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49 決着

 異形の姿に変わったイリス。

 建物くらいの大きさの身体に凶暴な生物と思われる顔をあるが下半身は植物のように地面に根を張っていて身体からは触手が何本も生えていた。

 そして全体の真ん中の部分には何かを守るように閉じているようなものが見え、その部分が開くと中からイリスの姿が出てきて下半身がその異形な姿と一体化しているような状態である。


『アンタ達、殺してやるよ』


「ヒーロー番組の敵キャラみたいに異形で巨大な姿ね」


「でも、巨大化って負けフラグって言われているわよ」


「現実で巨大化されたら負けフラグどころかあたし達に死亡フラグが立つわ」


 のんきにそんな会話をしているとイリスが触手で攻撃を仕掛けてくる。


「おっとと」


 夜見は触手を躱しながら銃を打つが当たっても大したダメージになっていない。


「適当に打ってちゃダメか」


『あっはっは!! そんな豆鉄砲みたいなのが効くか!!』


 イリスが高笑いしながら閉じている部分が開いて姿を現す。


『アンタ、私をバカにした事絶対に許さないから!!』


 触手だけでなく頭部の部分の口が大きく開き植物のように伸びて夜見に食い掛かる。


「あたし狙いかよ!!」


「やれやれね」


 柚葉が時間を止め夜見を抱えて移動し頭部の部分は空を喰らって元の状態に戻って行く。


『また外した? 何かの瞬間移動能力?』


「助かった、危うくアレの餌になる所だったわ」


「夜見あなた随分と彼女の怒りを買ってるわね」


「あたしはただ思った事を言っただけよ」


「それが人によっては怒りを買う事になるのよ、一つ勉強になったわね」


「えー」


『さっきから何話してるのよ!!』


「夜見、弱点は見つからないの?」


 夜見を抱えたままスキルでイリスの猛攻を躱している柚葉の問いに夜見は難しそうな顔をする。


「いや、さっきから使ってるんだけど全然見えないのよ、色々なナンバーズの力をいっぺんに注いだからかお互いの弱点を補ってるって感じで見えてこないのよ」


「困ったわね」


『死ね!! 死ね!! 死ねぇー!!!』


「何かこいつ荒っぽくなってない?」


「もしかしてあの注射器型の機械を一度にたくさん使って制御できてないんじゃ」


「追い詰められて勢いでやったって事!? どんだけ煽り耐性ないのよ」


『いい加減に死ね!!』


「うるさい!!」


 夜見が銃を打つと偶然姿を現したイリスに直撃する。


『がっ!!』


「え?」


 イリスにダメージが入った事に夜見は驚く。


「・・・・・・ああ、そう言う事ね、単純に考えればわかる事だったわね」


 そして夜見は即座に理解する。


「こいつの弱点がわかったわ、あいつ自身が弱点だったのよ」


「なるほど、彼女が核のような存在って事ね、じゃあ彼女を倒せば良いって事ね、弱点がわかったのならそろそろ終わりにしましょうか」


 柚葉が言うとスキルで自分と夜見以外の時間を止める。


「え? 周りが白黒の景色になった?」


「私のスキルよ、あなた以外の時間を止めたのよ」


「これがアンタが時間を止めて見てる景色なのね」


「とどめをお願いできるかしら? 自分の弱点がばれたからきっと閉じて私達を殺すまで出て来ないと思うし」


「了解、じゃあちょっと待ってて」


 夜見は走ってイリスの元に辿り着くと二丁の銃をイリスに向けると銃口にエネルギーを溜めて最大まで出力が上がる。


「柚葉!! 時間戻して!!」


「了解」


『え?』


「終わりよ」


 柚葉が時間を戻すとイリスは自分の目の前に夜見がいる事を疑問に思うが次の瞬間には夜見の最大出力で放った銃をゼロ距離でもろにくらう。


『ぐああああああああああああー!!!』


 イリスの叫び声と共に身体も粉々に砕かれていく。

 異形の姿は消え失せ最後にはイリスの部分だけが残る。


「あ・・・あ・・・」


「嘘でしょ、ゼロ距離でまだ生きてるの」


「一度に使ったから防御も相当高くなってるんでしょ、あのまま消滅できてた方が幸せだったかもね」


「ふ、ふふ」


 もはや虫の息とも言える状態なのにイリスは突然笑い出す。


「何がおかしいの?」


「アンタ達って本当におめでたいよね、そんな余裕がいつまで続くのかしらね」


「何が言いたいの?」


「リンネと私、二人のネームドを倒したんだもの、今世界中に散っている他のネームド達がこの日本に集合するでしょうね」


「なるほど、でもちょうど良いじゃない、一気にまとまってくれる方がやりやすいわ」

 

 イリスの言葉を聞いても柚葉は特に動揺もせずにいつもの調子で話す。


「やっぱり、アンタ恐ろしいわね、私が恐怖を感じた人間だけあるわ」


「あら、そうなの?」


「まあ、もうじき死ぬ私にはどうでも良いわね、それに、不本意だけど私よりあいつの方がもっと上手く立ち回れたと思うし、私と違って優秀だから。あーあ、結局あいつを超える事なんてできなかったな、あいつの言うように変に対抗意識持たなければ良かったのかな」


 その言葉を最後にイリスの身体は光の粒子となって消えていった。


「ナンバーズは倒れる時爆発したけど、ネームドは違うんだね」


「それにしても、彼女は誰に何を言ってたのかしらね?」


「あいつとか言ってたけど、考えてもあたし達にわかるわけないか、それより早く帰って理事長にネームドを倒した事を報告しよう」


「ええ、そうね」






 イリスを倒した二人が帰る姿を屋上から見下ろしている影があった。

 フルフェイスのヘルメットをしているせいで顔はわからないが身体つきや服装からして少女と思われる人物がバイクに乗っている。


「・・・・・・」


 二人を見送った後少女はバイクを走らせどこかへと向かうのだった。


 



 

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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