【200文字】孫の手は観賞用
孫が生まれて早五年。もうそんな時期かと感慨深くなる。
椅子に腰掛ていると孫が駆けよって来た。
「おじいちゃんそれ何?」
「これは孫の手じゃよ」
無垢な孫がワシの持っていた孫の手と、棚に飾ってある孫の手を見て不思議そうな顔をする。
一般的には変わった趣味だと思われるじゃろう。
「孫の手? 僕の手と全然違う」
「それはそうじゃ」
まじまじと孫の手と自分の手を見比べている様子につい笑ってしまう。
「これは別の子じゃからの」
ネタバレ
感慨深くなる:孫の「手」がちょうど良くなるまで五年も待ったこと。
変わった趣味:自分の孫の「手」を切り落とし観賞用にしている。
別の子:比喩表現ではなく、別の孫のこと。