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27 砂の脅威

「さーてと、どうしたものかね」


 ネームドのアドメラは次の出撃をどうしようか考えていた。


「よし決めた、ナンバー027(ぜろにいなな)行け」


「了解」


 アドメラの命でナンバー027は出撃するのだった。






「ここ最近の未確認の動きです」


 八波が資料に目を通して説明をする。


「この一週間の間で他の日本支部の少女達が未確認と交戦しているのですが、ナンバーズの姿を見た者は誰もいないそうです」


「ナンバーズの姿を見ていない? どう言う事だ?」


 楓が八波に質問をする。


「正確に言うとナンバーズの攻撃を受けたのですがどこから攻撃して来たのかわからないそうなのです」


「見えない敵と言う事か」


「ですが、どのタイプかは予測ができています」


「何かわかったのか?」


「他の支部の証言によると突然地面から砂の塊が攻撃して来たり砂の手のようなもので殴って来たりしていたので、おそらく自然型のナンバーズ、モデルは砂かと思われます」


「なるほど、砂のナンバーズか」


「襲われた支部からして次は我々の所に出現するかもしれません」


「わかった、なら連れて行くメンバーをこちらで決めさせても良いか?」


「何か作戦があるのですね、わかりました、楓さんあなたに任せます」


「うむ、期待に応えるように尽くそう」


 数日後。


「さて、未確認の報告があったがナンバーズの姿は?」


「どこにも見当たりません」


「もしかしたら、他の支部の少女達を襲ったナンバーズかもしれん、各自地面からの攻撃にも警戒するように目標を殲滅するぞ」


『了解!!』


 楓の指示で少女達は警戒心を強めて未確認との戦闘に入る。


「さてと、お前の出番はまだだから一人で突っ走るなよ」


「わかってるって」


 今回楓と共に行動しているのは紗耶香ではなく、蘭華と組んでいる初音である。

 しかし、現在は初音のもう一つの人格である終音の方が表に出ていた。


「お前から次の出撃で私達に言って来た時は意外だったぞ」


「相手が相手だからな蘭華と離れ離れにさせてすまぬが、勝利のために私に付き合ってくれ」


「別に良いさ、帰ったら私が蘭華様にいっぱい褒めてもらうから・・・・・・ん? 何だ初音?」


「どうかしたのか?」


「いや、初音が何か文句言ってるんだよな、蘭華様に褒められるのは私だってよ、初音あんまり大声で言うな、頭がキーンとなりそうだわ」


 頭を抑えながら終音は自分の中の初音に言う。


「思ったんだが、終音、お前が初音と入れ替わってる時、初音の言う事に素直に従っているが、お前自身が表に出ている時そのまま自分が表に出たままにしようと思った事はないのか?」


「あー、二重人格ってそう言う風に捉える人もいるけどさ、私って言うなれば初音の中の心の一部が具現化したようなものだからさ入れ替わっても初音の身体を借りて存在しているって感じだから時間が経つと元の持ち主である初音と強制的に入れ替わるから、実質私が表に出られるのって限られてるんだよ、だから私が初音の身体をずっと乗っ取る事はしないって言うか、そもそもできないって事さ」


「なるほど、だからお前は素直に初音の意思に従って入れ替わる時は入れ替わり、元に戻る時は素直に戻るわけか」


「そう言う事だ」


 楓の言葉に終音は頷いて答えると同時に戦場に異変が起きた。

 未確認と戦っている少女達に砂の塊が地面から出て来て襲い掛かる。


「来たか、総員動ける者は負傷した者を連れて我が城壁へ急げ!!」


『了解!!』


 楓の指示で少女達は負傷した少女達を連れて楓のスキルで作った城壁に避難する。


「終音、頼むぞ」


「あいよ」


 楓に言われ終音は戦場に行く。


「・・・・・・」


 戦場に立つ終音だが辺りは静まっていた。


「・・・・・・おい、いい加減出て来たらどうなんだ? お前の事は知ってるんだからよ」


 終音は言うが反応は何もない。


「そうかい、出て来ないなら炙り出してやるよ」


 そう言って終音は地面に手をつき炎を出す。


「私の業火で地面を熱してるから地面の中が熱くなってるはずだ、人間と同じならこれは耐えられないだろ?」


 地面を熱し続けると突然終音の目の前に砂の山が現れた。


「ぐううう、熱い」


 砂の姿をしたナンバーズが姿を現す。


「随分デカいな、砂だからか」


「お前、許さん」


 027は砂の塊を終音に向けて放つ。


「ちっ!!」


 終音は業火を放つが砂の塊は業火を押し切り終音に向かって来る。


「お前の炎じゃ、俺の砂は打ち消せない」


「くっ」

 

 終音は砂の塊を躱し027に業火を放つ。


「ぐふふふ、熱いだけで効かないな」


 業火は直撃しているが027には全く効いていない様子。


「私とは相性最悪か」


「ぬう!!」


「しまった!!」


 地面から出た027の腕に終音は捕まってしまう。


「おおお、このまま握りつぶしてやる」


「ぐう!!」


 027に強く握りつぶされて苦しみだす終音だがその瞬間終音を掴んでいた027の腕が凍るのだった。


「ぬあああ!?」


 突然自身の腕が凍った事に027は驚く。


「な、何だ?」


「熱して効かないなら凍らせるのはどうかしら?」


 そこには主人格に戻っていた初音がいた。


「全部凍らせる」


 初音が強い冷気を放出させると027の身体がたちまち凍っていく。


「うあああー!!」


 叫び声を上げながら027の全身が凍った。


「とどめよ」


「それは困るな」


 初音がとどめを刺そうとすると上からネームドのアドメラが現れる。


「ネームド」


「アドメラだ、私の配下を殺すのは勘弁してほしいな、どうしてもって言うなら私が相手になるぞ」


 言ってアドメラは手に持っている大鎌を初音に向ける。


『初音』


「わかってる」


 中にいる終音の呼びかけに初音はちゃんと理解している事を伝える。


「今はあなたと戦う時じゃない、大人しく引くならこれ以上はしない」


「へえ、賢明な判断もできるんだ、良いぜ大人しく引いてやるよ、今度ゆっくりと遊んでやるからよ」


 アドメラは大鎌を振って027の氷を砕く。


「ぐう」


「おい大丈夫か?」


「姐さん」


「帰るぞ」


「了解」


 027は砂でアドメラを包んでそのまま地面に潜り撤退するのだった。


「・・・・・・はあー」


 アドメラ達がいなくなってから少しして初音は大きく息を吐く。


「存在感が全然違った」 


『確かにな、同じ人間の姿をしていたのにナンバーズとは別次元って感じだったな』


「もう帰る」


『そうだな』


「おお、無事に戻ったか」


「でも逃げられた」


「確かに逃げられたが負傷した者はいたが犠牲が出なかったのなら、問題なしだ」


「疲れたから帰りたい」


「そうだな、帰還するとしよう」


 疲れ切った初音は楓と合流し基地へと帰還するのだった。


「蘭華様」


「あらあら、随分疲れたのね、初音」


 基地に帰った初音はすぐに蘭華に抱擁してもらうのだった。


 



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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