿を自由に変える事ができる」
「アリス、柚葉が出会った新たなネームドが言っていたもう一人のネームドか」
「まさか、ナンバーズも人の姿になるとは」
「どうだ、俺達はアリスの姐さんによって人間の姿にもなったぞ!!」
「当然変わったのはそれだけではない」
「俺達の力も以前よりも強くなっている」
「前までの僕達とは違うぞ」
アドメラの部下であるナンバー047、062、027、080が自信満々に言っている事からかなりのパワーアップが窺える。
「そう言う事だ、パワーアップしたこいつらの力を・・・」
アドメラが言っている途中で少女達は銃を連射し出す。
「え、ちょっ!!」
「お、おい!!」
「ま、待て!!」
「な、な!!」
「う、お!!」
アドメラだけでなくナンバーズ達もいきなりの攻撃に驚愕する。
「打て!! 奴等に反撃の隙を与えるな!!」
『了解!!』
少女達は銃を連射してアドメラ達を攻撃する。
「おい待て!! お前らいきなり攻撃なんて卑怯だぞ!!」
「戦場では常に死と隣り合わせ、楽観的に考えてる奴から死んでいく!! 卑怯だと? 卑怯で結構!! 戦争では卑怯など戦術だ!! 定石だ!! 卑怯な事で仲間を死なせずに済むなら甘んじて卑怯な女として受け入れよう!! 総員構わずに攻撃だ!!」
『おおー!!』
楓の指示で少女達の銃の攻撃は勢いを増していく。
「こ、こいつら、覚悟が決まっている」
「姐さん、マズいですよ」
「相手の勢いが増している」
「かなりヤバい」
「こいつら本気だ」
「私とした事が、どこかでこいつらの事を甘く見過ぎてた、しょうがない退くぞ、お前ら」
「「「「へい」」」」
アドメラ達はそのまま引き返すのだった。
「総員攻撃やめ!! よくやった!! 敵を退いたぞ!!」
『おおー!!』
少女達は銃を掲げて勝利の叫びを上げるのだった。
「・・・・・・あなた達いつもよりハイになってない?」
その状況を湊だけは冷静に見ているのだった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




