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9 ターゲット一掃

「ん」


 ベッドで寝ている由奈は、目をゆっくりと開ける。


「目が覚めた?」


 柚葉は、優しく笑みを浮かべて由奈に問いかける。


「おねえ、さま」


 意識がハッキリとしていないのか今にも目を閉じそうである。


「あれ、私どうして? えっと、ターニャさんと会ってそれから、それから」


「良いのよ」


 何があったのか思い出そうとする由奈に柚葉は、優しく柚葉の頭を撫でる。


「無理に思い出さなくても良いのよ、まだ眠いでしょ? 今はゆっくり休みなさい、起きたら話すわ」


「はい、おねえ、さま・・・・・・」


 由奈は、再び目を閉じて眠りにつく。

 柚葉は、変わらず頭を優しく撫でて由奈の傍にいるのだった。



「やはり間違いなかったか」


 理事長室では、理事長と八波が話し合っている。


「菜乃さんが見た記憶と我々が集めた情報、もう決まりですね」


「世界中にあるスキルホルダーの支部からすれば大した数ではないかもしれないがそれでもこれだけ多くの者達が裏で結託していたとはな」


「他国だけでなくここ日本でもいくつかの支部の者が情報を与えていたようですね」


「残念な事だ」


「結託している者達は、全員わかりました後は、どうするかですね」


「すでに総帥には、伝えてあるそして許可も下りた」


「では」


「ああ、すぐに会議に向かう」


「わかりました」


 理事長と八波は、出かける準備をするのだった。

 

 時は流れ、理事長と八波は、もはや未確認の影響で世界地図も変わってしまったため、地図の中心部分と呼べる巨大な島がありその島には、各国の支部長達が集まり未確認についての情報を共有する会議を行う、理事長もその会議に出席し、現在会議が始まるまで自身の椅子に座って待っている。


「それでは、会議を始める前に今回集まっていただいた皆様にお伝えしたい事があります」


 理事長が席を立ち話始める。


「何ですかな?」


「手短にお願いしますよ」


 この中では、一番若い年齢の理事長が世界で一番スキルホルダーの未確認の殲滅の戦績が一番良い事もあり一部の支部長達からは、あまり良い顔をされていないため今回集まった支部長達は全員理事長に対してどこか舐めた態度を取っている。


「ええ、私としてもさっさと終わらせたいですからね、単刀直入に言いましょう、あなた方が結託して利益を得ようとしている証拠は、手に入れました」


 理事長の言葉を聞いた支部長達は、一瞬の静寂の中一斉に笑い出す。


「何を言い出すかと思えば」


「我々が結託をして利益を得ようとしている?」


「面白い発想をしますね」


「八波君」


「はい」


 他の支部長の事など構わず理事長は、八波に指示をし八波は、資料を取り出しスクリーンに映し出す。

 そのスクリーンを見た支部長達は、笑いが止み一気に顔を蒼褪める者も出る。


「ご覧の通り、あなた方が裏で結託し自分達の国が利益を得るために動いていた証拠です、と言われてもこれだけで納得しないと思われるのでまだたくさんありますのでお見せしましょう、八波君」


「はい」

 

 その後も八波は理事長の指示で次々と証拠の資料をスクリーンに映していく。

 どの資料も証拠としては、十分すぎるくらいで言い逃れできないものであった。


「さて、ご覧の通りこれらの証拠に当てはますのは、今日ここに集まっていただいているあなた方です、我々他の支部には内密にこれほどの事をしていたとは、今我々がしないといけないのは未確認の殲滅、我々が利益など関係なく力を合わせなければならないと言うのにあなた方がいては、未確認だけでなく同じ人類とも戦わなければなりませんな」


「こ、こんなのでっち上げだ!!」


「そうよ、我々がそんな事するわけないでしょ!!」


「そうですか、ですがあなた方が特に欲したのは、由奈君のスキルでは?」


「何を」


「八波君」


「はい、由奈さんのスキル『無限のエネルギー』は常に何かしらのエネルギーが由奈さんの身体からあふれているそうです、このエネルギーは、スキルのレベルを上げる経験値のような効果もあるため開発部によって作られた首輪を由奈さんにつけてもらいそこから伝って私達がしているこの指輪に入り経験値としてスキルのレベルが上がりスキルの力も強くなっています、ですが他の可能性もありました、それは、自分達の肉体を若返らせる事」


 八波の言葉に支部長達は、目を見開く。


「由奈さんの無限のエネルギーがスキルのレベルを上げるだけでないと言う考えは、早い段階で考えていましたすると彼女のスキルは、人間の肉体面の強化としても使える事がわかりました、例えばウィルスや病原菌、感染症に対する免疫力の強化、さらにあらゆる細胞を強化させる事もできこれにより老いた細胞も若者と同じ細胞に強化され肉体を若返らせる事も可能になる事がわかりました、この情報は別にあなた方に知られても問題ないと思いましたので情報をあえてスパイ達に与えました」


「な、何故だ?」


「そうだ、肉体の強化させて若返らせるなんて、これだけで交渉の材料としては、魅力じゃないか?」


「無駄だからですよ」


 理事長の言葉に支部長達は、首を傾げる。


「彼女のスキルは、同じスキルホルダーでなければ受け入れられず、我々普通の人間がエネルギーを与えられると、そのエネルギーに身体が耐え切れずに最悪身体が破裂し肉片となる事がシミュレーションで分かりました、だから仮にあなた方が由奈君を手に入れた所で若返る事は、不可能と言う事です」


「そんなバカな」


「何て事よ、あの頃の若い肌に戻れると思ったのに」


「ワシも若かりし頃の肉体に戻れると思ったと言うのに」


「全てが無駄だったのか」


 支部長と言っても全員がかなりの年を取った者達であり若返る事は、彼等彼女等にとっては、喉から手が出るほど欲しいものの一つでもあったのだ。

 それができないと知り頭を抱えだす者も多くいる。


「さて話が逸れましたが本題を話しましょう」


「本題だと?」


「ええ、あなた方をここに集めた理由は、あなた方を切り捨てるため、つまりここで死んでもらいます」


『!?』


 理事長の言葉に支部長達は、強く反論する。


「ふざけるな!!」


「私達に死んでもらうですって!!」


「若造が調子に乗るな!!」


 支部長達が理事長に罵声を浴びせるが理事長は、冷静に一言を発する。


「やれ」


 その言葉と共に一人の支部長の首から血が噴き出し机の上に倒れる。


「え?」


 すると次々と支部長達が首から血を噴き出し倒れていく。

 その光景に悲鳴を上げる者達もいる。


「な、何が起きている!?」


「何で急に首から血が噴き出しているの!?」


「うわ!! し、死んでる!?」


「待て、この死に方送り込んだスパイの死に方と似ている!?」


「知らないうちに首を切られて殺される、まさかここにいるのか!? 処刑人が!?」


 処刑人がいると知った支部長達は、自分達が殺されると確信して逃げ出そうとするが逃げようとした支部長達も首を切られ死んでいく。


「嘘だろ、本当に我々を殺すのか!! 心がな・・・・・・」


「ちょっと、処刑人!! あなたは何も感じないの!! 人を殺す罪悪感がないの!! あなたには・・・・・・」


「イカれている、処刑人お前は、イカれている!! お前の・・・・・・」


 話を中断させるように処刑人は、支部長達を殺して黙らせる。


「おい、お前達こんな事して許されると思っておるのか!! ワシ等が死ねば誰がワシ等の抜けた穴を埋めるのじゃ!! 第一こんな事総帥が認めるわけがないのじゃ!!」


 支部長達の中で一番の年長と思われる男性が理事長に言うが理事長は、冷静に淡々と言葉を返す。


「なら、言いましょう今回の事は、すでに総帥に伝えており許可もいただきました」


「なんじゃと・・・・・・」


 それが最期の言葉となり首から血を噴き出して倒れる。

 やがて処刑人の処刑が終わったのか静かになり辺りには、支部長達の死体が転がっており、生き残っているのは理事長と八波だけになった。


「理事長ここは、血生臭いですので出ましょう、この場の掃除もしなければなりませんので」


『それなら、こちらでやりますので問題ありません』


 どこかから声がした途端頭にガスマスクをし防護服を着た集団が入って来て支部長達の死体を回収し飛び散った血などを掃除している。

 

「理事長、これは」


「死体を処理する専門の者達だ、それにさっきの声は、あなたですね」


『ええ、私です』


 スクリーンに三十代と思われる美しい女性が映し出される。


「我々の邪魔になる者達を一掃しました総帥」


 スクリーンに映ったのは、世界中の組織をまとめる総帥と呼ばれる女性であった。


 

 


 

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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