43 ネームドへの進化条件
「・・・・・・」
柚葉に見破られた事で少女が姿を現す。
「こいつ、リンネってネームドじゃない?」
「確かに映像で見たから間違いないわね」
「でも蘭華が倒したはずでしょ? 生きてたって事?」
「確かに似ているけど、違うわね」
「・・・・・・わかるの?」
リンネと思われる少女が口を開く。
「いや、どこからどう見てもリンネでしょ? 実際に見たわけじゃないけど、姿だってそっくりだし、映像だけど声だって同じだし」
「確かに見た目も声も同じだけど、微妙に違うわ」
「そう言ってもどこが違うのよ?」
「まず髪の色が違う、実際に見たわけじゃないけど映像で見たリンネは目の前にいるこの子よりも色が少し濃かったわ、対してこの子は少し薄い、そして目の形もリンネは鋭い目つきをしていたけどこの子はタレ目な感じでリンネよりも少し背が小さいわ」
柚葉がリンネと目の前のリンネと似たネームドの違いを次々と指摘する。
「確かにそう言われるとそんな気がするけど、アンタよく気づいたわね」
「スキルホルダーになる前はターゲットの顔をよく見て特徴を覚えたりしていたからね、その癖が出ただけよ」
「なるほど、で、アンタリンネじゃないの?」
「私はリーネ、リンネを取り込んで進化したナンバーズ」
夜見の問いにリーネは答える。
「リンネを取り込んだですって?」
「ナンバー100、それが私がネームドになる前の名前、マネキンの姿をしていた」
「マネキン? そう言えば八波と戦った時に深手を負ったリンネを抱え込んで行ったナンバーズが確かマネキンのような姿をしていたわね」
「あー、あの時の戦闘映像に映ってたわね」
「私はそのマネキンからリンネを取り込んでこの姿に進化した、ネームドは元はナンバーズだから」
「ネームドがナンバーズ? じゃああんなにナンバーズがいるのに何でネームドはたくさん出て来ないのよ? ネームドの強さはたった一体でも強いのに」
「ネームドに進化できるのがメスの個体のナンバーズだけだから」
「メスの個体?」
「ナンバーズには低い確率でメスの個体が生まれる、でもメスの個体はオスと違って言葉も感情も何もないからいつも無口で何を考えているのかわからない」
「そう言われれば今までのナンバーズってオスばっかだったわね」
「それで、メスの個体は瀕死になったネームドを取り込む事で取り込んだネームドの姿と声と記憶を受け継いで新たなネームドとして進化する事ができる」
「リンネを取り込んだから姿も声も同じだったのね」
「ネームドが生まれる理由がわかったのは良いけど、アンタそれを敵であるあたし達に言って大丈夫なの?」
「・・・・・・」
夜見に問われリーネは無言で目は上を向いている。
「あ、これ言わない方が良かったのかな?」
「いや、敵であるあたしに聞くなよ!?」
リーネが言った事に思わず夜見はツコッミを入れるのだった。
「ねえ、私帰っても良い?」
「え? 帰るの? 戦わずに?」
「うん、だって2対1だし戦う気ないし」
「別に良いわよ」
「良いのかよ!?」
今度は柚葉の言った事にツコッミを入れる夜見。
「だって戦う気ないならそれで良いでしょ?」
「いや、え?」
「じゃあ、帰るね」
「え? ちょ」
夜見が何か言おうとしたがリーネはその場から瞬間移動したように消えるのだった。
「柚葉、アンタ何であいつ逃がしたの?」
「何でって、あの子別に敵意なかったし戦う意思がないなら戦わなくても良いかなって」
「でも、敵よ」
「そうね、でもあの子はアドメラやリンネと違って攻撃的じゃなかったし」
「まあ、確かにそうね、あ~何か調子狂う相手だったわね」
「そうね、でも思わぬ収穫もあったし上々ね」
「じゃあ、さっさと帰ろう」
「ええ」
柚葉と夜見は基地に帰るのだった。
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