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21 情報共有

『新たな未確認が現れたと報告がありましたが、説明をお願いします』


 ここは未確認と戦うために世界中のスキルホルダーの少女達がいる各基地の支部長達が集まる会議の場所である。

 現在ここには理事長と八波がいて他の支部長達はモニター越しに聞いている。

 総帥もモニター越しで以前のように素顔を見せずに声もエコーが掛かっている。


「承知しました総帥、八波君」


「はい」


 理事長の指示で八波は映像を流す。

 そこに映っているのはナンバーズの姿であった。


『バカな、言葉を話す未確認だと?』


『姿も我々人間と同じくらいの身長でしかも言葉も流暢に話している』


『こんな奴らがいたのか』


 ナンバーズの映像を見て各支部長達に動揺が走る。


「今ご覧いただいたように現在このナンバーズと呼ばれる者達が巨大な未確認達を統率して行動しています、この者達は番号で呼ばれていてこの番号は生まれた順だと言う事です、さらにこれだけではありません」


『ナンバーズよりも上の存在ですね』


「はい」


 総帥の言葉に頷いた八波はその存在についての説明をする。


『言葉を話せる未確認だけでも貴重な情報なのにさらに上の存在がいると言うのか』


『情報が多すぎて今混乱しているよ』


『上の存在についてはまだ存在が確認されていないからいると言うだけでしかわからないわね』


「はい、ですのでナンバーズと戦っていればいずれ現れると思われるので、本日はナンバーズのタイプについてまとめましたのでそちらの説明をさせていただきます」


 八波の言葉に各支部長達は続きを言うように頷く。


「まず、最初に紹介するのは生物型、これは生き物の姿をしているのが特徴ですね、ライオン以外にもクモとかカマキリとか昆虫のようなものもいますが分けているとたくさんの種類がいますので総称して生物型と呼ばせてもらいそれのモデルとなっている生物で分けさせていただきます」


『確かに虫とか鳥とか魚とか種類にたくさんいるからな』


『そこまで分けるくらいなら生物として統一した方がまだマシね』


「次に紹介するのは自然型、これは自然界に存在するものが特徴の姿をしています、まだ確認されているだけでも一体、岩をモデルにしたナンバーズしかいませんが、今後出て来る可能性も考えられます」


『なるほど、岩は自然にあるものだからな』


『火とか水とかそう言うのも出ると言う事か、これはかなり厄介な存在になりそうですな』


「次に紹介するのは装備型、これは主に武器とかの姿が特徴ですね、現在は大砲と盾の二体の確認がされています、最初は武器型と名を考えていましたが盾は武器と言うよりも守るための道具なので戦いにおいて人間が使う道具を総称して装備型と呼ばせていただく事にしました、そしてこの装備型のナンバーズが一番攻撃力においては高いと言うデータが出ました」


『確かに、武器ほど強力で危険な物はないわね』


「次に紹介するのは植物型、これもまだ一体しか確認されてませんが植物の姿をしたのが特徴です、こちらも自然型と同じで今後も出て来る可能性があります」


『植物の生命力は侮れないからな』


「そして最後に紹介するのが道具型、これも一体しか確認されてませんが装備型と違い日常生活などで使う道具の姿をしたのが特徴です、これも今後現れる可能性は十分にあります」


『日常生活の道具も使い方によっては恐ろしいものになりますからな、これも厄介な敵になりますな』


「以上の五つが現在ナンバーズとして確認されているタイプとなります、もしかしたらこれ以外のタイプが出る事もあると思います」


『確かにこれだけじゃない可能性は十分に考えられるな』


『私の国はまだナンバーズと出くわしていないが、先にこの情報を知れたのは大きい、今後の対策を練る事ができる、日本支部のスキルホルダー達よ、よくぞこれらの存在を見つけて対処してくれた礼を言う』


 一人の支部長が頭を下げると他の支部長達も礼を言うように頭を下げる。


『ナンバーズの情報とその上の存在がいる可能性がある情報は我々にとっても有力な情報ですね、これらの情報を元に各国は対策をし今後現れるかもしれないナンバーズに対処してください』


『は!!』


『では今回の会議はここまでとしましょう、また何か新たな情報を得たら集まりましょう、では今回はこれにて終了とします、お疲れ様でした』


 総帥の言葉で各国の支部長達は一斉にモニターの映像を切るのだった。

 

『さて、竹本蓮司支部長』


 総帥はエコーの掛かった声を消し素の声で理事長に話し掛ける。


「はい」


『改めて、今回の情報を教えていただき感謝します』


「礼には及びません、我々は当然の事をしたまでです」


『あなたが味方でいてくれて安心です、それと八波さん』


「は、はい」


 総帥に名前を呼ばれるとは思ってなかったのか急に自分の名を呼ばれた八波は緊張した感じで返事をしてしまう。


『身体の調子はどうですか?』


「身体の調子ですか?」


『ええ』


「・・・・・・あ、はい問題ありません、まだ完全とは言えませんが前よりは明らかに正常に戻ってます」


 総帥の問いに何を聞かれているのかわからなかった八波は少し考えてその問いの意味を理解する。


『良かった、あなたには本当に無理をさせてしまってごめんなさい』


「いえ、仕方ない事です、当時はああするしか他に方法がありませんでしたから」


『それでも、私達があなた一人に全てを押し付けてしまった事に変わりはありません』


「あの時は私も同じ気持ちでしたから、ですが今は大丈夫です、私以外に戦える少女達が増えて来ましたから、むしろ今の私は理事長の秘書をして支えている事が幸せですので、気に病まないでください」


『ありがとう、そう言ってもらえるといくらか肩の荷が下ります、戦いはまだ終わっていませんがこれからも頼みます』


「承知しました、総帥」


『では、次の会議でお会いしましょう』


 そう言って総帥はモニターの電源を落とすのだった。


「さて、八波君」


「はい」


 理事長は八波を呼びその頭を優しく撫でる。


「り、理事長!?」


 突然の事に八波は顔を赤くする。


「君が私を支えてくれている事が幸せだと感じているように私も君が支えてくれている事に感謝している」


「理事長」


「どうか、これからも私を支えてほしい」


「もちろんです」


「そうか、では我々も戻るとしようか」


「はい」


 理事長に言われた事が嬉しかったのか八波は頬を赤らめ普段の冷静な顔からは想像できない柔らかな笑みを浮かべているのだった。











 おまけ


「あー、ガチで疲れたわー」


「会議で出す未確認の書類を打って確認する作業思ったより多かったわ」


「お疲れ様、右京ちゃん、左京ちゃん」


「お疲れ様です」


 会議に出す資料を作っていた右京と左京は疲れ果てていてそんな二人を由奈と菜乃はお世話しているのだった。

 

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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