005
ブロードは二人にお疲れの言葉を口にする。
「もういい…今度は俺が頑張んないとな…今回は勝てるなんて保障はどこにもないんだから…」
ブロードが戦闘態勢に入る、考えてみれば、ブロードの戦闘を見るのは今回が初めてだ…負けたらレイシャを護れない、そう思いブロードはさそり座の前に立つ。
「一つもう一つルールを増やしていいか」
「何だ?」
「俺が勝ったらヒミコの所へ案内してくれ、こう何度も手下を送り込まれたら、おちおち昼寝もできねえ」
「良いだろう、では……参る!!!!」
ドン!っとさそり座は前へ出た!
「炎剣3連殺!!」
「風神爆破!!」
ドンと静寂が訪れた、勝負は一瞬だった。後には倒れているさそり座とそれを見上げるブロードだけが残っり……「ヒミコの場所…教えてもらうぞ」と相手を見下すように君臨していた。
砂浜に漂う夕焼けの中、ブロードとさそり座は話をしていた、ヒミコの所在について。
「ヒミコは地獄にいる」
「地獄か……懐かしいな」
スズが「行ったことあるの?」っと会話に横入りする。
「ああ……いい思い出は無いけどな」
スズはどんな思いでなの? とは聞かなかった、悪い思い出と言っているのにわざわざ掘り返す必要は無いとそう感じたからだ。
「私……ヒミコさんと会って話をしてみたい、同じ巫女さんだし、話してみたら案外いい人なのかもしれないじゃん?」
レイシャはあくまで説得の方向に話を進めたいらしい、そりゃそうだ、誰だって命を狙われるより話し合いで解決できるものなら話し合いで解決したい。
「じゃあ行くのは明日、場所はブロードのお寺に集合でさそり座にも来てもらう、これでいいな、ってことでまた明日な……」
そういって今日の一日は過ぎ去って行った、リスクとスズには何とも言えない悔しさだけが残った、簡単に超えられない敵もいる、そう実感する体験だった。体験ですめばいいのだが今回は違う、苦い苦い、辛い思いでと変わりつつあった、この悪い空気を変えるためには超えるしかない、さそり座を…それを一撃で倒したブロードを……。いつか超えられる日を信じて。
翌日、約束通りヒミコに出会うため、さそり座に頼み地獄へ行くこととなった、リスクとスズは行ったことがない。というかそれは死後の世界でそもそも行こうと思って行ける世界ではないのだ、それなのに行ったことがあるということは、一度死んでそこに行ったか。今回のように誰かに案内してもらうようなことでしか行けないはずだ、それなのに「さあ行こう」で行こうとしていること自体おかしいのだ。エレメンタルマスターをめぐった世界はよほど、おかしなことだらけなのかもしれない。
ルミネ市は架空の市だが、現実に出来ないことは出来ない、ごくある普通の一つの都市と考えてもらっていいだろう。神奈川県のほぼ中央、平塚市と同じような都市である、この都市は民族や伝統、住んでる人種がごちゃまぜだ、ベースは日本人になっているがアメリカ、イギリス、中国など言語が本来違うはずなのに何故か言葉は通じ合ってる、そんな不思議な都市なのである。
「さあ行こう」
さそり座がそういう、さそり座はエレメンタルマスターのワープ機能を使ってワープした。
エレメンタルマスターのワープ機能は、一度行ったことのある場所へ自動でワープする機能である、一度行った場所は自動で記録され、好きな時にワープすることが出来る。複数人ワープさせたい時はそのように設定してワープする。
「うち地獄は初めてだ」
「私もよ、とゆうか人間なら初めて行く場所よね。普通」
リスク、スズ、ブロード、レイシャ、さそり座は光に包まれ、バシュンと消えた。
紅葉ただれる地獄。
「それにしてもわらわ達はまるで西遊記じゃな」
レイシャに憑依したミュウは言う、その言葉にリスクが「何で?」っと答える。
「4人組が天竺へ向かって旅をする話、それにそっくりなんじゃよ」
ブロードは手をひらひらさせながら続ける。
「今回は地獄だけどな」
「まあそうなんだけど……いつかはそれをスタンプラリーにしてエレメンタルマスターを4人で目指していくお話にしたいもんじゃ」
「お前の場合は、チームでゲーム業界のトップに立つじゃなかったか?」
「まあそうなんじゃけど」
「そんなこと言ってないで、ついたぞ」
地獄へたどり着いた。空は赤く、ごつごつとした岩が並び、川は赤い、変なとりのようなトリケラトプスみたいなとりが飛んでるし。う―う―うめき声を出しながら石を積み上げてるような人物がわらわらといる、全体的に暗い雰囲気だ、逆に性格が明るい人達がいっぱいいたらどうしようとか思ったけど。良かった、イメージ通りの地獄だ。とそこへ黒魔道師クラウンが現れた。
「やや! お前達!!」
「お前は…だれだっけ?」
リスクが素のボケをかましてくれた、本当に覚えていないようである。
「おま……私だ! クラウンだお前達にアイアンゴーレムとかけしかけただろ!」
スズもクラウンの説明に横槍を入れる。
「最初にダウンバーストを放ったでしょ、あの人よ」
「あああいつか」
「こ……こいつ……」
ぷるぷると体を震わせ怒る、怒りをつのらせるクラウンとそこへ、クラウン12人集やヒミコの4人の刺客達が現れた。今まで戦ってきた相手が全員集合している、すかさず戦闘態勢に入り、身構える4人。
「安心しろ集まってるだけだ、危害は加えない、話は通してある」
クラウンが付けたしで言う。
「皆ヒミコ様とどう対峙するのか見に来たのよ」
クラウン12人集とヒミコの刺客4人を素通りして奥にいたヒミコと対峙する。
「ようこそ地獄へ、そこの子供二人はさそり座に負けたそうですね」
リスクが臨戦態勢に入る。
「なんだ! やんのか!」
スズがなだめるように言う。
「リスク、いきなり喧嘩腰にならないでよ」
レイシャがやっと会えたヒミコに話をする、若干緊張しているようだ。
「初めましてヒミコさん……あの、私の中にいるミュウちゃんに用事があるようで」
「我々の神様に向かってミュウちゃんですか、いよいよもって腹ただしい」
「あの……自分で言うのもなんですけど抹殺なんてやめて下さい! なんの得にもならない」
「きいいいいいいい忌々しい! そのミュウはわらわの者じゃ!わらわが使役してこそ本当の意味を持つ!私は富も名誉も欲しい! だからそれをよこせ! お前ではなくわらわによこせ」
レイシャの悪口をいうヒミコにブロードはかちんときた。
「レイシャこいつと話をしたって無駄だぜ! 全然話がカチ合わねえ」
「無駄なんて言っちゃだめだよ! 相手に対して失礼だよ!」
ヒミコがキリキリといら立ちながらさそり座へ言う。
「何をしているさそり座! 早くその娘を抹殺してしまえ!」
「俺はブロードに負けた…2度もだ…それに俺は約束は守る男だ、だから連れてきた」
二拍手一礼してレイシャはミュウに交替した。
「……お主……そんなにわらわの事が好きなのか?」
「ああ好きだ…わらわはソナタと意思を疎通できる、憑依出来る、そして私は新世界の神になるのじゃ!それが使命! それが運命!」
「なら……一度わしを憑依させてみるか?」
「!?」
「やってみるが良い……ただし体とか尋常じゃなく痛いと思うぞ、能力を使うとだけどな」
レイシャは普段ピョンピョンとしているがこれでも憑依する際はものもの凄く体力と精神力を削る、尋常じゃないくらいに、それを修行してやっとの思いで憑依することに成功したのが今のレイシャだ。レイシャとヒミコの間の距離が縮まる、もしレイシャに何かしようものならブロードは容赦しない、ブロードは身構える。
「……」
ヒミコはレイシャの肩に手を置く。
「憑依!!」
レイシャの中にいるミュウの意識をヒミコの方に持ってくる、途端に「!?」っと全身をもの凄い激痛が走る。
「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
電撃でも受けたかのように、ヒミコはびくびくと震える。そして静止する。
「ふふふくはははははは! やったぞついにやったぞ! わらわはついに神ミュウと同化出来た! もはや私の敵は誰もいない! はは!! ははは!?」
どくん!!っと心臓が鳴った、途端にヒミコは膝をつく。
「な……なんだこれは……お前はこんなものをしょい込んでいたのか!!」
それはミュウが生まれてから今日までの膨大な記憶の量、今までの闘い、時の管理、宇宙誕生138億年分の記憶。
「む……無理だ……私には……耐えられん……」
「む……なんじゃ折角だからブロードとバトルでもして実質本当の頂上決戦でもやろうとともっておったのに、つまらん」
ブロードは「つまらん」っと言ったミュウに対して面白そうに言う。
「おもしれえよ、俺には。これはレイシャとヒミコの勝負、あっさりだが勝敗は決した」
力の理不尽さを覚えた巫女ヒミコ……、観念した様子だったが「だが」っと付け加える。
「だからと言って! 私の人生を賭した催しを! ハァ! これで終わるわけにはいかぬ!」
ミュウとの憑依を解いたヒミコは、ならばと、レイシャの方の抹殺に切り変える。
「溢れ出る魔力よ! 限界を超える! はぁああああ――――! ドラグーン! 極!」
その場に居たミュウは無意識に「なに! それは!?」っと呟いてしまった。
赤い陰陽のコントラスト纏った鋼の鱗が特徴的なドラゴンは、混沌とカオスを瞳に宿らせている。場に拡散し存在していた負の感情を、咆哮として収束集中させレイシャ目がけて放出させた。普段なら怯える所の場面であったが、レイシャはその瞳に『逃げる』という言葉は宿らせなかった。
「二重弧封掌!」
レイシャは手で十字円を2回斬り、ドラグーン極の力を薙ぎ倒し反射。その衝撃波をもろに食らったドラゴンが怯んだところをレイシャは空へ飛び。ドラゴンの背中へ掌底。地面に叩きつけ静止させ、封じた。
地面からくる余波により、ヒミコはなおも苦しそうに告げる。
「そんな……ばかな……わあああああああああああああああああああああああああああ!!」
ヒミコは意識を失った。レイシャはぱんぱんと二拍手一礼をして。姿を元に戻した。
「よかった……わかってもらえて」
クラウンはヒミコを連れて去って行った。
「今日の所は、お預けよ。でも……今度会ったときはヒミコ様も私もパワーアップして帰ってくるんだからね!」
そういって二人は闇の中へと消えていった。リスクはラスボスであるヒミコとの戦闘を楽しみにしていた、ひょっとしたらまたさそり座と戦えるのではないかとわくわくウキウキしてついてきた。しかし勝敗はレイシャの説得勝ちで終わりをつげた。
「なんだ……つまんね―の」
レイシャは落ち込んだリスクに告げ口をする。
「そう言わないの、これから面白いことになるわよ、ミュウちゃんがやろうとしてるスタンプラリーも含めてね」
何はともあれ今回の件は一件落着した。
◆
「西遊記っというかどっちかというと、お前らは父親と母親とじゃれあってる子供達って感じだな」
「じゃあお前はそれを横目で見てる犬か猫だな」
「なんじゃと―!」
「………俺もレベル上げやんないとな~……」
ミュウとブロードが冗談交じりに声を交わらせる何でもない日常会話なわけだが、ミュウはレイシャの体を借りて会話をしている。レイシャが今の会話を聞いたら赤面ものでツッコミをするだろう。
「だりゃ―!」
「はあ―!!」
その頃リスクとスズはデート(組手)の真っ最中である、二人の間で闘いは何故かデートという形で収まっているようだ、リスクは意味を勘違いしてとらえているが。スズのほうは案外まんざらでもない様子で、デートを楽しんでいる。少々痛いデートだが。互いの息を合わせながらのデートなので慣れてくると力加減もだいぶわかってくるような気さえする。お互いクセがある、そのクセを互いに理解し、弱点を理解し、それを互いにつぶしていく……互いに相手を理解していなければ出来ない芸当だ。
「ふ―よし、朝練終わり」
「大分レベル上がったかな?」
「訓練なんだから上がらないわよ、どっちが負けたとかでもないし」
「え―なんだよそれ―つまんないの―」
「基礎身体能力を上げることも成長の一歩よ、レベルだけバカスカ上げればいいってもんじゃないの」
ブロードとレイシャはリスクとスズをなだめる。
「おいもう学校の時間だぞ」
「はいはい行ってらっしゃいね―」
「は―い」
「お言葉に甘えて」
「私達も行きましょう高校に」
「そうだな」
こうして朝の訓練は過ぎていった、そしてルミネ小学校、5年A組の朝はやってきた。
「「「先生おはようございます」」」
桃花先生が挨拶をする、ここまでは普通の授業だ。
「はいおはよ―ございます、じゃあ出席とりますね―」
小春。性別女、リスクの幼馴染で空手の同級生である、性格はおっとりしていて何かと面倒見のいい子である、ドーナツを食べるのが好き、空手の実力はそこそこでリスクよりは弱い。苦手なものは書道、文字を書くのが苦手である、音痴でもある、かけっこは得意、面倒見がいいと言うより、困ってる子はほっとけなくて助けてしまうような子だ。だがあまり上手く行ってない、助けようと思って自分が助けられてるなんてことがしょっちゅうだ。
しんじ。性別男、ゲームが得意でひねくれている。マイナス思考の持ち主、何かと悪い方向に考えが向いてしまう、すぐに人に頼ってしまったり。何かをやるにつけて「明日やるよ」が口癖になりつつある。喧嘩も弱い、腕っぷしも弱い、どこにでもいる口だけの人間である。
桜木杏。性別女 スズのお屋敷に仕えているメイドさん、まじめであるが勉強の方は下の中、運動はメイド仕事をやっているので良い、礼儀や作法もよくできている。特に目立って出来ないことはやはり勉強だけだ、スズみたいに剣道や運動をやっているわけでもない。
ジャン・イヴァン。性別男、双子の兄妹の兄、自分は王家の血筋らしく王様らしく振る舞う、ではなぜ普通の学校であるルミネ小学校に通っているかというと。そういう身分を隠して学校に入学したからである。性格は若干傲慢、自分が地位の高い人間であることを自負しているため、気は高く気品は逆に無い、好きな言葉は「絶対王政」
ジャン・ファン。性別女、双子の兄妹の妹、口数は少なくいつもぼけ―っとしている、その割には力が強く力持ちである、兄であるイヴァンの言うことはよく聞く。それ以外の事となると一歩引いた立ち位置で物事を見る癖がある。性格は大人しいの一言に尽きる。
授業と授業の合間の休み時間、先生は居ない、そこにジャン・イヴァンとジャン・ファンはリスクによってきた。
「よお、リスク……」
「ん……誰だっけお前?」
「ジャン・イヴァンだよボケが……まあいいお前エレメンタルマスター大会、出場するのかよ?」
「? 大会があるのなら出場してみたいけど…てか何で、お前がエレメンタルマスターの事知ってるんだ?」
「それは俺もエレメンタルマスターを持ってるからだよ」
そう言いイヴァンは自分の時計型ゲーム機、エレメンタルマスターを見せる。
「おお―すげ―イヴァンお前も持ってたのか―」
「でもなんでお前うちがエレメンタルマスター持ってるってわかったんだ?」
「お前バカだろ……この前先生に没収されてたじゃないか、それでわかったんだよ」
それを机に座りながら聞き耳を立てていたスズがリスクとイヴァンの方を見る、何か様子がおかしい、不穏な空気だ。イヴァンは続ける。
「それだけじゃないんだぜ俺様はなんと神聖12星座の一人、双子座なんだ、二人で一人前の星座だけどな」
「神聖12星座は覚えたぞ……あのさそり座と同じやつだな」
「なんだ……さそり座の奴の事知ってるのか……俺様はそのさそり座よりも強いぜ」
「ええ―あのさそり座よりも強いのかお前!?」
「それでな……リスク……お前と俺はいつの日か戦う可能性が高い、そんなお前に一つアドバイスをしておこうと思った訳よ」
「なんだ?」
イヴァンは少し間を置いてから自慢げに声を上げる……。
「俺の能力は水爆だ」
とたんにガタンとスズが席を立つ、それに気づいたイヴァンが振り向きスズに気づく。スズはその「水爆」という言葉の意味を正確に理解し顔面蒼白になり冷や汗をたらす、若干震えているのかもしれない。
「なんだ……優等生のスズ様、まさかお前もゲームで遊んでるのか?」
「…………」
イヴァンはスズとリスクに告げる、ゲームではあるが神のゲーム……そう甘くないと言うことを……。
「神のゲーム……そう甘くないぜ」
スズが警戒しながら質問する。
「神聖12星座って事は神ミュウの護衛よね」
イヴァンは苦笑いしながら質問の答えを返す。
「そうだ……だから今は味方だが……もしかしたら裏切るかもしれないぜ……あのミュウって神様…頭の中は相当イカれた発想の持ち主だ」
「水爆」の意味を全く理解していないリスクはイヴァンににやりと笑みを見せ堂々とイヴァンに告げる。
「そうか! じゃあその水爆ってのを超えればいいんだな!」
その発言にきょとんするイヴァン、表情ではなかなか伝わりずらいが驚いた妹ファン、何バカな事言ってるんだこのバカ! と思うスズ。
「く…はははは! 水爆を超えるか! 無知が恐ろしいのかリスクが恐ろしいのかわからんがお前も相当イカれた発想の持ち主だぜリスク!」
全く理解していないリスク頭の上に「?」マークが浮き出る。
「じゃあな、忠告はしたぜ、しっかり対策を建てとけよ、何も知らないで俺様に挑んだ輩達は即死だったからな」
そう言い神聖12星座の双子座イヴァンは果ての先に待ち受ける壮絶な戦いを既に予想して、助言をしてくれた、余裕の表れだろうか、はたまた自慢したかっただけなのだろうか。おそらく後者だろう。イヴァンは笑いながら去って行った、ファンはそれを見守りながらトテトテと後について行った。
「……とんでもなくぶっ飛んだ輩もいたもんだわね…とにかくこれで対策が立てられる……」
スズがリスクによってきて自分の感想を言う、リスクは何もわかっていない。
「なぁ水爆ってなんだ?」
呆れた態度でスズはリスクに言うが、たぶん理解してくれないだろう。
「広島型原爆の約3300倍って言ってもわかんないでしょあんた」
「…………うん、わかんね……」
予想通りの反応にスズは頭を抱える、そんな兵器にどうやって対抗しようかと今から頭を悩ませているスズであった。
いつも通りブロードのお寺で稽古でもしてレベルを上げようとしていたリスクとスズだったが、レイシャに憑依したミュウが一度自分の会社である神道社へ来てほしいと言ってきた、何やら見せたいものがあるらしい。スズが尋ねる。
「見せたいものって?」
「まあそれはあれじゃ、行ってからのお楽しみという奴じゃ」
リスクが見当違いな方向へ思考を働かせる。
「何かな、豪華なメシかな……」
ブロードは内容を聞いているのでなんだかだるそうな気分なようだ、でもレイシャも行くし自分も行こうという腹づもりだ。
「はあ……」
神道社。規模はそんなにでかくはないがビルが丸ごと彼女の会社なのだ、ミュウはその会社を立ち上げた人、故に社長という立ち位置。社員はざっと100人でまだまだ会社としては小さな会社だ。ミュウはリスクとスズにこのビルを見せたかったのだ、社員ゼロ人からここまで大きくなったんだぞという自慢の表れである。
「ようこそ!神道社へ!!」
「お―でっけ―」
「話には聞いてたけどここが神道社なのね」
そこへ奥から社員らしき人が現れた、女性である。
「とりあえず初めまして舞姫です、普段はミュウ様に憑依されたりしております」
社員の中では唯一の巫女さんである、ちなみにレイシャもブロードも社員ではない、長い付き合いではあるがあくまで友達レベルで収まっている。よほど社員というものはめんどくさい物なのだろう。ミュウにとっては社員というのはありがたい、しかもゲーム機エレメンタルマスターの社員で巫女さんというのは随分重宝されていることだろう。普段レイシャに憑依していない時はこちらの舞姫さんの所に憑依して社内の仕事や事件を片付けている、レイシャと舞姫はその巫女さん仲間ということで仲も良い。
舞姫。性別女 ミュウが経営している神道社の社員、同時に神ミュウを憑依させることが出来る巫女さんでもある。性格は活発ではあるが文系少女、本を読むことが好き、執事セバスチャンと共にミュウがやりたいと思った事を手助けする役割を持っている。同時にミュウの行き過ぎた言動を止めるストッパーとしての役割も担っている。彼女は一般市民なので能力は持っていなく、エレメンタルマスターも持っていない。
リスクとスズは挨拶されたので軽くお辞儀をする。
「こんにちは」
「こ……こんちゃ……っす」
「さあ入ってください、中をお見せするわ」
まるで会社の社会見学のようである。社内を案内される4人、中は広々としていてここでエレメンタルマスターが作られてるのか……と思うリスク。
「……」
舞姫は、ブロードにエレメンタルマスターの不具合について問いただしてみる。
「そういえばエレメンタルマスター、レベルが急に一億って表示されたんですって?」
「ん……ああそうなんだ」
ブロードは舞姫にエレメンタルマスターを渡す。
「どこにも異常はないハズなんだが、リスクが付けた途端にレベルが一億になった……あれは本当に謎だ……」
「わかりました、そちらの方も調べておきます」
そういって舞姫はブロードのエレメンタルマスターを預かった、もしかしたらバグがあったのかもしれない……そう思っての判断だ、どこも異常はないハズだが……。何かの装置につけて確認してみる……何も異常はない……。それを見守るミュウは……。
(い…言えない…ちょっと細工をして皆を驚かそうとしたなんて…)
自分の悪ふざけが何故か変な方向へ誤解されている、何とか誤解を解こうとするが。
「それにしても本当に謎だ…誰かがこの装置に細工したとしたらとんでもない技術力だ…」
そうブロードが窓を除くとぎくりとするミュウ、ハードルが更に上がった……。
心の中で会話するレイシャとミュウ…。
(どどど……どうしよう余計に言いづらくなった……)
(あははは……ミュウちゃん遊び過ぎ……この事は私達の秘密にしておきましょう)
(そ……そうじゃな……)
「あ―!あ―そうじゃ! お前達に重大発表があったんじゃ!」◆
皆の会話を……話を強引に捻じ曲げるミュウ。




