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エレメンタルワールド  作者: ゆめみじ18
2020年~原典(オリジン)~

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003

「だって話なげ―んだもん!「暇だから作った」だけでいい―じゃん!」

 内心自分の苦労話を、力説したミュウは傷ついた。ぐさっと、ガーンと。しばらく話に参加していなかったブロードだが、参加する気になったようで。

「言葉が伸びたと感じたのかもしれないな」

「わらわそんなに長話したか? そんな気はなかったんじゃがの―、これでも話足りないぐらいじゃ。その時にあったエピソードの、一つや二つ話してみようと想っておったのに」

 納得いかないような口調でミュウは言うが、まあ子供だし仕方ないと思い(むしろ話をちゃんと聞いてくれたスズのほうが珍しい)と思い直して。

「まあ何だ……ほかに気になることがあれば、この説明書を読んでそれでも解らなければ答えようぞ。では私は忙しい、サラダバー!」

 そう言い、ミュウは説明書を置いてそそくさと二拍手一礼するのだった。渡されたエレメンタルマスターの説明書を、スズはパラパラとめくりざっくりと読んだ。膨大な量の説明書の中から、読みたいと思った文章を抜き取り読んだ。

「結構ルールが多いのね」

 と説明書を読んでいるスズに対して、リスクが「スズうちもルール知りたい」「じゃあ自分で読みなさいよ」「やだ! めんどくさい」「おい」っと問答する。

 その代わりと言っては何だが、リスクはスズの器量に頼りお願いするのだった。

「だから、うちにもわかりやすく説明してくれ」

 どこの何を説明すればいいのかわからない答えだが、とりあえずそれを察することはできる。リスクとスズが一緒に歩んできた中で、スズが必要と思う部分を探し。説明書からスズのフィルターを通して、わかりやすくリスクに説明する。

「……え―、無断複製はやめてください、分解や改造をしないでください。水につけないでください壊れます、結界の中では時間が止まります、エレメンタルマスターを持って旅しましょう。エレメンタルマスターは最強の称号」

 リスクは「うっしわかった」と満足そうに笑顔で答える。

 レイシャは「おお―」っと称賛する。沢山あるルールの中から、必要だと思う部分を抜き出したスズに拍手する。よっぽど文量が多かったのだろう。ところどころを読み終わった後スズは、満足そうにどや顔をしていた。


 場所は地獄。閻魔の審判に基づいて、さまざまな責め苦を受けるとされる世界。そんな中、今回ブロード達に攻撃を仕掛けてきた張本人、巫女ヒミコがいた。彼女は神ミュウを憑依させることの出来る巫女さんなのだが……ミュウが「何か感じ悪い嫌だ」っと言って憑依を拒否っている人物なのだ。ミュウ本人には自覚がないが、ミュウを憑依させればそれだけで、金と地位を約束される部族も存在する。そんな邪な理由でヒミコは、レイシャを狙っている。

「おのれ……やはりレイシャを護るブロードがネックか……」

 そこへ任務を失敗した黒魔道師クラウンがやってきて、深々と頭と背と腰を下げる。

「も、申し訳ありませんヒミコ様……!」

「しょうがありませんね……もうあなたには頼りません!」

「そ、そんな……!?」

 落胆するクラウン、彼女は巫女ヒミコの見習い弟子で。今回の件で大いに期待されていた。村の中ではクラウンは、エレメンタルマスターを使う中では一番だった。エレメンタルマスターであるブロードさえ注意しておけば大丈夫だと思っていたが、それ以外のレベル1の子供二人に、負けるなどとは想像だにもしていなかった。

「そうですね……ここにはエレメンタルマスターを使って悪行をし、そして地獄へ落ちた人物達もいる、そいつらを使いましょう……」

 そう言って地獄の底から使者たちが、ヒミコの後ろから現れた。ヒミコは召喚術にたけている、直接戦闘をするようなタイプではないのだ。

 レベル5拳銃使いベレッタ。レベル5塩使い ソルト。

レベル5音使い フラット。レベル5泥使い シルト。レベル10炎使い、さそり座。

 巫女ヒミコはもう勝ったも同然のように、鼻高々と高笑いする。

「ふ、ふふふふ……あっははははははははっははは!」

 のけ者にされたクラウンは、焦りながらヒミコに言う。

「わ……私は!? 私は!?」


 スライムというのは一般的なゲームの中では、代表的な初期のモンスターでの敵だ。そこの訓練、練習を経て新たに応用として色違いで若干レベルに合わせて強くなったりする。

 まずエレメンタルマスターを起動させる。次にコインを出すボタンではなく別のボタンを選択して、ダンジョンをセレクトする。今回は初心者用に草原を選択。バトルモードを選択してモンスターが出てくるようにする、結界を張る、結界の時間が止まっている状態か、そうではなく時間が経過させる場合は、そちらのボタンをセットする。プレイ時間はあくまで目安として表示されている、結界の中で建物などの時が止まっていても、ゲームを起動している限りプレイ時間は止まらない。

 リスク レベル1 能力風 プレイ時間30分。スズ  レベル2 能力神経 プレイ時間30分。スライム レベル1 能力なし。持っている技は体当たりのみである。

 リスクとスズはほぼ戦闘初心者、なのでブロードとレイシャに技の手ほどきを受けている。手ほどきというほどでもないが、まずは戦闘の初歩を体で覚えてもらおうというわけだ。

 それから順番に、対人戦に持ち込むのが一般的だ。

「いきなり対人戦を二回もやっちゃったから、順序が逆よね」

 スズは木刀をふるう、現実世界で剣道の稽古をしていて形は様になっている。このゲームでは身体能力がそのまま表に出てくるので、体育会系の方が有利とされている。逆に文系の方が不利かというとそうでもない、能力が漢字の数だけあるとされるこのエレメンタルマスターは、文系なら文系でそれにみあった能力が存在する。

「こいつをやっつければいいんだな」

 リスクがスライムに向けて攻撃をする。が、かわされてしまった。

「CPUには一定の動きがあるのよ、説明書を読まないからそんな事もわからないのよ」

「ありゃりゃ」

「それにしても驚きました」

 スズは、ブロードとレイシャに向けて言葉をはっする。

「二人ともプレイ時間が凄まじいんですもの」

 ブロード レベル1プレイ時間1000時間。レイシャ レベル1プレイ時間900時間。

「第一回エレメンタルマスター大会が終わって、レベルをリセットすることになったからな」

 そこへまた、ミュウが何かを閃いたかのようにブロードに話しかける。第二回エレメンタルマスター大会の予選の事でだ。

「スタンプラリーなんかどうじゃろう。これなら毎回誰かを救うとかじゃなくて、○○をクリアしたらスタンプを押そう! て事にすれば色々なバリエーションが生まれる!」

「………いいんじゃないか? でもスタンプは12個なのか?」

「ん~、せっかく神聖12星座が12人もいるんだから、12個がいいな~」

 相変わらずミュウはのんきである。そうやって話していくうちにリスクとスズはぼこぼことスライムを倒し続けていた。二人ともレベルが上がった、軽快な音楽が鳴り響いた。リスク レベル2 プレイ時間1時間。スズ レベル3 プレイ時間1時間。

「おお―! レベルがあがった―!」

「30分か……、今日一日中スライムを倒し続けたら、そこそこレベルが上がるわね。それにしてもこのゲーム体力ゲージがないんですね」

 二拍手一礼しレイシャは答える。

「西部劇やボクシングでは体力ゲージなんてないでしょ、そのためよ」

「むう……妙に現実的……」

「そこまで計算するのが面倒って、社員さんから聞いたことがあるわ」

 普通のゲーム機は手を動かすだけで済むが、エレメンタルマスターは体全身を使う。ゲーム内で疲れれば現実世界でもその疲労は蓄積する、一時期ミュウはダイエットゲームを作ろうと本気で考えていたほどにこのゲームは体力と気力を使う。

「スズちゃんゲームをやったことあるの?」

「まあ多少は……友達に進められて遊ぶレベルです」

 対するリスクは、空手バカというより運動バカなので。

「うちやったことない」

「レベルが上がったら強くなる、それだけはまず最低限の知識として覚えておきなさいよ」

「そっか! わかった!」

 スズがスライムを見ながら自分の感想、愚痴をもらす。

「それにしても、敵モンスターの体力ゲージが見えないのはちょっと不便かも…」

「設定を切り替えれば見えるわよ、対人戦じゃ体力ゲージは無いけど」

 スズは腕のエレメンタルマスターを見る、トリガーは円形になっており、そこから蒼白い光が発射されている。四面に画面が表示され、その画面の中から選択ボタンを押す。敵モンスターのスライムに画面が表示され、そこで設定を切り替える。体力ゲージが見えた、数字は見えない。

「リスク、休憩しない?」

「いや……うちはまだ慣れてない、もうちょっとやってみる」

 スライムは左右に動く、揺れる。一瞬フェイントのような動きをしてから、全身で体当たりしてリスクに攻撃を仕掛けてくる。リスクは相手の動きをよく読み、体制を立て直すために一度右横後ろに引いた。次に追撃がないか確認する。追撃はない、スライムは標的を見失ったようだ。標的を探すような仕草をし、リスクに標準を合わせる。ここまで10秒。格闘を趣味でやっているリスクは(遅い)っと感じる。スライムは左右に動く、揺れる、一瞬フェイントのような動きをしてから、全身で体当たり、リスクに攻撃を仕掛けてくる。スライムが地面を蹴って体当たりして空中に浮遊しているところを、リスクは眼を見開いて凝視している。凝視したまま今度は左下に体制を建て直し、右軸足に力を入れながら右ストレートをスライムにお見舞いする。ここでようやく攻撃に成功する。リスクは喧嘩をよく趣味でやっているので、対人戦の方が得意なようだ。逆にデジタルのモンスターだと呼吸が読めない、そもそもポリゴンは呼吸をしない。呼吸をしているようにモンスターを作ることは可能ではあるが、やはり本物の人間や動物とは若干異なるようだ。普段は自分より大柄な人達を相手にするリスクに対して、今回の相手は自分より背の低い小柄なスライムだ。どうも攻撃が当たりにくい。リスクは5秒間何もしないスライムに攻撃するのではなく。8秒後フェイントをし、体当たりをして空中に飛んできたスライムを避けて、カウンターで攻撃しているようにも見えた。わざわざ止まっている敵ではなく、動いている刹那の間合いで、相手に攻撃を与えているのだ。それでもスライムはわらわらと沸く、増え続ける。増え続けてはいるが、一定のリズムで攻撃してくるので、まるで最終的に太鼓でも叩いてるような連続攻撃になる。

「シュ! シュ! シュ!」

 観察して相手の動向を探ることにたけているスズが、冷静に分析しリスクのやろうとしていたことを理解する。

「CPUの動きに上手くなれてきたみたいね」

 レイシャが美味しそうな臭いを漂わせながら言う。

「ご飯出来たわよ―」

 お昼のご飯時だった、メニューはラーメン。もやしたっぷりの激辛ラーメンだ、辛い、しかしその辛さがよだれを誘う、とろ~り半熟たまごにうま味たっぷりチャーシュー、ピリっ辛な白ネギ、コクが深いスープ。

「わっは―いいっただきま―っす……辛い!!!!」

 リスクがそのまんまの、誰でも言い出すような感想を口にする。激辛ラーメンは辛い! だから美味い!

「!?!?!?」

 スズは辛いのを我慢して麺を口の中にそそる、体中にその辛さが染み渡る。

「おお…うめえな…」

 ブロードはスープから一口すする、深みとコクと栄養がたっぷり詰まったスープを飲み、体が温まる。

「あははよかった―手塩にかけて作って…って辛い!!」

 レイシャは、自分が作ったラーメンの味見をしていなかったようだ。

「あーそうだ、ついでに缶コーヒーも買っておいたから飲んじゃって」

 レイシャはリスクとスズに紅蓮缶コーヒーを、ブロードとレイシャ自身には螺旋缶コーヒーをそれぞれ渡した、中身は甘いカフェオレ、ブラックではない。しっかり火が通った突き抜けた香ばしさが辺りに漂う。

 激辛ラーメンと缶コーヒーに舌つづみをしながら、スズはレイシャに思ったことを口にする。

「そう言えば今結界の中じゃないですか―、体力とかって回復するんですか?」

「体力は……普通に食べるのと同じかな、これと言って制限なかったと思うけど」

「ゲームで手に入ったアイテムとかはどうなるんです?」

「ダンジョンや町で手に入ったものは、エレメンタルマスターの中にしまっておけるから好きな時にしまって、好きな時に出せばいいと思うよ」

 ブロードは食べたことがあるので、スズに自慢話をする。

「不思議なもんだぜ、種みたいな小ささで腹いっぱいな感覚になる食べ物とかもあるんだ」

「うちよくわかんね―けどその食い物食ってみてえ」

 結界の中で物を食べる時、普段の生活をすることはできる。結界を出現させている間、外の人間には存在は認知できない。結界はエレメンタルマスターが発動するので、電池切れなどになったら強制的に結界は消える。エレメンタルマスターを充電すれば元に戻る。

「おっし、食べた所でもうひと運動するか」

「今度は私たちが相手をしますね」

「よろしくお願いします」

「なあに、まず簡単な能力の説明からだ」

 リスクとブロードは風の能力を使う、対するスズとレイシャは神経の能力を使う、従って同じ能力を教わった方がいいという判断から。リスクはブロードに、スズはレイシャから技を教わる。

「その前にコレの説明もしておくわね」

「何それ」

 観ると、口の中に呑み込むのは無理そうな、カプセル型の機械をレイシャは持っていた。

「エレメンタルカプセル、決闘用の道具よ」

「これが発動して結界内から脱出しないと、中に入ったプレイヤーは決着がつくまで出られないの」

「決着というのは?」

「エレメンタルマスターが壊れるか、意識を失うか、降参したときね」

「喧嘩と同じだな!」

 レイシャ、スズ、リスクは交互にしゃべる、ブロードは「じゃあ始めるぞ」っと合図する。

 レイシャは二つエレメンタルカプセルを投げる。

 ドシュン!! 結界が二つ現れる、それから30秒後、4人はそのカプセルに吸い込まれるように姿を消した、あとにはカプセルだけが残った。カプセルは決闘をするためのもので、決闘を始めたからにはそれが終わるまでは出られない。カプセルはその場に残るが、他者が触ろうとするとバリアのようなもので、はじかれて手に取ることが出来ない。純粋に勝負をしたい時に使われるもの。複数いた場合、誰か一人になるまでその戦闘は行われる。


 数時間後。

カプセルの中では基礎的な訓練を教わり、そろそろ終わろうという所まで来ていた。

 レイシャは、エレメンタルマスターの時計機能で時間を見た。ちょうど4人がエレメンタルカプセルの中に入って2時間は経過している。

「そろそろ終わりにしよっか……あ―、ここから出るときに勝敗を決めなきゃならないんだけど……どっちが負ける?」

「私は……負けたくないです」

 スズは頑なに自分が負けることは拒む、レイシャはあらそう……と思ったような口ぶりで

「じゃあ私が負けるね」っとあっさり負けを認める。


「おおお! なんか受け身が楽しくなってきたぜ!」

 そう言うリスクはすっかり受け身にはまったらしく、何回も何回も風を纏っての受け身を繰り返していた。とそこへ、ブロードのエレメンタルマスターから連絡が入った。ブロードはすぐさま通話ボタンに切り替えレイシャと連絡を取る。

「うい……わかった、おいリスクーそろそろここから出るぞ―」

 遠くに居るリスクに聞こえるように、大声で話しかけるブロード。

「ええ―! もうちょっと居たい―!」

「んで……こっから出るにはどっちかが負けなきゃならない! お前はどうする―!」

「うちは負けたくない―!」

 こちらもきょとんとした表情でつづける。

「じゃあ……俺の負けでいっか」

 そう言い、エレメンタルマスターの画面を見て【戦闘を辞退しますか?】の所の【はい】というボタンを押す。


 二つのエレメンタルカプセルがボン! と暴発した、煙の中から4人の姿が顔を出す。日は暮れ、夕方になった。

「じゃあ今日はこれでお仕舞い、また明日ね」

「じゃあな―」

「それではこれで失礼します」

 見送るブロードとレイシャの二人、彼らはこれから起こることを予想していた。

「良い子に出会えたね」

「本当にな……一時はどうなるかと思ったが、何とか上手くやっていけそうだ」

「心配?」

「そりゃあな……俺と同じ風使いだ……立派に育ってくれるさ……」

「レイシャ……」

「ん? なあに?」

「絶対に俺が護るからな」

「うん……知ってる」

 そう言って二人は上を見上げた、見上げた先には夕焼けのコントラストで、不気味な影が4人立っていた。

 ……数分後。エレメンタルカプセルから無事脱出した4人は、皆一安心するのであった。結論から言うと、リスクとスズは大苦戦で激闘を繰り広げたが。ブロードとレイシャは屁でもないようなすました顔で、勝ってしまったという形だ。

 その様子をヒミコの刺客最後の一人であるさそり座は、それを見てどう動くのだろうか……。


 キーンコーンカーンコーン。

学校のベルが聞こえる、授業が終わって帰る支度をしているところだ。

「先生さよ―なら! 皆さんさよ―なら!」

「はいさよ―なら―」

 そこへリスクが疑問に思ったことを桃花先生へ口にする。

「桃花先生はエレメンタルマスターを使って遊ばないの?」

「私? ん~そもそも遊ぶ時間がないからね~あはははは」

「え~遊ぼうよ―」

 先生はキョロキョロと周りに他の先生が居ないことを確認すると、にひそひそ声で話をする。

「ここだけの話、私をゲームの世界に引き込んでも大した力にはならないわよ」

「え―なんで―」

「わたしね……マゾプレイが好きなのよ」

「マゾプレイ?」

「簡単に言うとね、レベル1のままラスボスまで行っちゃうのよ。そう言う遊びが好きなのよ、ワザと難しくしちゃうのよ」

「なんだそれ? レベル上がって強くなった方がいいじゃん」

「いや……そうなんだけどね……もし特殊能力があったとしても、私は特殊能力は使わないの。あくまで人間として全てを解決しようとするの」

「つまり先生はバカなんだな」

「うぐ!」

 確信をつくリスク、貫いてしまった。そこへスズは横槍を入れる。

「先生の特殊能力に頼らないは立派だと思います、でも私には力が必要なんです。どうでしょう、せめてレベル上げくらいは付き合ってはくれないでしょうか」

 まさかの優等生であるスズちゃんまでゲームをやっているのか? と桃花先生は初めて気づく。ここで桃花先生を理解者としておけば今後桃花先生が味方になってくれる、そう思いスズはゲームへ誘おうとしてきた。

「ありゃりゃスズちゃんまで……ん~わかった! ……でも私ゲーム機持ってないわよ?」

 そうだった、桃花先生はエレメンタルマスターを持っていなかった。

「……ミュウさんに事情を話しましょう」


 ブロードのお寺。そこでレイシャさんにたのんでミュウとお話をすることになった。

「なに? もう一個欲しい? ……良いよ良いよ、エレメンタルの復仇は、わしは大喜びじゃ」

 リスクとスズは続ける。

「そうと決まればレベル上げだな、せめて前回戦った相手と同じレベル5まで上げないと……どこでレベル上げする?」

「やっぱりダンジョンでしょう」


 ダンジョンは前回と同じ草原で、スライム相手にポカスカと倒しレベルを上げる。

 リスク レベル5 プレイ時間5時間。スズ レベル6 プレイ時間5時間。桃花 レベル1 プレイ時間2時間。

「へ―、こうやって自分の体を動かして遊ぶゲームなのね」

「桃花先生避けることしかやってない……」

「へへへ、いいじゃないこういう遊び方もあるのよ」

「あ―ずるい! 何でスズの方がレベル高いんだよ―!」

「あんたより経験値を多くもらってるからに決まってるじゃない」

「くっそ―!負けねえ―!」

「もうその経験値の差は一生埋まらないと思いなさい、私は油断なんかしない」

「そうやって廃人になっていく生徒を、現実に引っ張り込むのが私の役目ね。宿題やった?」

「あ」

「あ……」

 ゲームはゲームである、やりすぎると体に毒。というか何をするにしてもやりすぎると体を壊してしまうので、適度に休憩は挟みましょう。桃花は日常の中の非日常を自分なりに楽しんでるようである。ひと運動し終えたので、スズはリスクに疑問に思ってる事を口にする。

「リスクの型ってさ」

「?」

「割と適当よね」

「そうか? 何でわかる」

「いや……なんとなくよ、忘れて。ただ格闘技の知識とかちゃんと身に着けてるのかな~っと思ってさ」

「ああ……それは全然だ」

「やっぱ、あんたの格闘術って我流というか喧嘩殺法なのね」

「へへへ」

「褒めてない」


「じゃあ私はこの辺で」

「先生さよ―なら―! また遊んでね―!」

 時刻は午後3時、子供が3時のおやつとねだって少々小腹がすくじかんでもある。日が暮れるまでまだ多少時間があるので、リスクとスズはレベル上げを続行する。

「そう言えばさ―うちは何でレベル一億になったんだ?」

「ああ……そういえばそうね」

 ミュウはその時に起こった事を知らなかった。あとから聞いたので、不思議がっていた。

「不思議なもんじゃの~いくらブロードのエレメンタルマスターを使ったと言っても……やっぱりバグだったんじゃないかのう、そこら辺は科学者達に調べてもらう必要があるな」

 とそこへコツンコツン……と誰かが歩いて来た、見慣れない人影である。

「………」

 ザッ……! とここまで一言も話さなかったブロードが臨戦態勢に入る、リスクとスズがその相手に気づき、少々警戒した態度でリスクが「誰だお前?」っと話す。

「?」

 互いの間に緊張が走る。

「名乗るほどの者じゃねえが……俺はさそり座って~呼ばれてるもんだ、以後よろしく……」

 リスクとスズはきょとんとした表情だが……ブロードはそうではない、互いに互いを値踏みするような目で見つめ合っている……。

「何の用事でここへ来た……さそり座」

 さそり座は重い口を開けて、重い内容を話そうとする。

「今はミュウさんなのか? なら話が速い、巫女ヒミコの名により、レイシャを抹殺したい」

 ブロードが構える、只ならぬ気迫が場を満たしていた。

「それを俺がさせると思うのか?」

「そう、それでいい。俺はヒミコの依頼なんて正直どうでもいい、賞金稼ぎとして戦うのもいいが、俺は第一回エレメンタルマスター大会を見ている、俺もお前と戦いたい」

「……つまりお前は……ただ戦闘がしたいってそれだけの為にレイシャを狙うのか。神聖12星座の癖に、ミュウを護るのがお前の責務なんじゃないのか?」

「ブロード、お前が本気を出せる……ってならどんな手だって使う……」

「ならまずリスクとスズを倒してからにしてみろ」

「……なに?」

「きっと勝てないから、別に二人の潜在能力に賭けてるとかじゃない、二人には強い心がある、エレメンタルマスターは心の闘い、彼らの心を砕いてみろ。きっとできないから」

「ふふふ……いいだろう。それでブロードがやる気を出すってならな……」

 リスクとスズは身構える。リスク レベル5 プレイ時間5時間。スズ レベル6 プレイ時間5時間。さそり座 レベル10 プレイ時間100時間。

「おいまて……ふざけてるのか……」

 

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