神様との出会い その一
休憩を終えたナラヤンが再び自転車をこいで牛乳工場に向かった。そこでも病原体を色々と採集し、上機嫌のムカスラである。近くのドブ川やゴミ集積所でも喜々として採集していく。
一通り採集をして満足したムカスラが、ナラヤンに礼を述べた。
「良い感じですね。案内してくれて、ありがとうございます。それじゃあ礼と言っては何ですが、浄化しましょうか」
ムカスラが無言で手を振ると、ドブ川が清流に変わった。ゴミ集積場や牛乳工場から漏れ出ている酸っぱい悪臭も瞬時に消える。
驚いているナラヤンに、ムカスラがドヤ顔風味で説明した。
「闇魔法の一つで、消去魔法です。汚物や病原体を指定して、それを消滅させる羅刹魔法です。あんまり大面積で使うと因果律崩壊が起きますので、この程度の小規模な使い方しかできませんけどね」
他に病原体が多い場所という事で、ナラヤンが次に案内したのは病院だった。ネパールの病院の多くでは門があって、警備員が常駐している。持ち物検査や発熱チェックを門で行い、患者や見舞いに来た人だけを病院内へ通す仕組みである。
ナラヤンは当然ながら門を通れないので、外にある小さな祠の前に自転車を停めた。ムカスラに聞く。
「病院の外ですが、採集できますか?」
ムカスラが手を壁向こうの病院に向けてうなずく。
「この距離でしたら採集に問題は出ませんね。では、早速始めましょう」
ナラヤンのスマホ画面にはムカスラが映っていて、その両手に向かって黒い煙のようなモノが病院から流れ込んできているのが見えた。
「あー……これが病原体かな?」
ムカスラが採集作業を続けながらうなずいた。
「見えるようになりましたか。スマホの演算素子が徐々に羅刹魔法に馴染んできているようですね。さらに馴染むとよりハッキリ見えるようになるはずですよ」
そう言ってからムカスラが聞いた。
「この病院もついでに浄化してしまいましょうか」
ナラヤンが素直にうなずく。
「そうですね。良いんじゃないかな」
その時、小さな祠の屋根の上に何かが出現した。
「そこの魔物。病院に何の用事なりや。すなはち立ち去にたまへ」
「げ。神かっ」
慌ててムカスラがナラヤンの後ろに隠れた。
ナラヤンも驚いて、スマホを小さな祠へ向ける。そこには小さな白鳥に乗った白い衣装の小人の娘がいた。身長は30センチくらいだろうか。
同時に、祠がある事に今になって気がついた。木の影になっていたので見過ごしてしまったようだ。
(ずいぶんと小さな神様だな。白鳥も小さいし)
白い衣装は、女性が着る民族衣装のサルワールカミーズだと分かる。襟がない半袖シャツで、裾は膝まである。下は緩いズボンで足首でキュッと絞る裁断だ。肩には青いストールをかけている。見た目は豪華なパジャマといったところだろう。
肌も白くて、はだしの素足や手の爪には赤いマニキュアが塗られている。手の平にはメヘンディと呼ばれる模様が描かれてあった。これは入れ墨ではなくて、ヘナという植物をすり潰して得た染料を使う。濃い朱色なので、白い手の平ではよく目立っている。
ちなみに絵柄は最新版なのだが、ナラヤンはファッションに疎いのでその事は知らない。
ネパール人の女性であれば、腕や足首、首元に指輪やネックレスなどの装飾品をつけるのだが、この小人はそうしていなかった。ただ、耳には大きな三日月型のイヤリングがありキラリと日を青く反射している。
「ネパール語で再度警告します。私は女神サラスワティの分身です。抵抗するなら神術で排除しますよ。そこの人間も同様です。魔物に憑りつかれているようですね」
ムカスラがナラヤンを盾にして身を隠しながら、肩越しに抗議した。
「失敬な。ワタシは魔物ではありませんよ、羅刹です。マガダ帝国の法術省の研究員で、ここへは病原体の採集のために来ているのです。人間に危害を加えるつもりはありませんよ」
ナラヤンがムカスラの盾にされながら苦笑いしている。
(人質をとっているようにしか見えないと思いますよ、ムカスラさん)
「え? 羅刹なのですか。珍しいですね」
小人型サラスワティが、小さな白鳥の上で驚いた表情になった。
「病院にちょっかいを出してくるのは魔物ばかりですので、てっきり貴方もそうかと」
そう言ってから、小さな白鳥から身を乗り出した。
「羅刹たちは異世界へ旅立ったと聞きました。貴方はその異世界生まれの羅刹ですか?」
ムカスラが素直に答えた。
「はい、そうです。ワタシたちは羅刹世界と呼んでいますよ。この人間世界からの病原体侵入が羅刹世界で問題になっていますので、その調査と対応のために来ています。人間には感知されないように配慮しています。ここのナラヤン君は現地協力者です」
小人型サラスワティが嬉しそうに微笑んだ。
「そうですか。人間世界の産品はどこの異世界でも人気ですしね。病気や害虫の侵入はどこの異世界でも悩みの種のようですよ」
そう言ってから、懐かしそうな表情を浮かべた。
「では、バスマスラさんやプラランバさんも元気で頑張っているんですね。安堵しました」
今度はムカスラが驚いた表情になっている。
「プラランバ様はワタシの上司ですよ。よくご存じで」
コロコロと軽やかに笑う小人型サラスワティである。小さな白鳥も口を開けてガーガー鳴いている。
「あらまあ、そうなんですか。よろしく伝えてくださいな」
次に小人型サラスワティが真面目な表情になってナラヤンに顔を向けた。ドキンと胸が高鳴るナラヤンである。
(うわ……すっごい美少女だ。小人だけど)
彼女は色白で丸顔だった。黒い瞳は神々しい活力を帯びていて、細い眉がひょいと乗っている。背中までゆったりと伸びたフワフワしている黒髪が風に揺れているので、幻ではなさそうだ。
小人型サラスワティが少し表情を和らげた。
「魔物が人間に憑依すると、その人間は発狂したり乗っ取られたりするのですが……さすがは羅刹ですね。人間の精神や身体も正常です。ええと、ナラヤンさんと言いましたね。特に異常を感じてはいませんか」
ナラヤンが素直に答えた。肯定的に首をふる。
「普段通りです、サラスワティ様。宗教画とは衣装が違うのですね。サリー姿ではないし、額にティカやビンディもつけていないのですね。王冠みたいな飾りもないので意外です。腕の数も二本だけですし」
小人型サラスワティがコロコロと笑った。
「あの衣装は動きづらいのですよ。作業着には、このサルワールカミーズの方が気楽ですね。西欧風にシャツとジーンズでも構わないのですが、他の神々が不謹慎だと怒りますのでこの衣装にしています」
ナラヤンが目を点にした。
「ず、ずいぶんと気さくなんですね……ああでも、僕の高校の女子学生も普段着はジーンズです。スカート派は少数かな」
ムカスラが自身の服装を気にし始めたが、小人型サラスワティは穏やかに微笑むばかりだ。
「羅刹のムカスラさんも、その衣装で良いと思いますよ。それも作業服ですよね」
ムカスラが恐縮しながら答えた。今さらなのだが、ナラヤンから見るとどこかの軍隊の軍服のような印象だ。
「現場仕事が多いので、やはり汚れても構わないような服装になりますよね」
小人型サラスワティが再びナラヤンを見た。大真面目な表情に戻っている。
「ナラヤンさん。くれぐれも他の神には見つからないようにしてください。魔物や羅刹と一緒にいると、人間でも容赦なく攻撃されてしまいますよ」
ナラヤンが了解して首をふった。
「殺気立っているカーリー様を見かけました。気をつけます」
そして、木に隠れている小さな祠に視線を向けた。
「でも、街の中は祠だらけですよね……つい先ほどもサラスワティ様の祠に気がつきませんでした」
ムカスラが気楽な表情で胸を張った。
「ワタシが小人化してナラヤン君のポケットの中へ隠れていれば、大丈夫ですよ。それに、神様の言葉をネパール語に自動翻訳するようにしました。これでナラヤン君も聞きやすくなるハズです」
確かに、今はネパール語で会話している。
一方の小人型サラスワティは何やら考えている様子である。
(神様が使う探知魔法とかがあるのかも知れないな。ムカスラさんが使っているステルス魔法との化かし合いって感じになるのか)
ナラヤンがそのような事を考えていると、周囲の視線にようやく気がついた。大勢の人が病院へ出入りしているのだが、ジロジロとナラヤンを怪訝な顔つきで見ている。
(あ。そうか。僕以外の人には神様も羅刹も見えないんだった。不審者に思われたかな、これは)
病院の門から警備員のオッサンが数名出てきて、手に棒を持ってこちらへ歩いてきた。オッサンたちに愛想笑いを浮かべるナラヤンだ。
(今は学校の制服を着たままだし、ここで捕まると厄介だな。逃げよう)
ナラヤンがムカスラに告げる。
「あの。そろそろ僕たちは去りましょう。次の採集ポイントに向かいますよ、ムカスラさん」
その時、上空から威圧感満載の女の低い声がした。
「そこにいたか、魔物め」
ナラヤンがとっさにスマホを向けると、画面にはカーリーが映っていた。6本脚の獅子に乗り、金色に輝く三又槍を手にして空中に浮かんでいる。顔と体は青黒く、漆黒の髪が緩いウェーブを描いて腰まで伸びており、やはり裸足だ。
悲鳴を上げるムカスラを背中にかばいながら、ナラヤンが小さくため息をついた。
「やっぱり探知魔法があるのか」
カーリーは宗教画でかなり野蛮な衣装を着ている事があるのだが、この彼女は軍服姿である。ただムカスラの軍服とは系統が違い、どことなくインド貴族のような雰囲気がある。王族警護の近衛兵のような感じだろうか。金色に輝く冠もしている。
(腰巻一枚と、オッサン生首のネックレスのトップレスじゃないんだな。ちょっと残念。さっきと服装が少し違うな……着替えたのかな?)
ただし、腰に吊るしている大刀は宗教画でよく見かけるタイプだ。物打ちどころが三日月型になっている大刀でかなりの幅広である。斧としても使えそうな形状だ。
(アレで首を斬られるのは嫌だな……うん、嫌だな)
ナラヤン以外の人たちにはカーリーの姿は見えていないのだが、現象としては突風が吹いて旋風が巻きあがった。晴天なのに雷鳴が轟いて、門に雷が落ちる。何名かの通行人が落雷を浴びて、感電して倒れた。
悲鳴が上がり、棒を持った警備員のオッサンたちが狼狽する。しかし、瞬く間に次の落雷を食らってバタリと倒れ気絶してしまった。
ナラヤンとムカスラは、気がつくと半球形の防御障壁の中にいた。ドーム型のテントのような形をしている。小さな白鳥に乗った小人型サラスワティが防御障壁を維持しながら外に出て、上空のカーリーに怒った。
「ここは病院の前ですよ、カーリーさん。攻撃を止めなさい!」
6本脚の獅子に乗ったカーリーが鼻で笑った。ウェーブのかかった豊かな黒髪を旋風に任せているせいか、かなりの威圧感が出ている。
「シヴァ様とブラーマ様の命令で、魔物は見つけ次第を殺せっていう事なのだ。だから、多少の被害は出しても問題ない。人間も魔物と関わってしまったら殺す対象だしな」
小人型サラスワティが呆れた。
「何という言い草ですか。信者を殺してどうするんです」
ムカスラがワタシは魔物ではなくて羅刹だと主張したが、完全に無視されてしまった。
半球型の防御障壁の中に避難しているナラヤンが、とりあえず地面に転がっている石ころを拾ってカーリーに投げてみた。しかし、素通りしてしまい当たらない。
「ずるいな、女神ずるい」
ナラヤンがそうしている間にも、カーリーが雷撃をそこらじゅうに落しまくっている。おかげですでに十数人の通行人と警備員が感電して倒れていた。病院前がパニックに陥り、大勢の人が悲鳴をあげて右往左往しているのを見てナラヤンが冷や汗をかく。
「うわ……ここにいると被害が増える一方なのでは」
電柱にも落雷し、電線が火花を飛ばしてちぎれ飛んだ。ナラヤンが意を決して、小さくなってもらったムカスラを胸ポケットの中に押し込む。そして小さな白鳥に乗ってカーリーと口論している小人型サラスワティに告げた。
「僕たちのせいでケガ人が出るのはいけません。病院から逃げますね」
小人型サラスワティが驚いて振り返り、防御障壁の中にいるように命令した。が、構わずに外へ飛び出す。そのまま転がるように走って、自転車に乗り逃げ出した。
カーリーが鼻で笑う。青黒い顔にある琥珀色の瞳がギラリと輝いた。
「甘いな、人間と魔物」
カーリーが三又槍を容赦なく投げつけた。見事に自転車の前輪を貫き、そのまま道路に穂先が突き刺さる。
自転車の前輪が大破され、急ブレーキをかけたと同じ状態になった。自転車が前回転して宙返りし、ガシャンと派手な音を立てて道路に叩きつけられる。
ナラヤンも自転車から吹き飛ばされて、前方宙返りをしながら道路に背中から落ちた。小人型ムカスラも胸ポケットから飛び出て地面に頭から落ちる。
「ぐげ」
病院前の道路はアスファルト舗装だったので、落下の衝撃でナラヤンの息が詰まり、起き上がれなくなってしまった。カーリーと目が合う。
カーリーが容赦なく弓を引いて黄金の矢を射った。ナラヤンの背筋が凍る。
(げ)
しかし、その黄金の矢は小人型サラスワティが投げたチャクラによって弾かれた。矢の軌道が逸れて、ナラヤンの顔のそばの路面に突き刺さる。チャクラというのは滑らかな円盤型の刃で、それがブーメランのような軌跡を描いて、小さな白鳥に乗った小人型サラスワティの白い手に戻った。
「カーリーさん! 私の目の前でケガ人を増やすとか、いいかげんにしなさいっ」
そう警告してから、小人型サラスワティがさらに数枚のチャクラをカーリーに投げた。獅子に乗ったカーリーがヒョイと避けるが、チャクラ群は弧を描いてカーリーに再び襲い掛かっていく。
「こ、小癪なマネをっ」
カーリーが大刀を抜いて、チャクラの群れを斬り払い始めた。その隙に小さな白鳥に乗った小人型サラスワティがナラヤンの所へ飛んでいって、手を引く。
「深刻なケガはしていませんね。良かった」
次に路面に転がっている小人型ムカスラにも手を伸ばしたが、今度は激しい火花が散った。
「きゃ!」
小人型サラスワティが可愛い悲鳴を上げて、手をさする。
「ああそうでした。羅刹魔法場と神術場とは衝突する性格でしたね。忘れていました。では……」
小人型サラスワティの白い右腕が緑色に変わった。その手で改めて小人型ムカスラをつかむと、今度は火花は生じなかった。そのまま小人型ムカスラをナラヤンに投げる。
カーリーが全てのチャクラを斬り落として破壊し、さらに大刀をナラヤンに向けて投げた。投擲斧のような勢いで飛んでくる。ナラヤンが小人型ムカスラを胸ポケットの中に押し込んで、悲鳴を上げた。
「ひっ……」
再び、小さな白鳥に乗った小人型サラスワティが武器を召喚して大刀を弾いた。大きなドラを叩いたような音が周囲に響き渡る。大刀は軌道を逸らされて、門の警備員室に飛んでいき施設を粉砕した。赤レンガとコンクリートの破片が大量に撒き散らされる。
「あたた……この体では小さくて、戦闘は不向きなんですよね」
小さな白鳥に乗った小人型サラスワティが尻もちをついていた。召喚した斧を両手に持っているが、ほぼ破壊されている。斧はゴードと呼ばれるもので、戦象使いが用いるものだ。
「仕方ありませんね……」
小人型サラスワティがつぶやいて、顔の色が緑色に変わった。手にはカーリーが持っている大刀と同じ武器を持っている。
胸ポケットのなかで気絶していた小人型ムカスラが、パッと起き上がった。
「な、何ですか? 強烈な羅刹魔法場が発生してるんですが」
そして、小さな白鳥に乗った小人型サラスワティの後ろ姿を見てさらに驚いた。
「女神様が羅刹魔法を使ってますよ。これはいったい……」
そう言われてもよく分からないナラヤンだ。ようやく体が動くようになって立ち上がる。
「と、とにかくここから逃げましょう、ムカスラさん」
しかし、足が絡まってしまうようで、フラフラの千鳥足になって真っすぐに歩けない。
カーリーがジト目になって、緑色になった小人型サラスワティを見据えた。琥珀色の瞳が鈍い光を宿していく。
「魔物に加担するとは……サラスワティの分身を、敵と認定する」
緑色になった小人型サラスワティが小さな白鳥から飛び降りて、道路に着地した。
「それは困りましたね」
と、同時にカーリーの体を縄が縛り上げた。虚を突かれたカーリーが獅子に乗ったままで呻く。
「ぐっ……」
緑色になった小人型サラスワティが、小さな白鳥を千鳥足状態のナラヤンに差し向けた。
「ここにいるとケガ人が大発生します。そのオウムに乗ってコシ河西岸の展望台まで逃れなさい。そこに私の本体が待っています。飛行ルートは私の方で設定しましたから、そのオウムに従ってくださいね」
小さな白鳥がナラヤンの頭の上にとまった。それだけでナラヤンが大きくふらついて転びそうになる。
「オウム……?」
次の瞬間、小さな白鳥が緑色のオウムに変化した。そしてナラヤンよりも大きくなり、脚の鋭いカギ爪で緑色のズボンのベルトをつかむ。
「わっ……」
いきなり緑色の巨大オウムが舞い上がった。そのまま一直線に北西の空へ飛び去っていく。周辺にいた通行人が飛びあがった際の突風に巻き込まれ、吹き飛ばされて道路を転がっていった。
カーリーが縄を引きちぎって、緑色の巨大オウムが飛び去っていった空を睨んだ。ついでに落雷と旋風を起こして、さらに十数人の人達を気絶させている。
いよいよパニック状態になってきて騒然としていく病院前で、カーリーがため息をついた。
「おい。サラシュ…大騒ぎになったぞ、どうしてくれる。いや、今はマタンギだったか。さっさとその邪神の姿を解除しないと、殺すよ?」
マタンギと呼ばれた緑色の小人型サラスワティが、困ったような笑顔を浮かべた。
「羅刹の魔法場は、私たち神々とは反発するんですよ。この邪神の姿でないと触れる事ができません。時間稼ぎをさせてもらいますよ、カーリーさん」
6本脚の獅子に乗っているカーリーが不敵な笑みを浮かべた。新たな三又槍を手にしている。
「私には9柱の部下がいる事を忘れているようだな。すでに世界中から緊急招集をかけてある。もう間もなく全員が到着する頃だ」
ため息をつく緑色の小人型サラスワティ……もといマタンギである。
「まったくもう……カーリーさんは融通が利かなくて困ります」