22 未確認の生体
「打て!!」
楓の指示で少女達はナンバーズに銃を連射する。
「ぐあああああああ!!」
ナンバーズは少女達の攻撃に押されている。
この未確認はナンバー098生物型モデルバッタである。
強靭なジャンプ力で空中から攻撃を仕掛けていたが楓の指揮で全く通用せずに現在追い込まれている。
「ぐっ!!」
少女達は098を囲み逃げられなくさせる。
「とどめよ!!」
「待て!!」
少女達がとどめを刺そうとすると楓から待ったがかかる。
「楓、どうした?」
「・・・・・・採取するぞ」
「採取?」
「我々は今まで未確認を倒していたが生体については何も知らない、これを機にこいつの身体の一部を採取して生体を調べる」
「なるほど、了解した、総員冷凍銃の用意!!」
『了解!!』
少女達は別の形の銃を取り出しナンバー098に発射する。
するとその銃からは弾ではなく白く冷たい冷気のようなものが出て来て098を纏う。
しばらくして打つのをやめるとそこには冷凍銃で氷漬けになった098の姿があった。
「採取するのは腕の一本で良い、やられる瞬間にこいつらは爆散するからな、腕を切り落としたら即座にとどめをさせ!!」
『了解』
楓の指示で少女達は、098の片腕を切り落とした後で一斉射撃をする。
そして098の身体は爆散し、切り取った腕だけが残り、厳重に保管して基地へと運ぶのだった。
「楓」
基地に戻り自販機の近くで飲み物を飲んでいる楓に柚葉が話し掛ける。
「聞いたわ、ナンバーズの身体の一部を採取したんですって」
「ああ、チャンスだったからな、今生体を調べているはずだ、何か未確認についてわかれば良いんだが」
「そうね」
柚葉達が会話をしている一方で別の場所では理事長が八波と共に未確認の生体を調べている部屋に来ていた。
「未確認の生体についてわかった事があると聞いたが本当か?」
「ええ、とっても面白い結果が出たわ」
理事長の問いに白衣を着たスキルホルダーの少女が答える。
「理事長、最近来てくれないからとても寂しかったわ」
少女はそう言うと理事長の腕に抱き着く。
「玲子さん、説明をお願いします」
八波が冷静に言うがその目は静かにしかし明らかに怒りの感情がこもっていた。
「はいはい、冗談はここまでにするわ、あまり調子に乗ると八波ちゃんも限界だしね」
玲子は理事長から離れて説明をする。
「未確認の生体を調べたんだけど、これって言っても良いのか、理事長や他の支部の支部長達に言って良いのかどうか」
「構わん、今まで未知の存在だったんだ、少しでもわかった事があるなら遠慮せず言ってもらいたい」
「そう? じゃあ、遠慮なく言うけど」
玲子はパソコンを操作し理事長と八波にデータを見せる。
「これは?」
「これは、一般的な人間の細胞とかそう言うデータを数値化したものよ、つまり人間の細胞のデータね」
「この人間のデータがどうかしたのか?」
「捕獲した未確認の血液を採取して調べたのよ、そしたら驚きの結果になったわ、これが未確認の細胞のデータよ、人間のデータと比べて見て」
玲子が人間のデータの隣に未確認のデータを表示させる。
「え?」
「これは」
理事長と八波はそのデータを見て驚愕する。
「驚いたでしょ?」
「玲子さん、これは本当なんですか?」
「八波ちゃんがそう言いたくなるのもわかるけど、残念ながらこれは本当の事なんだよね」
「何かの間違いではないのか?」
「私が理事長に嘘なんてついた事ある?」
「意味のない質問だったな」
「ですが理事長どうしますか? この情報正直話すべきかどうか」
「そうだな、私も正直、総帥にこの情報を話すべきかどうか迷っている」
理事長ですらどうすれば良いのかわからない未確認の情報、それは慎重にいかなければならない情報のようである。
「・・・・・・話すしかないな、新たな情報を手に入れてしまったんだ」
「ですがこの情報を次の会議で話しても大丈夫なのでしょうか?」
「そうだな、戦場に出ていない私でも動揺している、なら戦場に出て戦っている少女達はもっと動揺する者も多く出るかもしれない」
「確かに、この情報を知ってしまえば混乱を招くかもしれませんね」
「その通りだ、そうならないためにも情けないがここにいる三人だけではどうにもならないな」
「そうね、私達だけが秘密にできる内容でもないし」
「他の子達にも話を聞いて意見を言った方が良いな、八波君、この情報を話しても大丈夫な子達を全員呼んでくれ」
「はい、すぐに」
話が終わり今度は、理事長の部屋に少女達は集まるのだった。
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