48 イリス動く
「ナンバー021生物型モデルサソリ、ナンバー046生物型モデルハリネズミ、ナンバー085生物型モデルカメ、以上が他の日本支部によって新たに撃破されたナンバーズになります」
資料とナンバーズが写っている写真を見ながら八波は理事長に報告をする。
「うむ、新しい装備になったおかげでナンバーズも倒しやすくなっているな」
「レアスキル持ちじゃなくても連携をしっかり執ればナンバーズを倒す事も可能です」
「それは何より、しかし気になるのはこの薬のような物で強化されている点だな」
「はい、薬を使用した途端姿が変化し身体能力が一気に上昇しています、しかも強い力が出たせいなのか薬の副作用によるものなのか強化したナンバーズが攻撃的な性格になって味方ですら巻き込んで攻撃しています」
「柚葉君が遭遇したこのイリスとか言うネームドが作った物だと言っていたな」
「強化したナンバーズ達を観察するように見ていたとの事です」
「実験のようなものか、おそらくリンネの強化にもこれが使われたと考えるべきだろうな、観察と言うならさらなる何かを作る可能性もある」
「いずれにせよ、油断はできませんね」
「できた」
手に持っていた道具を置きイリスは完成した物をあらゆる角度から見ていくと満足した顔をする。
「待たせたわね、遊んであげるわ」
イリスは作った物を手に持ち出るのだった。
「何なのこいつ、強い」
少女は目の前の敵を見て意識が朦朧としてその場で倒れる。
「ふふ、試験は上手くいった、いよいよ本番ね」
笑みを浮かべるイリスの周りには少女達が倒れているのだった。
「で、ここが反応があった場所なの?」
言いながら夜見は周りを見渡す。
「しかし、反応があったのは一つだからおそらくそうだと考えて良いのよね?」
「そうね、そう考えて良いと思うわ、他の日本支部の少女達を三つほど全滅させた相手と」
「御名答、その通りよ」
声のした方を向くとそこにはイリスが立っていた。
「アンタ、柚葉の言っていたイリスってネームドね、今回はたった一人で来たの? いつもみたいにナンバーズに強化薬を渡して観察しないの?」
「もう観察は十分だからね、私が直々に相手をしてあげるよ」
「へえ、ネームドが直々にね、でもあたし達に勝てるの? アンタ、アドメラやリンネと違って強そうに見えないわね」
「そう言ってられるのも今の内よ」
そう言ってイリスは何か注射器のような形をした機会を取り出しそれを自分の腕に押し込むように当てるとイリスの姿が変化する。
「な!?」
その姿を見て夜見は驚く。
何故ならイリスの姿は倒したはずのナンバーズの姿をしていたからである。
「あれは確か048、私がこの前倒したカメレオンのナンバーズね」
「そうよ、私がさっき使ったのは倒されたナンバーズの細胞を元に作った物よこいつにはそのナンバーズの姿が記録されていてそれを身体に直押しするとそのナンバーズの姿に変化できるのよ、しかも変わるのは姿だけじゃない」
048の姿になったイリスが消えた瞬間に柚葉が危険を察知し時間を止め夜見を抱えて移動すると夜見の立っていた場所がいきなり砂煙を上げる。
「え? 何が起きたの?」
「危なかったわ、姿を消して舌であなたを攻撃しようとしたのよ」
「舌って、ちょっと待ってよ、まさか姿だけじゃなくて能力も使えるって事?」
「その通りよ」
消えていたイリスの姿が現れたと思えばそのまま元のイリスの姿に戻る。
「薬で強化した状態の姿になっていたからね、長時間の変身は危険なのよね、だから強制解除できるようにできているのよ」
「あなたがナンバーズを強化させてい観察していたのはあなた自身が使うためだったのね」
「自分が使うために配下を実験材料として犠牲にしたってわけ、アンタといいリンネといい、配下を何だと思ってるのよ」
「大きな実験を成功させるには小さな実験の犠牲はつきものよ」
「短期で成果を求める奴の言いわけね、そう言う奴ほどその後多くの犠牲を出して自分自身も破滅するのよ」
「は?」
夜見の言葉を聞いたイリスの顔が冷たいものへと変化する。
『すぐに結果を求める者はいつか自分をも破滅させる』
「私は破滅何てしない!!」
「何よ、いきなり」
「どうやら、あなたの言葉で何か彼女の地雷を踏んだようね」
「嫌な奴の事を思い出したわ、アンタは殺す!!」
夜見に対して怒りを露わにしたイリスは新たな注射器型の機械を取り出し腕に直押しすると今度はナンバー052に姿を変える。
「串刺しになれ!!」
その場で回転させてトゲマシンガンを発射させる。
「あんなの喰らったら終わりね」
「柚葉、あたしの後ろに隠れな」
夜見に言われて柚葉は夜見の後ろに隠れると夜見は二丁の銃で自分に向かってくるトゲだけを正確に銃で撃ち落としていくと時間切れでイリスが元の姿に戻る。
「これもダメか」
「今度はこっちの番よ」
「じゃあ、これね」
夜見が銃を打ちイリスに命中するがその場には大きなカメの甲羅がありその甲羅から首や両手両足が出て起き上がる。
「カメ? そう言えば他の支部が倒したナンバーズにカメがいたっけ」
「次はこいつよ」
イリスが再び注射器型の機械を腕に押すと今度はサソリの姿をしたナンバーズに姿を変える。
「死になさい」
サソリの尻尾で柚葉達を攻撃するが柚葉達が躱すとその尻尾から出た液体が廃墟の壁に当たると壁は溶けるのだった。
「ナンバー021の毒は当たれば瞬時に全身に毒が回って身体を溶かして殺す事ができるのよ、アンタ達も毒で死になさい」
イリスが尻尾で攻撃をしようとした途端尻尾は切断されていた。
「え!? 何で!?」
「さすがに危ないと思ったからね」
「アンタねぇ、また舐めプしてるの?」
「どうかしらね」
「だったら、これでどうよ」
イリスはハリネズミのナンバーズの姿に変えて身体を丸めて転がり攻撃をする。
「トゲ付きの大玉が転がって来るってか」
夜見は銃を打つが回転している勢いで銃弾を弾いて向かって来る。
「無駄よ、このまま串刺しにして押しつぶしてあげるわ!!」
「ちっ、だったら」
夜見は地面に銃を向けてエネルギーを溜めて一気に打つと爆風が起きイリスの身体は宙に飛ぶ。
「なっ!?」
「空中じゃ逃げ場がないでしょ」
チャンスとばかりに夜見は銃を連射してイリスに攻撃するとイリスに銃弾が命中する。
「うあああああー!!」
攻撃を受けたイリスは上手く着地できずに背中から落ちてそのまま元の姿に戻る。
「無駄よ、いくらナンバーズに姿を変えても既に倒したナンバーズに負けたりしないし何よりアンタ自身アドメラやリンネのように戦闘力があるわけじゃない、アンタに勝ち目はない、観念しなさい」
そう言って夜見はイリスに銃口を向ける。
「私に勝ち目がない? 私が負ける?」
『結果を早く求めても何も成果は出ない、あなたはあなたに合った方法でやれば良い』
「うるさい」
『私と競い合うのは良い、でもそれでいたずらに他人の命を犠牲にするのは良くない』
「うるさい!」
『私には私の良さがあるように、あなたにはあなたの良さがある、あなたは私と違う良さがあるんだからそれを伸ばせば良い』
「うるさい!! そうやって私を見下すな!! 私を否定するなぁ!!」
「な、何よ、こいつまたいきなり」
「夜見、どうやらあなた彼女の地雷を知らずに踏んでるわね」
「私は、私は、私はぁ!!!」
怒りを露わにしたイリスは大量の注射器型の機械全て自分の身体に押し込む。
「ぐ、がああああ!!」
イリスの身体は大きくなり異形な姿へと変化していく。
「な、何よアレ」
「完全に人を捨てたわね、今までのナンバーズをまとめて打ち込んだからもはや何の生物なのかわからないわね」
『ふふふ、私を怒らせたアンタ達が悪いのよ』
「喋った!?」
「自我は失ってないみたいね」
『殺す!! 殺す!! 殺す!!!』
異形な姿となったイリスが二人に攻撃するのだった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




