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19 凍る表と燃える裏

 ~西エリア~


「皆、巻き込まれないように、私の近くには絶対に近づかないで」


『了解』


 言われた通りに少女達は初音から距離を取り大型の未確認との戦闘に入り初音は目の前の未確認ナンバー033との戦いに入る。


「君一人で僕の相手をするのかい? 無茶な気がするがね」


「問題ない、むしろあなたは私には勝てない、相性が悪い」


「相性が悪い? 面白い事を言うね、では見せてもらおうか」


 033は両腕をかざすと地面から大量の巨大なツタが現れて初音を襲う。


「僕は大量のツタを自在に操れるのさ」


 巨大なツタが初音を押しつぶすように何重にも押しつぶす。


「おや、相性が悪いと言う意味がわからないうちに終わってしまったか」


「終わっていない」


「何?」


 見ると何本もの巨大なツタは初音に当たる手前で氷漬けになっていた。

 初音の周りには冷気が漂っていて立っている場所だけ少し氷漬けになっている。


「私のスキル『氷結(ひょうけつ)』はあらゆるものを凍らせる、今の私なら本気になればここら一帯を氷の景色にする事もできる」


「なるほど、だから他の者達から距離を取っているのか、君の力の巻き添えにならないように」


「そうよ」


「だが、凍らせるからと言って何になる、僕のツタは無限に出せるぞ」


 033はまた大量にツタを出すが初音は同じように凍らせていくが、その時背後からツタが出て初音を捕らえる。


「後ろから?」


「目の前のツタに気を取られている間に他のツタを地面に移動させて背後に周らせたのさ」


「くっ」


 初音はツタを解こうとするがビクともせずに逆にツタの締め上げる力が強くなっていく。


「ぐう」


「ははは、凍らせる余裕もないだろう、そのまま絞め殺してあげよう」


 全身を拘束しているツタはさらに強く締め付け初音の身体を引き裂こうとする。


「最初に・・・・・・言ったはず」


「ん?」


「あなたとは・・・・・・相性が悪いってなぁ!!」


 瞬間初音の全身から火が出て拘束しているツタを燃やし尽くし拘束から逃れる。


「何!?」


 ツタが燃えた事に033は驚愕する。


「初音が相性悪いって言っただろ? なんせ私が全て燃やすんだからな」


 少女の手からは炎が出現する。

 見た目は初音だが明らかに性格が変わっている。


「誰だ君は?」


「誰でも良いだろ? でもまあ、これから倒されるなら名前くらい知った方が良いか」






「初音が身体の所有権を渡したようだな」


 楓は西エリアの映像を見て状況を把握している。


「私は始めて見たけど、アレが彼女の中にいるもう一人の人格か?」


「そうだ、初音はスキルホルダーになる前は学校で酷いいじめを受けていて、その時に自分を守るためにもう一つの人格が生まれた、つまり初音は」


「二重人格」


「そうだ、そして二つの人格はお互いに意思疎通もできて基本身体の主導権は初音が握っているが本人が許可をすればもう一人の初音が表に出る、そしてもう一人の初音の人格の名は」



終音(ついね)、それが私の名前だ、そして私のスキルは『業火(ごうか)』単純に火で燃やし尽くすだけさ、だが植物のお前には相性最悪だろ?」


「ぐっ」


「さてと、長引かせるより一思いに一気にとどめを刺してやるよ」


 そう言った瞬間終音の両手から巨大な炎が現れる。


「何て炎だ」


「消し炭になるまで燃やし尽くせ!!」


 終音は両手の炎を033に向けて放つ。


「ぐっ、うおおおおおお!!」


 033は大量の植物を生み出し一本にまとめて炎を突き破ろうとするが終音の炎はそのツタを簡単に燃やし尽くしそして033を業火が呑みこむ。


「うあああああああああー!!!」


 033はそのまま業火に焼かれていき爆散する。


「歯応えのない相手だったな」


『お疲れ様』


 表に出ている終音に裏にいる初音が労う。


「新しい未確認だって言うからどんなのかと思ったけど全然物足りねえな、あの子達も終わったみたいだし」


 終音が033を倒すと同時に他の少女達も未確認の殲滅を終えている。


『終音、そろそろ私と交代して』


「えー、久しぶりに表に出たんだからもう少し良いだろ?」


『ダメ』


「そんな事言うなよ、久しぶりに表に出たんだから蘭華様に会って私が敵を倒した事を報告して良い子良い子されたいんだから」


『蘭華様の良い子良い子は私だけのものだからダメ』


「独り占め何てずるいぞ、私が倒したんだからな手柄を横取り何てさせないぞ、だから今日はこのまま私が表に出てる、はい決定!!」


『ダメったらダメー!!』


 初音と終音はお互いに言い合いをしているのだった。


 西エリアの戦い、初音(終音)率いる少女達の勝利。






「傍から見れば、独り言を言っているようにしか見えないな」


「いつもの事だ、ほっといても問題ないさ」


「これで私達を含めて三つのエリアの戦いが終わったな、残るは柚葉がいる東エリアだけだな」


「うむ、犠牲が一人も出なくて何よりだ」


「だが、柚葉一人だけで良いのか? 確かに柚葉は強いが」


「心配無用だ、湊、見なくても柚葉の勝利だ」


「え?」


 楓の言葉が気になり湊は柚葉のいる東エリアの映像を見る。


「な!?」

 

 映像を見て湊は驚愕する。

 何故ならそこに映っていたのは大型の未確認が全て倒されていて余裕な表情を浮かべている柚葉と追い込まれているナンバーズの姿だった。



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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