サキ、ミノの実力を見る
「さてと、何か手伝うことはありませんか?これでも一応はサキュバスなんで力はありますよ」
「おおそうか、なら薪割りを頼んでいいか?その力なら早く終わりそうだ」
「え~サキお姉ちゃんやることないから一緒に遊ぼうよ~」
「え~と、ワドさんどうしましょうか?」
どうしよう。薪割りとロアの遊びどっちにしようか。個人的には女の子の遊びは肌に合わないから、力仕事の薪割りをやりたいんだよなぁ。困ったようにミノの父親を見ると、
「わかった。ロアと遊んできてほしい」
即断即決で、薪割りを諦めロアに譲った。いいのかよ、でも考えてみたら、ミノもそれこそ聖騎士長である。ミノの父親が入れば十分だろう。
「駄目よ、ロア。今からサキちゃんは、お風呂の為に薪割りをするのよ。だから私と遊びましょう」
ここで、薪割りにするか!まぁ俺としてはそっちの方が楽だ。悪魔だから人間とは感性が違うから、よくわからないところもあるし。
「え~お風呂は火の魔法を使えばいいじゃん」
ロアは駄々をこね始めるが。
「駄目、それじゃあ他の家の分の薪はどうするの?それに薪を使うのは、お風呂だけじゃないのよ。料理にも使うし、火が消えるたんびに、火魔法を使っていたら大変でしょ」
リアタさんが優しく説得してあげると、さっきまで駄々をこねていたロアは納得したのか、寂しそうに家の中に入っていく。
「やっぱり、苦手だけど遊んであげた方がよかったかな」
「気持ちはありがたいけど、ミノは修行でワドは見回りに行くの、力仕事は普段私がやっているの。お陰で余り力がないのに強くなっちゃて、それに昨日、とんでもないサキュバスが現れたという言葉をもらってね。少し休みたいの、だからお願いしてもいい?ロアは私が遊ぶから」
そういうことで、薪割りを頼まれたので、薪を作りに行く。ミノに修行は?と聞かれるが、それは後だ、食べ終えてからやると苦しくなるのが早いし、それにまずは生活手伝いからだろう。
終わってからやるよ答えるとわかったと返してから勉強をしに行った。どうやら力と技術だけではなく、相手がやってくる行動なども調べ、戦うためにやるようだった。
というか、お前が力仕事をしろよ。なんで修行だけやってんだよ。薪割りとかやれよ、意外と強くなると思うんだけど。
「まじめだねぇ、というかお前少しは家の事をやれ」
あっ、ミノ逃げた。
それにしても修行ね~俺はやらなかったよ、誰が自主的に勉強するか。むしろ教えられたことも右から左に受け流してたよ。やりたくなかったし覚える気がなかったしね。
基礎知識だけは耳にたこができるほど、言われたから嫌でも覚えてるけど。
しかし今そんなことはどうでもいい。薪を割るために、外に出て割るための斧を持ち。
さて、やりますか。まずは一本割ってみるが――勢いが強すぎて、薪が爆発四散して飛び散り、下の木まで痕がついてしまった。
どうやら力が強すぎたようだ。ちなみにやり方はミノに教えてもらった。
どう使うかも、サキュバスは川で水浴びをするから風呂などに入る習慣がないから初めてやると言ったら驚かれたなぁ。
今度は下の木に跡をつけないように、力をあまり入れないでやってみる。
だが今度は、薪に跡をつけるだけで終わる。
そのあとも何度も四苦八苦しながらやるが。出きない。力を入れても、入れなくても出来ないって意外と厳しいな。
「どうしたものか」
「おお、結構苦戦してるようだな」
「ミノのお父さん」
「そういえば名前教えてなかったな」
確かに気にならなかった。頭の中ではミノの父親と考えていたから。あれだ、友達の家に行くときに、相手の両親の事をだれだれちゃんのお母さんと呼ぶような感じだった。俺、友達いないけど。初めての友達は多分ミノだな。
初めての友達が人間とはこれ如何に
「私の名前はワドという名前だ。今後は気軽にワドさんとでも呼んでくれ」
「わかりました。ワドさん」
朝に襲ってきたとはいえ、かなりフランクになったな、素がだいたいこんななのか、そういえばミノが帰ってきたときはこんな感じだったなぁ。
後、いきなり後ろから来ないでほしい、朝の事がフラッシュバックするから。それに見回りはどうした。
「それにしてもいろいろ証明してもらったのもなんだが、いまだに信じられないな」
「何がですか?」
「君がサキュバスと言う事だよ。だいたいどのサキュバスも似たようなものだし何となく雰囲気で分かるんだが、わからなかった。私も年を取ったな。」
サキュバスって雰囲気があるのか初めて知ったな。どんな雰囲気なんだろ。肉食でまるで、デカイ鬣を持った猫の獣がえさの獣を取る時の目みたいな。
後、あなたどう見ても見た目20台にしか見えませんけど。と答えると、笑いながら嬉しいことを言ってくれるなぁと笑顔で答えた。
「それでどうだ、薪割りは順調か」
「今この惨劇を見てそう言うのならかなりひどい人ですね」
周りは火魔法の実験でもしてたの?といわれるほど木屑がそこら辺に飛び散っており、下にある木に至っては、分かりやすく大きなひとつの傷がついている。
すまんすまんと笑いながら、反省する気のない態度で謝罪する、ワドサンを俺はジと目で見る。
「そういうことを聞きたかったわけじゃないんだがな。力だけじゃ難しいこともあるだろと教えようと思ったんだが、その様子では力に頼りまくってたな」
図星だった。今まで教えられてきたことはとりあえず魔法を鍛えておけと言う事だったし、力に関しては元から強いのだから鍛えなくても何とかなるから戦うときは、近づかれないように戦い、もし近づかれた場合は、おもいっきり腕を適当に振り回しなさい。当たれば人間は致命傷だからと教えられてきた。
そう言われても俺は体を鍛えてた結果、体は引き締まり、身長もあまり伸びなくなったけど。腹筋とかは出ていない。体重はすごいことになってるけど無駄な脂肪はついていないので、気にしてない。
「そうだね、あいつら近接戦闘技術に関してなんにも教えてくれないし頭の中、男性の精を搾り取る事しかない奴らだしな」
「サキ君も同じことを言うのか。ということは、サキュバスの中では君が一番おかしい考え方をしていたんだね」
どうやらこちらの方でも基本サキュバスは脳筋と考えられていたようだ。
人間にまで、その程度の知能しかないと言われているなんて、哀れだなあの種族。その種族か、俺。
「ああ、まったくとんだ地獄にいたものだ、それに比べここは天国だな。サキュバスなのに天国にいるとは、幸せ者だな、俺は」
料理はうまいし、空気はなんかよくわからない獣みたいな臭い充満したものではなく新鮮で美味しい。それに最初に勘違いされたけどそれっきりで、みんなそのあとは正体を知っているのに客人をもてなすかのように接してくれる。
「おお、今のうちに神に感謝しておけよ、ここ以外ではそうはいかないからな頭が固い連中もいるし、嗜好品にするためにわざわざ捕まえてこいとか言ってくる連中もいるしな。最近のうわさだと遂に不老不死を持っているサキュバスが生まれたとかなんとか。ほんと辞めて欲しいよな、そんなの居たら老いないからかなり厄介だぞ。普通なら吸い続けないといけないけど、不老ならいくらでも隠れられるからな。出来るなら来ないでほしいし、被害甚大だな」
「ええ今のうちに神に感謝しておきます。あと倒した後に奴隷魔法かなんかで、搾り取るための器官を絶対に使うなと言っておくと、器官に痛みが出て、反射的に搾れなくなるのでよかったら教えといてください。他にも目の中から魅了の力を取り出して逆に魅了させるとか手ではありますね。ただしこちらの場合は取り扱いに注意してください簡単に人を惑わせられるのですから」
搾るための器官さえ封じてしまえば後はこっちのものだな。それにしても人間の中ではそのことは知られていなかったのかな。それに魅了の力もうまく使えば完全犯罪とか簡単にできそうだな、危ないから今のうちに教えておこう。
「器官があったのか。わかったそう教えられることがあるのなら教えておこう。魅了の件については分かった。というかどうやって力を抜き出せるか気になるけどあえて聞かない方がいいかな。あとお前だけは行為に及ばない限りは助けてあげよう。そもそも、人間の言葉が話せ、人に危害を加えない存在は亜人として認められる法律がどの国にもあるからな」
まじで、自由にいろんな場所を旅したいと思ってたから、楽でいい。どこかに本拠地を置きたいけど。それに考えてみたら人間の敵のような存在なんだから速攻で殺されると思ってた。それと気になる部分があったな、噂とはいえそんなことがわかるのか。まぁそのことについては不安を消しておこう。
「安心できるかはわかりませんが。いまワドさんの目の前にいるサキュバスが不老不死を持っています。あとどうやってその情報を手に入れるんですか?」
「えっ」
注意していた脅威の能力を持っている存在が居たら目の前に居たら驚くよな。しかも男の心を持っているからサキュバスらしいこともしないし。しかし、不老不死の能力って、そんな危険なのか。聞いたところによると、悪魔って不老ではないが、寿命では死なないらしい。ある意味では不死だと思うけど。まぁいいか。
「そうか君が不老不死を持っているのか。後、情報に関して秘密だから言えない」
「わかりました。あと不老不死に関しては本当です。神に誓ってでもいえます」
「その様子だと本当らしいなぁ」
そう言ってからなんども確かめるように顎に手を当て、こちらの顔を観察するように確認する。でも、なんで背中とかも触ろうとする?後、顔近い。しかも、なんかいきなり笑いだすし。
「まさかその考え方を持っている奴が不老不死持ちとは。私の覚悟を返してほしいね。しかしサキュバスからすると大打撃だね」
「これで大打撃になるんだったらいつまでも続けてやろうかな。正直あの種族大嫌いだし」
だから、サキュバスを縛る方法を教えたのだ。どこかで苦しむようにね。俺以外のサキュバスも一回は地獄に落ちればいい。もういっそ動物みたいに飼われればいいと思う。
そんなことを話したり、考えたりしてると時間がたち、そろそろミノの訓練の時間になってきた。訓練を手伝うといったのだ、早く俺も行ってこなけば。
「そろそろミノの訓練の時間になってきましたので、すいませんが薪割りはこれで終わりにします。すいません最後までできなくて」
「おお、もうこんな時間か、気にすることはない。次やる時はもう少し腰を低くして足をひらいてやるといい、あとミノは弱いから訓練は優しくやってくれ。さっきの力の5%くらいの力でいいからな。じゃあ私も仕事の時間だからな、頼んだぞ」
5%ぐらいの力かそんなこと言われてもこちらも相手の戦い方知らないから手加減のしようがないんだけどな。あと薪割りは腰を低くして足をひらけばいいのか。俺がサキュバスなのか、もしくは、心が男性だからなのか知らないが変な意味に聞こえてしまうのはきっと気のせいだろう。さて行くかミノの強さがどれくらいか見てやる。
そうして俺は、約束のために、ミノと出会った森に駆け出した
約束の時間森に行くとそこで剣を振りながらミノが待っていた
「まさか本当に来るとは、いいのか?」
「約束だからな、早速始めるか」
そう言い、体を戦闘する時の感覚にする。体から尻尾と翼が生え感覚が一気に鋭くなるのを感じる。訓練をするのだから、生半端な気持ちでやることはできないだろう。ましてや、相手は人間、エルフやドワーフ、悪魔と違って寿命が少ないのだ。少しも時間を無駄にすることはできないだろう。
「行くぞ!」
「ああ来い」
そしてこちらをうかがうように見ているミノが仕掛けてくる。だが、ミノは正直に言うと遅かった。それはもう、詳しくは見たことがないので、知らないが、本で書かれていたのそりのそりと動く亀のようにゆっくりとした動きでこちらに向かってくる。
タスさんが5%ぐらいの力で戦うように言ってきたのが、よくわかる。こんなのに、本気の力なんて使ったら、もれなくミノは、肉片残さず、跡形もなくなってこの世から消えていただろう。今の状態では、他の下位悪魔と戦うのも難しいだろう
というかあの人、一度戦っただけで、こっちの実力差を把握したのか、もう絶対に敵対しない様に気を付けよう。勘違いされない限りそんな予定ないが。
ミノはこちらに剣を振り、その剣を最小限、体をそらすことで回避する。そして反対方向からまた斜めに斬りに来たのも似たような感じでその場を動かず体をそらし回避する。
なんか、ミノには申し訳ないが、こっちからすれば、スローに見える。具体的に言うと一つの攻撃が体感、120秒に感じる。これ、隙を見ればちょっとだけ脇腹くすぐれるんじゃないか。狙う瞬間があれば後でやってみよう。
ミノは右足を使い、こちらの足を払い重心を動して、体勢を崩そうとしてくるが、それを一歩後ろに下がるだけで回避する。見てから回避余裕だった。そのあともミノはこちらに対してそよ風のような速度で剣を振り下ろし続けたが、それを全部、最小限の動きで回避する。
なんだろうこの緊張感がまるでない戦闘は。フワァ……あ、あくびが出た。眠くなってくる。そういえば今日はまだ逃げる計画練っていて、寝てなかったなぁ。
「悠長にあくびをしやがって、クソッ……ならこれでどうだ」
そして時折、光魔法なのかな?なんか嫌な感じがするだけの魔法を放ってくるがワドさんと違い、光の玉がゆらゆらと揺れるだけなので、それに合わせてこちらも闇魔法を放ち相殺すると、煙幕が起こる。
光魔法を目くらましに使ったのか。そもそも、光の強さが大きければ、それだけで目つぶしにはなるが。今回は俺も使ったから、目つぶしになったんだろう。そういえば、俺さっき普通に闇魔法を撃ったような。5%ぐらいの力と考えると、平気で出せるのか?
そしてそのままミノがこれまた見たことがないが、蜂のように剣の両の刃が上下になるようにして突くようにしてこちらに突っ込んでくる。
相手が悪魔だと刺さっても、そのまま剣をつかまれて、身動きが取れなくなるだけで終わるから。それはやってはいけない事だろ。見かけに騙されているのかな。ワドさんほど力があるのなら別だけど。
それをこちらは横から回し蹴りの要領で、剣の腹を上に蹴ることによって、剣を上空に飛ばし、瞬時にミノの背後に回り、首に掌を当てる。
「はい終わり」
これで勝負はついた。だが、今回は勝負ではなくあくまで訓練。
再び、ミノは離れたところに落ちている剣を拾うと、さっきよりも歩く数が多いが再び斬りかかってくる。
(何か探っているのかな)
ただでさえ動きの遅いミノの剣は、さっきほどの攻撃よりも勢いがなかった。そして徐々に勢いが落ちていき、ついに剣を下におろし振るのを止めた。
「ストップ。少し時間をくれ」
「どうした。なんかあったのか」
「悪い、さっきの蹴られた衝撃で手がしびれてしまってちょっと動かせない」
ミノの近くに行き、手をつかんで確かめる。見ればミノの手は確かにぶるぶると震え痙攣していた。俺としてはちょっと練習みたいに軽めに蹴っただけだったが、ミノにはそれが大打撃だったようだ。
「ごめん強く蹴ったかな」
「いや違う。ちょっと衝撃が強くて驚いただけだ。少し休憩したいいいか」
そのミノの申しげに応じ、木の木陰に座り、その間、ミノからこの世界の常識を聞く。
さっき、みんなで食事をしている時、常識を聞くのを忘れていた。というか、考えてみればほとんど裸の状態で食事している人は男女構わず常識をどっかに捨てていると思う。そして、それを終わるまで全く指摘してこなかったミノの家族って実はたいして常識がない?
少したってから立ち上がり、また元の配置についてから再開した。そのあとも、こちらの目を見てフェイントに注意しているミノを目を赤くして魅了眼で魅了して動けなくし、意識だけを元に戻してから、動けなくなるのを確認させる。
「どうだ動けないだろ、ミノ」
「ほんとだ、体が動かない。意識があるのに」
今頃ミノは、朝起きるとき、もしくは夜眠る時にいきなり目が覚め、動けない一種の金縛りに陥っているはずだ。
その状態になっているミノにゆっくりと近づき、顔を覗き込む
「精神力が強く保てないうちは、相手の目を見るとかほぼ自殺行為もいいところだぞ。本来だったらこのまま襲われて終わりだ。俺で助かったな、ミノ」
そう言い、赤くしていた目を元の黒色に戻し、魅了眼を解除する。
その瞬間、おっと、という声とともに、ミノは体勢を崩し、その場でうつ伏せになって倒れる。
「いやお前の魅了眼強いらしいからな。親父が下手したら最初に魅了眼使われてたら終わってたかもとか言ってたからな」
へぇ……マジッ!もしかしてあんなに苦労することなく一瞬で終わってたの?というかそれでいいのか聖騎士長。
次にやる時は魅了眼を常に使用しながら、背中にある翼を使って飛び上がり、上から一方的に飛ぶときに出る風圧で攻撃する。魔法で攻撃したら一環の終わりだしな。
ミノはジャンプしてもワドさんみたいに高く飛べないからな。
「ちょ、おまっ……卑怯だぞ」
「使えるものを使ってなにが悪い」
そのまま、翼を勢いよく羽ばたかせ、ミノが情けない倒れ方をしているのを確認すると、俺は上空からため息を吐きながら降りてくる。
まったく騎士の戦いじゃないんだから。正々堂々、戦うわけないだろ。
ミノが体力を回復するまで、倒れているミノを棒でちょんちょんと突く。意外と楽しいなこれ。早く起きないと続きが出来ないんだけどなぁ。
「……やめろっ!!」
あっ、叫びながら勢いよく起き上がった。
「もう少しぐらい優しく介抱してくれてもいいだろ!死ぬかと思ったわ!!」
どうやら雑に起こされたせいか、お怒りのようである。
「悪かったって」
俺は、両手を合わせて身長のせいか若干上目遣いになりながらも謝る。ミノは顔を赤くしながらも許してくれた。
その後は、尻尾をうまく使い身体を絡めとり、相手が真正のサキュバスだったらこのまま精を搾り取る事がある事についても教えたりしながら、ミノの訓練は日が暮れるまで続き。終わった後はミノは倒れ込んでいた。
「疲れたぁぁぁぁ。親父はこんな危険のある悪魔をあそこまで追い詰めることが出来たのか。本当に尊敬するよ」
「ミノ、ワドさんを尊敬するのはいいけど少しやられすぎだよ。言っとくけどお前今回で約50回以上は精を搾り取られていたかもしれないからな、気をつけろよ。あと俺は5%しか力使ってないからな」
正直今のミノの状態だと、サキュバスのいい餌だな。正直、魔法が付与されている状態で、これは弱すぎる。そしてそれを教えているのがサキュバスなのも客観的に見れば笑うかもしれないが。
「マジかよ、アレで5%ふざけてないか!?」
「まだましな部類だろ、淫魔法とか使ってないんだから。サキュバスと戦うときあいつらそれ使って無理やり相手を興奮状態にしてから戦うんだぞ。冷静な判断が出来ないようにするのと力を必要限以上引き出させ、勢いのせいで、空振りするよう戦わせて、早く消耗するようにしてくるぞ。そうすれば簡単に精を搾りやすくなるらしいからな」
「サキュバスが特A級の理由が分かった気がするよ」
「と言っても、弱点はあるがな。技術を持っていれば、簡単にあいつら翻弄されるし強い精神力を持っていれば、淫魔法の興奮状態を無理やり抑えたり、魅了をはじいたりなどだな。ちなみに鏡とか効かないぞ、自分自身が自分の奴隷になるようなものだからな」
「マジかよ。聖騎士長になる条件って魅了とかを効かないように精神力を屈強にしたり、サキュバスなどの悪魔を一人で倒すことが条件だから、またきついな」
そうなんだ、サキュバスを一人で倒すことが条件ねぇ。それはちょっときついんじゃないか。一人って、そうなった場合出来るだけ弱いヤツを狩った方がいいな。早期発見で見つけることが出来るならの話しだが。
「協力者がいるのは駄目なのか」
「悪い、少し間違えた。一人と入ったが聖騎士は一人という意味だ。他の聖騎士じゃない奴はいくら協力してもいい。なんせ聖騎士じゃない奴は基本弱いって考えだから。ちなみに親父は本当の意味で一人でやったぞ」
そういうことなら、俺が協力すれば簡単にミノを聖騎士長に出来るじゃん、サキュバスを倒すのにサキュバスを連れて行く。多分駄目だと思うけど。
それに、ワドさんはやっぱり一人で討伐したのか。道理で簡単には太刀打ちできなかったわけだ。
「じゃあ俺が協力しても何も問題ないな。というか生け捕りは駄目なのか?」
ハァ、お前は何を言ってるんだ?と、バカにするような眼を一瞬こっちにしたな、こいつ。
「いや生け捕りとかできないだろ。過去にいたけどすぐに逃げられたし。お前ら無駄に容姿だけはいいんだよなぁ。捕まえられて一生従わせられるのならそれはいい金が手に入るな、そんなバカはいないけど。多分出来るのなら、合格になるんじゃないか。あと特A級の悪魔を倒すのに特A級の悪魔を使うのはどうなんだ」
やっぱりだめか、まぁそんなことしても、ミノは強くならないし、鍛えていてもいない。一種の八百長だし。
結構、聖騎士長になるための本当の意味での近道だと思ったけど、ミノは自分自身の実力でなろうとしている。その為に悪魔の力を使用しようとしているけど。まぁどっちにしろ、ミノが直ぐに強くなるわけじゃない。
そんなことを暗くなった森をミノと帰りながら話していた。それにしても大丈夫か?ミノ。かなり疲れているのか、汗とか尋常じゃない。体全体、狂暴なクマに襲われたのかというほど傷だらけだ。それをしたのは俺だけど