25 ネームド
「この間、四体のナンバーズが兵を率いていたのに全滅した」
『!?』
どこかの場所の基地でナンバーズについて話し合っている、謎の集団達がいた。
「スキルホルダーって言われている少女達らしいんだがナンバーズを倒せる実力者がこの日本と言う国にいるようだ」
女性と思われる声がナンバーズ達に伝わる。
「そいつら、そんなに強いんですか?」
ナンバーズの一体が女性の声に問う。
「少なくとも五体以上のナンバーズがやられたんだ、油断は禁物って事だ」
「でも、姐さんなら問題ないですよ」
「バーカ、そうやって慢心したから他のナンバーズもやられたんだろ、だから少し動いた方が良いと思ってんだ、私が動く誰かついて来い」
「だったら、俺に行かせてくださいよ」
「お前か、良いだろう、残りは待機だ、よし私について来い」
「おう!!」
ナンバーズの一体が女性の声について行くのだった。
未確認の反応を受け柚葉は夜見と組未確認の殲滅に動いていた。
「こっちは片付いたけど、そっちは?」
「こっちも片付いたわ」
「まだ終わりじゃねえぞ!!」
突然の声に上を向くとナンバーズが鋭い爪を振り落とすが二人はそれを回避する。
「くくく、さすがは同胞達を倒した連中、こんなんでやられるわけないか」
「ナンバーズ」
「俺はナンバー047だ」
ナンバー047 生物型 モデルオオカミ。
「お前らはこの俺が倒してやるぜ、行くぞ!!」
047は鋭い爪で二人に襲いかかかる。
「何あいつ、馬鹿正直に突っ込んで来たわ」
「夜見、とにかく倒しましょう」
柚葉と夜見はそれぞれ武器を構えて047を迎え撃とうとする。
「おらおらおらー!!」
「動きが随分単調ね生物型だからかしら?」
「おいおい、生物だからってなめんじゃねえぞ、生物の生命力はしぶといんだからよ!!」
「しぶとくてもダメージを受ければいつか倒れるでしょ」
そう言って夜見が二丁の拳銃で047に打ち込んでいく。
「おおおおおー!!」
047は両腕の鋭い爪で銃弾を弾いていくがそれでも数の多さがあり何発かくらってしまいそこをすかさず柚葉のナイフで切られる。
「ぐおおー!!」
切られた047はそのまま片膝を着いてしまう。
「これで終わりよ」
夜見が銃を打ち銃弾が047に命中する前に突然上から何かが落ちて来て銃弾を全て打ち落とす。
「な、何?」
「何かいるわね」
柚葉が何か気づくと何かが落ちた衝撃で出た煙が晴れていくと047ともう一つの人影が現れた。
「私の部下を倒されたら困るんだよ」
そこには一人の少女の姿があった。
「何こいつ?」
「部下って言ってたけどもしかして、ねえあなた」
「何だ?」
「あなたがナンバーズよりさらに上の存在かしら?」
「そこまで知ってるのか、まあナンバーズよりは上の存在、私達は自分の事をネームドって呼んでるけどね」
「ネームドですって」
「ついに姿を現したわね」
「ぐう」
「047、大丈夫か?」
ダメージを受けて動けない047をネームドの少女は心配して声を掛ける。
「面目ないです、姐さん」
「気にしなくて良いさ、あいつらかなりの実力者だからな、お前でも二人は荷が重いだろ」
「アンタが未確認の親玉ってわけね」
夜見がネームドの少女に銃を向けて問う。
「親玉って言うかこいつらを率いている隊長の一人と言った方が良いかな、何せネームドは私一人じゃないからね」
「アンタ一人じゃないって言うの」
「まあナンバーズが複数いるんだからその上の存在も複数いてもおかしくないわね」
「へえ、ナンバーズよりも上の存在が出たのに意外と冷静だな」
「そうね、少なくとも取り乱さない程度には」
「ふーん、まあ良いさ」
そう言ってネームドの少女は大鎌を出す。
「挨拶代わりに少し遊んでやるよ、仲間達を殺してくれたお礼にな」
「そう、それは、楽しみね」
柚葉もナイフを構えるとネームドの少女は大鎌を振る。
すると大鎌から斬撃が飛び出し柚葉と夜見に襲い掛かる。
「ちっ!!」
夜見は二丁の銃を打ちまくるが大鎌の斬撃の威力は止まらない。
「普通に打ってもダメか、なら」
夜見は一点集中で弾を打ち込み大鎌の斬撃が打ち消される。
「へえ、やるじゃん、っとと!!」
斬撃が打ち消されたのを見ているネームドの少女に柚葉が接近しナイフを振るが大鎌で防がれる。
「この距離でも反応するのね」
「危ねえな、今のは驚いたぜ」
そんな事を言うがネームドの少女は笑っていて余裕が取れる。
「面白いな、もっと遊びたいが今日はここまでだな」
「アンタ逃げるの?」
夜見が銃を向けて言う。
「今回はただの様子見だからな、また今度な」
「そう、通りで全然本気を出してないと思ったけど」
「それは、お互い様だろ、お前らも様子見で本気なんて出してないだろ?」
ネームドの少女の問いに柚葉と夜見は何も答えない。
「まあ、そう言う事だから、帰るぞ047」
「了解っす」
「ああ、そうだ」
ネームドの少女は柚葉達に振り向く。
「私の名前はアドメラ、ネームドの一人だ、覚えておきな」
ネームドの少女、アドメラはそう言って047と共にその場を後にするのだった。
「・・・・・・はあ」
アドメラ達が去って夜見は息を吐いて銃を下す。
「とんでもないのが出たわね」
「ええ、彼女の事はしっかりと記録したわ」
柚葉は飛ばしていた小型カメラを手に取り言う。
「とうとう、動き出したって事ね」
「ええ、様子見と言ってたし全然本気じゃないでしょうね」
「ねえ、柚葉」
「何かしら?」
「アンタ、何でスキルを使わずに斬り掛かったの? スキルを使えば倒せたかもしれないじゃない」
夜見の言う通り柚葉の時を止めるスキルでアドメラに近づけば倒す事はできたかもしれないのに何故そうしなかったのか、夜見は純粋に疑問に思い柚葉に問う。
「そうね、確かに私のスキルで時を止めて彼女の首でも斬り落とせば倒せたって思うわよね」
「そうよ、なのにアンタはスキルを使わなかった、どうして?」
「何て言えば良いのかしら、時を止めても倒せるかわからなかったのが半分かしらね」
「半分って、じゃあもう半分は何なの?」
「んんー、こんな事言えば怒られるかもしれないけど、純粋に私が楽しみたいと思っているのかもしれないわ」
「楽しみたいって、アンタ」
「ほら、物語とかでよくあるでしょ、敵幹部を倒せるくらいの力を手に入れたのに一般の敵相手に何故か最初からその力を使わずに基本形態で戦って、決める時にその力を使って倒すって場面」
「あー、バトル系とかによくあるわね」
「その時なんで最初からその力を使わずにいわゆる舐めプと呼ばれる事をするのか私なりに考えたんだけど、もしかしたらその人達っていつでも倒せるから簡単に倒してしまうと面白くないから舐めプをしているんじゃないのかって」
「は?」
柚葉の言葉に夜見は訝しむような顔をして柚葉を見る。
「自分が楽しむためにあえて敵に合わせて色々な戦い方を試しているんじゃないのかって、いわば試した事ない戦術を試す練習台のようなものかしら、そうやって自分が楽しむためにしているんじゃないのかって」
「練習台って、アンタ今凄くとんでもない事言ってるわよ」
「だって、そうとしか思えないのよ、そうでなかったらまさか相手に勝てると思わせておいて最後に力を使って絶望を与える、サイコパスのようなものかしら?」
「あたしはそんな考えに至るアンタがサイコパスだと思えて来たよ」
「何を基準にサイコパスなのかはわからないけど、私がイカれているのは自覚しているつもりよ」
「・・・・・・自分でわかっているなら、マシなのか? いやいや、アンタの話を聞いたらそう言う系の主人公が皆そう言う風に見えてしまうよ」
そんな事を考えながら柚葉と夜見は基地へと帰還するのだった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




