神様との出会い その三
サラスワティが改めて自己紹介した。やはり16歳くらいの少女の姿で、肌が白い。服装は小人型サラスワティと同じだが、身長は150センチちょっとくらいだろうか。ナラヤンよりも5センチほど低い。
「分身から事情は得ています。これも何かの縁でしょう、歓迎しますよ」
ムカスラとナラヤンも自己紹介を済ませた。ナラヤンがサラスワティの姿を見て、赤面している。
ムカスラがニヤニヤしながらナラヤンを小突いた。彼も荒れ放題になっていた赤い髪を整えている。
「命の危機を経験した直後ですからね、惚れやすい心境なのでしょう。後で冷静になって考え直した方が良いですよ」
ナラヤンが、いやいやいや……と否定的に首を振った。ついでに右手の平をクルリを返す。
「実際に命の恩人ですよ。本当なら僕はもう死んでたハズですし」
ここで何か思い出したようだ。語気が荒くなる。
「カーリー様とかがサラスワティ様を邪神って罵っていましたよ。無礼でしょ。非難すべきは彼女ではないでしょうか」
サラスワティが苦笑した。肩にかけているストールの色が青から緑に変わっていく。
「いえ、実際に私の別の面は邪神なんですよ。マタンギと呼ばれる、不浄を好む神です」
そう言って、ナラヤンとムカスラから視線を逸らした。
「昔、ちょっとありまして……こうなりました。ですが、今はかなり制御できていますから、滅多な事では暴れたりはしませんよ」
それはそうと……と、じっとナラヤンを見た。さらに赤くなって目が泳ぎ始めるナラヤンである。
「私の姿が見えるのですね。今どき珍しいな」
「このスマホ画面を通じて見ているだけです。僕の目で直接見る事はできません」
ナラヤンがそう答えて、手に持っているスマホを見せて説明した。興味深く聞くサラスワティである。
ムカスラが再び空中ディスプレー画面を呼びだそうとしたが、不具合が生じて失敗してしまった。
「あれ? さっきは上手くいったのに」
サラスワティが説明した。
「神術場の中ですからね。羅刹魔法は機能しにくいはずです」
ナラヤンが地元イタハリ出身のマデシ族だと教えると、サラスワティが喜んだ。
「そうですか。ここのマデシ族には昔から色々と助けてもらっているんですよ」
ムカスラのお願いを聞いてサラスワティが穏やかに微笑み、羅刹の保護を引き受けた。
「封印されている魔物や羅刹をそちらの世界で引き取ってくれるというのであれば、反対する理由はありませんよ」
ナラヤンが細い眉を寄せながら小首をかしげて聞いた。
「どうしてサラスワティ様だけがこんなに話を聞いてくれるのですか? 他の神様は全然でしたよ。まあ、オウムが暴れ回ったせいもあるのでしょうが……」
サラスワティが細い眉をハの字に寄せ、少し困ったような笑顔になった。
「実は、私って泣き落としに弱いんですよ」
サラスワティは音楽と知識などの女神である。
宗教画では河のほとりで、白い蓮の花の上に座ってヴィーナを弾いている姿が多い。そばには白鳥かクジャクが控えている。手には108珠の数珠とヴェーダの本、水差しなどを持つ。
ヴィーナは弦楽器の一種で、2つ共鳴器がついている。各種あり、インド圏の地域によって形状が異なる。
108の珠は煩悩の数ではなく、ヴェーダの詠唱回数をカウントするための物差しとして使う。サラスワティ信仰の場合では、学業成就などの目的ごとに定められたマントラを詠唱する際に使うようだ。
「私の役目は、探求する者に祝福や加護を与える事です。これには人間、羅刹、亜人、魔物も関係ありません。実際に人間が得た知識で育種された作物や家畜は、魔法世界などの多くの異世界で歓迎されています。密輸というのが欠点ですけどね」
ムカスラがドヤ顔になって反論した。
「羅刹世界のマガダ帝国は、正式な輸入契約をここ人間世界の会社と結んでいます」
サラスワティが優しく微笑んだ。
「そうなんですか。良い事ですね」
そして、オウムの緑色の羽を床から拾い上げた。手の中で白鳥の羽に変化していく。
「ですが、私と会う際には、清浄な場所が安全ですね。私は平気でも、白鳥がオウムになってしまう場合がありまして……」
ナラヤンが提言した。
「ビラトナガル市内にお越しになる際には、できれば白鳥さんは連れていかない方が良いかと思います」
ムカスラがうなずく。
「危うくオウムに食べられてしまいそうになってましたからね、ナラヤン君」
サラスワティが申し訳なさそうに謝った。
「あの時はごめんなさい。次回からは改善します」
ムカスラがサラスワティに質問する。
「女神カーリーを寄せ付けないとは凄いですね。何か秘訣でもあるのでしょうか」
サラスワティがヴィーナを弾きながら、軽く肩をすくめた。
「実は私とドゥルガは、カーリーさんよりも古い神に属するんですよ。ですので、色々と知っているだけです」
ナラヤンが驚いた。
「ええっ。16歳くらいにしか見えませんよ。こう言っては罰が当たりそうですが、カーリー様の方が年配に見えます」
サラスワティが微笑んでコロコロと笑った。
「人間から神になったのがその年齢ですね。ちなみにドゥルガは私の腹違いの姉なんですよ」
あれ? これって呪術師ラズカランさんの話と同じなんじゃ……と混乱するナラヤン。
ラズカランと公園管理人のラムバリが話した内容をサラスワティに聞いてもらい、真偽のほどを確かめようと試みた。
しかし、サラスワティは意味深に微笑むだけだった。
「もう昔の話です。神話や伝説は確かめてしまうと、ただの歴史になってしまいます。その話が本当だったかどうかは、曖昧なままにしておきましょう」
がっかりするナラヤンに、サラスワティがいたずらっぽく微笑んだ。
「ですが、一点だけ指摘するとですね……その吟遊楽人さんの祖先はウグラセーナさんの親友だった、という事ですね。チャンドラグプタさんの軍師の先生でもありました。ですので脚色がそれなりに入っていますよ」
そもそも最初のゴグラハの神話の時には、その人は産まれていませんでしたよ……とサラスワティに指摘されて、納得するしかないナラヤンである。何しろガンジス河が誕生する前の時代だ。
ナラヤンが肩を落とした。
「むむむ……脚色された神話と伝説だったか。僕が聞いても怪しさ満点でしたし、そりゃそうですよね」
サラスワティが再びいたずらっぽく微笑んで、三日月型のイヤリングを見せた。青白く光る。
「三日月の夜には縁がありますけれどね」
続いてサラスワティがムカスラに視線を投げた。
「貴方の上司のプラランバさんでしたら結構知っていると思います。機会と興味があれば聞いてみるのも一興でしょう」
ムカスラが恐縮した。赤い瞳が濃くなったり薄くなったりしている。せっかく整えた赤髪も数本ほど暴れ出してしまった。
「プラランバ様はとても偉い御方なんですよ。畏れ多くて聞けません」
コロコロと笑うサラスワティ。口を手で押さえたが、手の平には鮮やかな朱色の柄が描かれているのが見えた。
「あら残念」
ナラヤンの腹がぐうと鳴った。照れて頭をかく。
「緊張から解放されたら空腹感が凄いです」
「そうだろうと思いまして……」
ムカスラが笑って答え、結界内から料理と菓子、それにスープや果物ジュースまで取り出して、展望台の床に広げた。最後にナラヤンの水筒を取り出す。
ナラヤンがサラスワティも誘ったのだが、彼女は寂しく微笑んで断った。
「今の神々は触れる事ができないのです。先ほどナラヤンさんを手でつかめたのは、神術を使用したからです。ナラヤンさんとムカスラさんだけで食事を楽しんでくださいな」
ムカスラも女神の言う事を肯定する。ナラヤンが少し考えた。
「では、こういうのはどうでしょうか。サラスワティ様といえばバサンタパンチャミ祭ですし、そこで捧げる供物に準じる……こんな感じで」
ナラヤンが簡易の祭壇を設けて、供物として供えた。
バサンタパンチャミ祭は冬に行われるサラスワティを祀る祭祀である。土でつくった女神像を神輿に乗せて練り歩き、焼いてから川に流す。その後はホーリー祭のように色粉を互いの顔に塗って歌い踊る。
女神にはチックピーを砕いてシロップに浸けて菱形に型をとって焼いた菓子と、ニンジンの輪切り、インゲン豆、ラプシを供える。祭祀の最後には、皆でダルにご飯を入れて粥状にしたキチュディを食べて終了する。これは離乳食でもある。
少し驚いた表情になったサラスワティが、コロコロと笑った。
「なるほど。これであれば味わう事ができます。実際に食べる事はできませんが、この形式でしたら生気は吸収できますね」
ナラヤンが軽く腕組みをして考え込んだ。
「生気ですか……となると、生の果実が一番なのでしょうか」
サラスワティが穏やかにうなずいた。
「ですが、こういった料理でも大丈夫ですよ」
先に全ての料理と菓子、飲み物をサラスワティに供物として捧げる。その後、ナラヤンとムカスラが食べる事になった。ナラヤンがムカスラに聞く。
「ムカスラさんは問題なく食べる事ができるんですね。人間世界から輸入しているそうですが、どこの輸出業者ですか? 僕も就職できるでしょうか」
ムカスラが申し訳なさそうに否定した。
「すみません。契約で関係者以外には教える事を禁止されているんですよ。求人も募集していないと聞きます。人間世界では悪魔崇拝者と呼ばれている人たちが経営している会社ですね」
がっかりするナラヤンであったが、気を取り直してスープ皿をとった。
「あ……器が必要ですね。ええと、水筒のフタが使えるかな? 口をつけずに飲めば大丈夫かと」
ムカスラがドヤ顔になって水筒を手にした。その水筒がいきなり3つに増殖する。
「研究機関でよく使う羅刹魔法です。試料のコピーを多く作っておくと便利ですからね」
驚いて目をキラキラさせているナラヤンに、その一つを渡した。
「機能も同じです。この程度でしたら因果律崩壊は起きませんので遠慮なく使ってください」
次にサラスワティにも水筒を渡した。一応、魔法場の衝突を防ぐためにトングを使って渡している。
サラスワティが水筒を受け取り、中を見て感心する。彼女も目をキラキラさせている。
「容量が水差しよりも多いんですね。保温もできそうかな。これは良いですね。今までは石製の水差しを使っていたのですが、容量が少なくて困っていたんですよ。水筒が広口なのも良いですね。色々な物を保管できそうです」
そう言ってから、軽く顔をかしげた。
「あ……ですが、この三つは魔法場で互いにつながっていますね。どれか一つが壊れても他の二つに影響は出ませんが、水筒の中に魔法や神術を封じ込めると、若干の影響が他の二つに生じるかも知れません」
ムカスラが驚いている。
「その通りです。さすが知恵の女神サラスワティ様ですね。初見で言い当てるとは」
ナラヤンには理解できなかった様子だったが、代わりにコメントした。
「その水筒ですが、魔法瓶とも呼ばれているんですよ」
面白い表現ですね、とご機嫌になるサラスワティとムカスラだ。
ナラヤンとムカスラが食事を終えてから、サラスワティが展望台の欄干を指差した。
「ムカスラさんが安全に人間世界から病原体の収集が行えるように、この展望台の欄干の一つを貸し出しましょう」
感謝したムカスラに、サラスワティが指示を出す。それに従い、ムカスラが自身の髪の毛を一本抜いて置くと、欄干の中に吸い込まれた。
サラスワティが穏やかに微笑む。
「これでこの欄干が収集装置になりました。展望台には私が常駐していますので、他の神々や魔物は手出しできません。安心して仕事をしてくださいな」
ナラヤンが細い眉を寄せて首をかしげているので、サラスワティが改めて説明してくれた。
「髪の毛には魔力が宿るんですよ。人間にも当てはまりますが、人間は元々魔法適性が乏しいですからね、髪の毛一本では足りません」
へえ、そうなのかと聞くナラヤンであった。
ムカスラが早速試してみると、欄干に黒い煙状の何かが吸い込まれ始めた。赤い目を輝かせるムカスラだ。
「おお……上司に報告して、使用許可を得るようにします!」
しかし、すぐに言葉の勢いがヘタれた。魔法で問い合わせたようだが不在だった模様だ。
「……上司が忙しい方ですので、時間がかなりかかるかも。その間は、ナラヤンさんのスマホを介して私が直接この世界へ出向く事になると思います」
気を取り直したムカスラが、ナラヤンのスマホを指さした。ちなみに今もナラヤンが使用している。スマホを介さないとナラヤンが羅刹や女神と会話できないためだ。
「現状では、彼のスマホが最も安全な通行路ですね。他の水差しやツボは川底に沈んでいますので、泥だらけのズブ濡れになってしまうんですよ」
ナラヤンが早速水筒の水を口をつけずに飲んでから、ご機嫌な表情で肯定的に首をふった。
「これで問題が解決しましたね。体を張った意味がありました」
サラスワティがクスクス笑いながらツッコミを入れてきた。
「体を張り過ぎですよ」
サラスワティが身を乗り出して、ナラヤンのスマホに興味を抱いた。
「こうなったのも何かの縁でしょう。ナラヤンさんやムカスラさんとの連絡の手段がほしいですね。いちいち展望台まで来るのは大変でしょう」
そう言ってから、スマホに右手の人差し指を突っ込んだ。見た目は指がスマホにめり込んだように見える。
ナラヤンが緊張しながらスマホを両手で持ってサラスワティに捧げた。
(んー……でも、指が触れたという感覚はないな。本当に触れる事ができないんだ。攻撃魔法……ええと神術だったっけ、それは届くのにな)
サラスワティがスマホから指を抜いた。
「これで私の自律アイコンがインストールされました。再起動してみてくださいな」
ナラヤンがスマホを再起動させると、画面上に小さな白鳥が現れた。ムカスラはイノシシなので、画面が賑やかになる。
が、ナラヤンの表情が曇った。
「あれ? 白鳥がオウムに化けましたよ」
サラスワティが顔をナラヤンに近づけて、一緒にスマホ画面を見る。顔を真っ赤にしているナラヤンを、ニヤニヤしながら見ているムカスラである。
サラスワティが残念そうに答えた。
「羅刹魔法による影響ですね。演算素子が羅刹魔法で動いていますから」
今度はムカスラとナラヤンが難色を示した。ムカスラがオドオドしながら聞く。
「襲い掛かって食べようとしたりはしないでしょうね。先ほどナラヤン君が頭を半分かじられたばかりです」
サラスワティが苦笑した。
「……可能性は無きにしもあらず、ですね。ではこうしましょうか」
そう言って、緑色のオウムをクジャクに再変換した。
「白鳥とオウムの中間の性質です。これなら暴れる事はないはずですよ」
ナラヤンが了解した。
「ではこのチビキャラにしましょう」
チビのクジャクとイノシシはスマホ画面上をウロウロ動き回っている。その機能は以下のようなものだ。
ナラヤンが話したい時は、このチビキャラに指で触れて連絡したいとサンスクリット語でいえばいい。ムカスラとサラスワティがナラヤンに連絡したい時は、通話術式を発動するだけでいい。
実際にスマホのクジャクが口をパクパクするとサラスワティの声が、イノシシからはムカスラの声がスマホのスピーカーから発せられた。
サラスワティが満足そうに微笑んだ。
「これで電話として使えますね。添付ファイルの送受信もできます。さすがにテレビ電話のような機能は無理ですが、必要になれば考えましょう」
神様すげえと感心するナラヤンだ。
しかし、その代わりに空中ディスプレー画面の発生機能は使えなくなってしまった。使えるように工夫してみますと話すムカスラである。
ムカスラ本人は、このイノシシの発する位置情報を介して羅刹世界から転移し、人間世界へ出入りする事ができる。さらにはスマホの中に潜む事もできる。
しかし、サラスワティは神なのでこれができない。このスマホには羅刹魔法が発動しているので、巨大な神術場であるサラスワティが関与するとスマホが壊れてしまうせいだ。
しかし、当のサラスワティは気楽な表情である。
「私は羅刹魔法も知っているので、後日、神術式を修正してみます」
このクジャクが発する位置情報を頼りにして、サラスワティが神術で転移して駆けつけるという形になるらしい。
「それと、術式が複雑ですのでしばらくかかりますが、私もこのスマホの中に入る事ができるようにしましょう」
凄いですね……と感心するムカスラ。
ナラヤンがサラスワティに、他の神々もこのスマホを利用できるのか聞いてみた。
……が、少し考えてから否定的に首をふるサラスワティであった。
「私以外の神々は神術しか使えません。羅刹魔法と真正面から衝突してしまうので、使うのは無理でしょう」
しかし、それも回避策を考えてみると話すサラスワティである。
「姉のドゥルガとか、こういうのが好きなんですよね」
そう言ってから、ナラヤンの髪の毛を数本ほど所望した。
「もしかするとですが、緩衝材として使える可能性があります」
理由は分からないながらも、素直に頭の毛を抜くナラヤンである。
ムカスラもスマホを手にして、術式を調べた。感心した後で、ナラヤンに真面目な顔を向ける。
「このスマホですが……羅刹魔法の機械への浸食が進んで、最終的には素子が壊れて使えなくなります。おおよそ1年後までの限定使用でしょう」
これも理解するナラヤンだ。ナラヤン自身には魔法適性がないので、スマホを介さないと意思疎通ができない。そのタイムリミットが設定されたと理解したようである。
ナラヤンが少し考えてから提案した。
「スマホの機能を強化してみます。羅刹魔法がかかっていない部品を良いモノに交換……かな。東部大学の情報工学部のムクタル先生と知り合いなので、彼に頼めば安上がりになります」
それは良いですね、お願いしますとムカスラ。サラスワティも勧める。
「では早速行ってきます」
ナラヤンが展望台から降りた。サラスワティとムカスラが見送る。
東部大学の方面へ向かう乗り合いバスに乗ったナラヤンが、コシ河にかかる長い橋から外を眺めた。数百メートルも離れると、スマホ画面でも展望台にいるサラスワティとムカスラの姿が見えなくなった。
(なるほど。有効距離もあるんだね)
神々の攻撃で、橋の道路面や欄干には穴があいたままだった。乗り合いバスが穴を乗り越える際に大きく車内がバウンドした。悲鳴と怒号がバス客と運転手から起きる。
ナラヤンがジト目になる。
(……後でここの修繕をお願いしよう。でないと、通行止めになりかねないよね)
バスの手すりにつかまりながら、ナラヤンが背伸びをした。
(なんか…ワクワクしてきたぞ)
改めてスマホで自身の大ケガ写真を見る。あまりにもボロボロなので、人形か何かのようだ。
(ふむ……どう見ても死んでるよね。脳ミソないし。でも問題なく生きてるって事は、事実上の不死になったのかな、僕は。神様に知り合いができると凄いんだな。この先1年間、楽しく過ごせそうだ)
しかし、その写真はすぐに消去されてしまった。
「え?」
ナラヤンが驚いていると、画面上のクジャクから電話の着信通知が。ナラヤンが電話に出ると、やはりサラスワティからだった。
「こんなのを残しておくとトラブルの種にしかなりませんよ。ネットで世界中に拡散されでもしたらどうするんですか」
その通りなのだが、もったいないなあ……と落胆するナラヤンである。
(どうせフェイク画像だとみなされて、スルーされると思うけどなあ)