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10 総帥

竜ヶ峰桜(りゅうがみねさくら)総帥、後処理を任せて申し訳ありません」


 理事長が総帥に頭を下げ謝罪する。


『これくらい構いませんそれよりもあなた方にこのような命令をして申し訳ありませんでした、竹本蓮司(たけもとれんじ)支部長』


「世界の平和のためですそのためなら汚れ役は買って出ましょう」


『世界中が一丸となって未確認を倒さなければならないと言ってもこのような者達が現れるのは、予測できましたがまさか百人以上の支部長がしかも我が国日本からも何人かいたとは、上に立つ私が女性だと言う事も甘く見られていたのでしょう、だからこそこのように自分の利益のためにスパイを送り込んだり結託をしていたのでしょう、人間同士で争っている場合ではないのに』


「ですが、世界中に支部は、数千以上ありますそのうちのごく少数に過ぎません今回一掃できただけで良しとしましょう」


『ですが支部長を一掃できたとしても担当した支部には、まだスキルホルダー達がいます、その子達に新たな支部長を用意しなければなりませんね、その点は、私に息が掛かっている者達に任せましょう、これでも世界中に私に忠誠を誓っている者も多くいますからね』


「さすがですね、やはり我々をまとめるのにあなた以外にはいませんね」


『ただ、必死に地べたに這いつくばって生きていたらいつの間にか世界中の頂点に立つ財力と権力を手に入れただけの女ですよ、現に私にできるのは同じ人間をまとめるようにする事だけで実際未確認との戦いでは何も役に立ちませんよ、今回の事だって結局自分で手を汚す覚悟もないのですから』


「あなたは、そのままで良いのです、上に立つ者は綺麗な存在でなければならない世界の平和のためにあなたは自らの手を汚さずに綺麗なままでいてください汚れ役は、我々が引き受けますので」


『あなたは、優しいですね、だからスキルホルダーの少女達もあなたを信頼していると言うのがわかります、そう言えばここに来ているのですね、処刑人と呼ばれた少女が』


「ええ、柚葉君」


「呼んだかしら?」


 理事長に呼ばれた柚葉は、その場に姿を現す。


『あなたが処刑人の柚葉さんですね?』


「ええ、初めまして」


『あなたの事は聞いています、あなたにこのような汚れ仕事をさせてしまって申し訳ありませんね』


「問題ないですよ、裏切者はいずれ始末されるもの」


『ですが、その始末を全てあなた一人が担っている』


「仕方ない事です、人を殺すなんて生半可な精神を持った子には、荷が重いですよ、私のようにスキルホルダーになる前から異常な精神を持った人間じゃなければ持ちませんよ」


『あなたの経歴を見れば確かに異常な精神を持っているのがわかります』


「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ、あなたが敵にならない限り私は、あなたの味方ですから」


『竹本支部長、恐ろしくも頼もしい少女を味方につけましたね』


「はい、我が支部の最高戦力の一人ですからね」


『改めて今回の件で人類に敵対する可能性がある支部長達を一掃できました、これで未確認に向けて集中できるでしょう、今後は、他国からの要請や援軍は緊急事態以外は、自分達で対処してもらいます、ただし新たな情報を得た場合は、共有する事にします、よろしいですね?』


「承知しました、総帥」


『では、私はこの後の仕事もあるのでこれで失礼しますね』


 話が終わりスクリーンから総帥の映像は消えるのだった。


「八波君、柚葉君我々も失礼するとしよう」


「はい」


「ええ」


 柚葉達は、その場を後にする。


「理事長、私総帥の姿を始めて見ましたが女性だったのですね」


 帰りの車の中で八波は、理事長に話し掛ける。


「そうだな、総帥は、あまり表に姿を現さないお方だ、年齢は、三十くらいだが若くて美しい女性だからその見た目で舐められないためにも普段は、姿も見せずに声もボイスチェンジャーで話している、彼女が女性だと知っているのは、一部の信頼を置ける者だけだろう」


「理事長もその一人と言う事ですね」


「まあ、そうなるな、しかし彼女は、若く美しいからと言って舐めて掛かると痛い目を見る事になるがな」


「それは、どう言う事でしょうか?」


「彼女の凄さは、財力と権力だ」


「先程も話されていましたがそれが総帥が総帥になれた理由ですか?」


「そうだ、財力は世界の半分と言われていて権力は、全ての国の政治家や警察、弁護士に検察に裁判所さらには、裏の世界の者達まで手玉に取ると言われる程の権力を持っている」


 理事長の説明を聞き八波は、驚愕する。


「それほどの方だったのですね」


「だが最も恐ろしいのがこれらの財力や権力を全て自分の実力で手に入れたと言う事だ、つまり総帥は、その気になれば世界征服すら簡単にできると言う事だ」


「それは、敵に回したくない相手ですね」


「強大な力を持っているからこそ敵も多いし今回のような事が起きてしまった、だからこそ汚れ役や代行する者が彼女には必要なのかもしれないな」


「その一つが我々と言う事ですね」


「私の勝手な判断だ嫌なら拒否してくれても構わん」


「私は、最後まで理事長について行きます、例え他の者がいなくなったとしても」


「すまないな」


「それと話は変わりますが、他の国の支部に行っていた子達が帰って来たと連絡がありました」


「そうか、彼女達が帰って来たか」


「裏切者達も一掃してこれで本格的に未確認との戦いに臨めますね」


「ああ、引き続き頑張ってもらおうか、もちろん君もだ柚葉君」


 理事長は、車を運転している柚葉に言う。 


「ええ、そうさせてもらうわ」


 笑みを浮かべながら柚葉は、車を運転するのだった。







 

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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