30 新たな存在
「リンネ」
「そんなちまちましたやり方じゃなくて、一気にやった方が簡単だろ」
リンネと呼ばれるネームドはアドメラに言う。
「お前みたいに力だけでどうにかなるならとっくにやってるよ、それができないから苦労してるんだ」
「お前の部下達が使えないだけだろ」
「何だと?」
自分の部下をバカにされた事にアドメラは不機嫌になる。
「私の部下達をバカにするのは同族のお前でも許さないぞ」
「使えない奴を使えないと言って何が悪いんだ、事実だろ?」
「ふざけてんじゃねえぞ」
アドメラは大鎌を出して構える。
「戦うのは私じゃないだろ?」
「関係ないな、お前が私を怒らせたそれだけだろ」
「私が思うのも当然だろ、あんな取るに足らないザコ共にやられてんだからよ」
「ザコだと? まるで自分なら簡単に倒せると言っているようなもんだな?」
「そうだと言ってるんだよ、圧倒的な力で押し通せば十分だろ、まあ見てなよ、私がすぐに倒してやるから」
そう言ってリンネは去って行く。
「ふん、脳筋が」
リンネが去った後で不機嫌そうにアドメラは言うのだった。
「057」
「は!!」
リンネの呼びかけにナンバーズの一体が現れる。
ナンバー057 装備型モデル剣。
「ザコ共を引き連れてスキルホルダーと呼ばれてる人間達をさっさと倒して来な」
「お任せを」
リンネの命に従い057は巨大な未確認達を率いて出撃するのだった。
「未確認の反応はここね」
未確認の反応場所があった場所に蘭華は初音と共に少女達を連れて来ていた。
「また、あのアドメラとか言う奴の部下?」
「どうかしらね、まあ何が来ても倒すだけよ」
「未確認発見!!」
少女の声に蘭華達は目の前を見ると正面から未確認が進行して来る。
「正面から堂々と来た」
「余程自信があるのかどうかわからないけど、皆戦闘準備をして」
『了解!!』
少女達は武器を構える。
「蘭華様、あそこにナンバーズがいるよ」
「剣の姿をしたナンバーズ装備型ね、一番攻撃力の高いタイプね、アレは私がやるわ、初音は皆の指揮をお願い」
「わかった、蘭華様気をつけて」
「ええ」
蘭華はスキルを発動させてナンバーズの元に向かうのだった。
「正面から堂々と来るなんて随分自信があるようね」
「お前がリンネ様の言っていたスキルホルダーか?」
「リンネ様?」
聞いた事ない名前を蘭華は口にする。
「俺はナンバー057、切り殺す!!」
057は剣のように鋭い両腕で攻撃をする。
「切れろ!! 切れろ!! 切れろ!! 切れろぉぉぉ!!」
両腕を連続で振り回して斬り掛かるが蘭華は大剣で受け切る。
「なら、これでもくらえ!!」
遠くから腕を振り下ろすと斬撃を飛ばして攻撃する。
「近距離も遠距離も戦えるってわけね」
「うらあああああああああー!!」
057は連続で振り下ろして斬撃を飛ばす。
「厄介な攻撃だけど、単純すぎ」
蘭華は大剣を057と同じように振り下ろすと同じように斬撃を飛ばす。
「何!?」
その斬撃は057よりも圧倒的に大きな斬撃であり057の斬撃など簡単に打ち消しそのまま057に直撃する。
「ぐおおおお!!」
「もらったわ」
斬撃が直撃しよろけた隙に蘭華は057に近づき大剣を振り下ろす。
「ぐああああ!!」
「終わりよ」
「ふーん、中々やるじゃない」
「!?」
057にとどめを刺そうとした瞬間057の背後から人影が現れる。
「あなた、誰?」
「別に誰でも良いじゃない」
「リンネ様」
「あ? お前まだ生きてたのか」
そう言いリンネは057に剣を突き刺す。
「がっ!!」
「お前、もういらねえんだよ」
リンネはそのまま057を切り捨てて057は爆散する。
「ザコは大人しく消えな」
「あたな、何をしているの?」
「あ?」
リンネは蘭華の方を向くと蘭華の表情はリンネに対して怒りの表情を浮かべていた。
「何をしているのかと聞いているのよ」
「別に、ただいらねえ奴を殺しただけだぞ」
「あなたの部下じゃなかったの?」
「使えない奴は部下にはいらねえ、ただそれだけだ」
「ふざけるな!!」
蘭華はリンネに大剣を振り下ろすがリンネは剣で軽く受け止める。
「へえ、結構やるじゃん」
「あのナンバーズだってあなたのために戦ったのに、使えなければいらない? 部下を何だと思ってるの!!」
「私が自分の部下をどうしようと勝手だろ?」
リンネは蘭華の大剣を押し返す。
「はあ、全滅か、まあ良い、次をやれば良いだけだし」
「どこへ行くの?」
「帰るんだよ、ああ、自己紹介しておくよ、私の名前はリンネ」
「リンネ、私はあなたのような考えを持つ者を許さない」
「は? 知るかよ、まあせいぜい次に会う時まで死なない事だな」
リンネはそう捨て台詞を言い去って行く。
「蘭華様、終わった」
大型の未確認を殲滅した初音が蘭華の元に行く。
「初音」
「・・・・・・何があったの? 蘭華様が怒っているの相当な事があった」
一緒にいるからか初音は蘭華が怒っている事をすぐに理解する。
「ええ、ちょっとね」
未確認を倒した蘭華達は基地に帰還するのだった。
基地に帰ってから蘭華はいつもの上品な食べ方をせずに太った体形の時と同じように手当たり次第に食事をしていた。
「蘭華さん、随分と勢いよく食べてますね」
「あれは、蘭華が怒っているのね」
「え? 怒っているのですか?」
柚葉の言葉に由奈は驚く?
「怒っている時の蘭華は食事をする時何も考えずにああやって食べるのよ」
「何かあったのでしょうか?」
「さあ、ただ蘭華が怒る事と言えば相当な事があったって事ね、まあ食事が終われば元の優しい蘭華に戻ってるわ、それまでは大人しくああさせて置く事ね」
柚葉達がそんな会話をしている間も蘭華はひたすら食べ続ける。
「初音」
「何?」
「ごめん、もっと持って来て、治まるまで量が足りないから」
「わかった」
蘭華に言われて初音はたくさんの料理を次々と持って来る。
リンネに対する怒りが治まるまで蘭華はただひたすら食べ続けるのであった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




