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29 セキュリティー侵入

「ああー、どうしたものかなー」


 三体のナンバーズを出撃させ三体共失敗に終わった事にアドメラは次はどうすべきか悩んでいた。


「あいつらはまだ回復途中だからな、私が直接行くか」


「姐さん、僕の事忘れてませんか?」


「ん?」


 アドメラは声のした方を向くとナンバーズの一体がいた。


080(ぜろはちぜろ)か何かあるのか?」


 ナンバー080 道具型モデルパソコン。


「僕の力でスキルホルダーとか言う連中を倒して見せますよ」


「弱いってわけじゃないが、お前あまり戦闘とかしない方だろ?」


「戦闘だけが全てじゃないですよ」


「何か考えがあるんだな、じゃあ行って来い」

 

 アドメラの命令で080は出撃するのだった。






「桃花、武器の調整はどう?」


「問題ないですよ、先輩」


 基地の中では桃花が柚葉達の武器の調整を行っている。


「柚葉さんが少しだけネームドと戦った戦闘記録を見ているけど、とんでもない強さだね」


 桃花が武器を調整している一方で成海は柚葉がアドメラとの戦闘を記録した映像を見ている。


「大鎌で竜巻を作り出してある程度操れるって普通に考えたらびっくりしますよね」


「柚葉さんも言ってたけど本当に原理がわからないよね、このアドメラ以外にもこんなのがまだいるって言うんだからどうしたものかね」


「それでも、私達にできるのは戦闘で頑張っている少女達に最高の状態で武器を用意するだけです」


「そうね、それじゃ弱音を吐くのはここまでにして頑張りますか」


 気を引き締めて成海が映像を再度見ようとした瞬間に異変は起きた。 

 映像に乱れが生じたのだ。


「あれ? どうなってるの?」


 成海は一度映像を切り再度つけ直すがやはり映像は乱れたままである。


「映像の乱れが直らないわ」


「どうなってるのでしょうか?」


 成海と桃花は不思議に思ってるが異変はこれだけではなかった。


「あら? 画面がおかしくなってるわね」


 少女達の健康をデータで見ていた玲子は画面が乱れている異変に気づく。

 すぐに修正しようとするが乱れは一向に直る気配がない。


「一体何が起きてるの?」


 異変はここだけでなく他にも起きていた。


「理事長」


「これは」


 理事長がパソコンを見ると画面が乱れている。


「すぐに修正できるか?」


「さっきからしているのですが、一向に直りません」


「まさか、何者かがハッキングしているのか?」


「その可能性が高いかと思います、ただの故障やウィルスなら直すのは可能ですのでですが修復プログラムを入れてもすぐに打ち消されてしまいます」


「相当なハッキングの腕を持つ者と言う事か、しかし誰が」


「わかりません、今は画面の乱れだけですがこのままで終わるとも思えません」


「下手をしたらデータを盗み、さらには破壊されるかもしれないな」


「理事長、大変です!!」


「理事長、一大事よ」


 ドアが勢いよく開かれて成海と玲子が入って来る。


「ネームドとの戦闘を見ていたら映像が乱れて修復しようにもできないんですよ」


「私の所も同じよ、このままじゃ今後皆の健康をチェックできなくなってしまうわ」


「早急に手を打つしかありませんね」


「なら、彼女の出番だな」


「すぐに呼んできます」


 八波は立ち上がり外に出て少女を連れて来るのだった。


「それで、何で私はここに呼ばれたのですか?」


 八波に連れて来られたのは右京だった。


「右京君、君は確かパソコンに詳しく打つのも速かったね?」


「まあ、人よりはそれなりに詳しいと思いますし打つのも速い方だと思いますよ」


「それなりじゃなくて相当でしょ、右京のパソコンの知識とタイピングの速さは私も引くぐらいですから」


「ちょっと、お姉ちゃん引くなんて酷いじゃないか」


「だってそうでしょ? 現にデータの入力とかそう言うの全部あなたがやっていて他の少女達はデータの整理とかに入っているし」


「それを言われると何も言い返せない」


「右京君、君の力が必要なんだお願いする」


「いや、何があったんですか?」


「何がって右京さんの所でも異変が起きてたでしょ?」


 右京の言葉に成海が不思議そうに聞く。


「異変?」


「もしかして気づいてないの?」


 玲子が右京に今起こっている異変を話す。


「乱れってああ、確かにパソコンの画面が乱れてたけど、すぐに修復させたから特に気にしなかったけど、あれ他の所でも今起こってたんだ」


「すぐに修復させたって」


「これは、いけるかもしれないわね」


「右京さん、あなたのその腕を見込んで早速お願いします、このままだとデータが壊されるかもしれませんので」


 八波はそう言って右京の前にパソコンを置く。


「わかった、じゃあやりますか」


 右京は早速パソコンを操作するのだった。






「080、お前何をしてるんだ?」

 

 どこか人のいない場所にアドメラと080はいた。


「僕の能力を使ってスキルホルダー達のデータに侵入してるんですよ」


 080は自身のパソコンを操作しながら答える。


「僕はパソコンがモデルだから、僕自身がデータに侵入してやる事くらいわけないですよ」


「侵入するのは良いが、それからどうするんだ?」


「侵入すればデータを奪うも壊すも自由にできますよ」


「おお、それで敵の情報を手に入れるのか?」


「データを奪ったらついでにバックアップごと壊してやりますよ」


「おッしゃ、やっちまいな080」


「お任せを、ん?」


「どうした?」


「僕の送ったウィルスが消された?」


 疑問に思っていると事態は急変する。


「な、何だと!?」


「何だ?」


「逆にこっちがハッキングされてるだと!?」


 自分がハッキングされていたのに逆にハッキングされている事に080は驚く。


「くそ!! させるか」


 しかし、すぐに080もパソコンを操作するのだった。


「単純なウィルスだけど、普通じゃ修復できないプログラムになっているけど、私からしたら大した事ないね、これで一応この基地のデータに侵入したウィルスは全部消したと思うよ」


「凄いわね」


「一瞬にして解決しちゃったよ」


「いや、まだだよ」


 そう言って右京は引き続きパソコンを操作する。


「何をしているのですか?」


「この基地のデータにハッキングした奴を逆にハッキングして侵入元を見つける」


 パソコンを操作しながら八波の問いに答える右京。


「データに侵入できたんだ、相当な腕を持っているはずだよ、また同じ事が起きる前に見つけてとっちめた方が良いから見つけるよ」


「右京の熱が入ったわね、こうなったら並みの腕じゃ太刀打ちできないわ」


 左京の言う通り、右京の顔は笑っていた。


「何て早さだ、こんなに早くできる人間がいるのか?」


 080は右京のタイピングの早さに驚いている。


「しかも逆に僕達の場所を特定しようとしている、良いだろう、僕に挑んだ事後悔させてやる」


 080も先程よりも早くパソコンを打ち始める。


「さっきのウィルスは小手調べ程度だ、もっと強いのを送ってやる」


 080はより強力なウィルスを送り始めるのだった。


「へえ、ハッキングを防ぐだけじゃなくてさっきより強力なウィルスを送って来てるね」


「え? それってマズいんじゃ」


「どうするの?」


「問題ないよ、久しぶりに楽しくなってきた」


 右京は背伸びをして手をポキポキと鳴らしてから再びタイピングを始める。


「良いよ、本気で相手してあげる、せめて全力を出させて楽しませてよね」


「何!? ハッキングを防ぎながらウィルスを送っているのに防がれている、だがこれ以上好きにさせるか」


 080も負けじとさらにスピードを上げていく。


「へえ、やるじゃん、でもこれが全力ならここまでだね」


 右京はパソコンが壊れてしまうんじゃないかと思うくらいにスピードを上げる。


「右京ちゃんのタイピングってこんなに早かったのね」


「何て言うかもう右京さん一人で良いんじゃないかって言葉が頭に浮かんでいるよ」


 玲子と成海はもう何がどうなってるのかわからずただ右京のタイピングに釘付けになっていた。



「ぐうう、僕が人間なんかに」


「おい、080もうやめろ、これ以上やるとお前がもたないぞ」


 アドメラが080を止めるがその瞬間080の身体が爆発した。


「ぐおお!!」


 080の身体が限界を迎えたためオーバーヒートした。


「う、ま・・・だ・・・だ」


「いや、もうダメだ、お前が倒れたからここもわかっちまう、退却するぞ」


 アドメラは080を抱えてその場から退却するのだった。


「居場所を突き止めたよ」


「どこですか?」


 八波が右京に問う。


「んー、何て言うか移動しているね、でもこの場所どちらかと言うと人間が住んでいない場所みたいだね」


「人間が住んでいない、まさか未確認が」


「その可能性があるかもね、ナンバーズって言ったっけ? 様々なタイプがいるみたいだけど、その中の一つに道具型ってあったじゃん」


「もしかして、パソコンとかそう言うモデルのナンバーズがハッキングしてたって事?」


 左京の問いに右京は頷く。


「多分そうかもしれないよ、だって、スキルホルダーのいる基地って相当高いセキュリティーだし、そんなセキュリティーに侵入できるのって未確認のような存在しかいないと思うのよね、同じ人間なら私は確実に居場所を特定できるからね」


「確かに、同じ人間ならどんな凄腕ハッカーの居場所も特定できるわね、本当に引くくらいだわ」


「引かないでよ、お姉ちゃん」


「右京君、よくやってくれた、セキュリティーを修復すれば問題ないだろう」


「じゃあ、修復ついでにもっと強力なセキュリティーを作っておきますよ」


 そう言って右京は再びパソコンを打つのだった。


「あー、参ったなー」


 未確認の本拠地に戻ったアドメラは頭を掻いて悩んでいた。


「私の部下全員やられて治療中だからな、今回はいけると思ったんだが」


「やり方がまどろっこしいんだよ」


「お前は」


 アドメラの前に一人の少女が現れたのだった。


 





 



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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