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エレメンタルワールド  作者: ゆめみじ18
2020年~原典(オリジン)~
10/17

010

 レイシャはミュウの気を心配する、今まで霊体と言うものはミュウ以外居なかったがゼウスも霊体、人に憑依して力を発揮する、その神同士で力の差があったことも驚きだが、

 霊体同士でもバトルは勃発していた、まるで見えないはずの超能力を目で見える形で擬人化して目で見える形に昇華させているようだった。そのミュウが押し負ける。

「っく……!レイシャの方はてんびん座に勝っているのだな」

「うん……!」

 リスクとスズのタッグでてんびん座に挑む先にスズが挑む!

「ほれほれ可愛い女子の悲鳴を聞かせておくれよ~!」

 何かかなり怖気が走る声が聞こえたのでスズは腹の底から怒り、逆に男っぽく奇声を上げる

「おらぁあああああああああああああああ!」

 ゼウスはオーバースキルを発動させる。『剣劇が効かない攻撃』『速度を落とす攻撃』『罵声を可愛い悲鳴に変える攻撃』『神経を逆なでする攻撃』『攻撃が必ず当たらない攻撃』『視界が歪む攻撃』『超能力が強化される攻撃』『攻撃が全て効いてしまう攻撃』

 一個の能力でも対処するのにやっとなのにもはや何をされたのかわからずにスズは壁に打ち付けられる。

「……か……は……」

 やたら感に触ったので特に『罵声を可愛い悲鳴に変える攻撃』とか完全にゼウスの趣味なのでスズは精一杯抗った、なので声はほとんど出さなかった。ただ痛かったので声が少し漏れた。

 その隙をついて、今度はリスクが攻撃を開始する、極悪神ゼウスは「なんだ男か…つまらん」っともはや戦おうともせずてんびん座に全てを任せる。

 てんびん座は思いっきり右拳をリスクの顔面に突き出した、当たったかと思った、だが…。

 それをリスクは避け、クロスカウンターでてんびん座の顔面をぶち当てる!!

「ぬおあああああああああ!」

 側頭するてんびん座、痛がって顔面に手を当てる。

「さそり座の方が強かったぞ!」

 っと吠えるリスク。

 極悪神ゼウスはいきなり奇声を上げる。

「あああああ! 女欲しい女欲しい女欲しいィイいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 若干驚くリスク。

「!?」

 ゼウスは同意を求めないが言いたいことを主張する。

「あのさあおならって皆するじゃん、するよね同意は求めないけど、あれのさ、女の子がおならしたくないんだけどもうダメおなら出ちゃう~! とかっていう行為がもう最高、イケる、最高に気持ち良い!」

 女子が聞いたら全力で怖気が走り怒り狂う行為を平然と言ってのける極悪神ゼウス。

 ゼウスは女と話がしたいらしい、それに久しぶりに外の世界に来たので、外の世界を見てみたいらしい、どうやら女であれば何でもいいらしい。

「ちょ……ちょっと待ってくれ!」

 てんびん座がゼウスの独り言に割り込む。

「ああん? なんじゃい」

「色々好き勝手やることは構わないのだがまず楽園エデンを落とすのが先だ、あそこにも運営がわんさかいる、そいつらを再起不能にしてこの大会を木端微塵にする!」

「ほほう! お主も悪よのう、よかろう破壊と女は好きだ乗ってやろう、それはそうと我は女と話がしたい!弱い女だ! さっき突っかかって来た女を連れて行こう」

 てんびん座は乗り気ではなかったがゼウスの機嫌を損ねるわけにはいかない。

「お前の好きにしろ…」

 そう言った矢先、猛スピードでスズの方に迫り、スズを連れ去ろうとする。

「させない!」

「させるかー!」

 レイシャとミュウがほぼ同時に声を荒げ、スズを抱き抱える、っと同時にてんびん座は楽園エデンへエレメンタルマスターを使ってワープしてしまった。

 レイシャとミュウ、気絶しているスズとてんびん座とゼウスは一緒に楽園エデンへ向かった。

「スズ! レイシャ! ミュウ!」

 叫ぶリスク、しかしその声は無情にも届かない。ブロードは気絶したままである。

 リスクとブロードを置き去りにし、ゼウス一行は楽園エデンへ向かうのであった。 

 楽園エデンは崩壊してゆく、してゆくと言っても原型はとどめたままで大きな風穴空いた程度。そこにてんびん座は降り立って城を眺める。外の世界を眺める、

「フム…いい城だ、ここを私の城にしよう」

 ゼウスがつっこむ。

「壊した城を自分の根城にするのはどうなんじゃお主バカか!ははは!」

「……」

 てんびん座の感に触るゼウス、しかし力関係上てんびん座はゼウスの言う事に従うしかない。

「ふむ…そうじゃお主『原初の書』からわらわの部下を呼び出す項目を読んでくれ、使い方はな……」


 場所は地球。

「守れなかった……。何も……守れなかった……。誇りもへったくれもねえ」

 いつの間にかヨシュアもザンベルトも居なかった。

 雨が降る。しとしと……しとしとと……。降り始める。完全なる敗北。

「畜生……」

 悔やむリスク……ブロードは倒れている、そんな中現れたのはオリオン座だった。

「遅かったか」

 雨の中そこに現れたのはオリオン座だった、神道社はぐちゃぐちゃ、まるで今まで遊んでいた公園の砂のお城を横から入って来た悪ガキが壊していったようなそんな後味の悪さだった。

 そこへブロードが起き上がる。

「くっそ……、このままで終わると思うなよ…」

「ブロード……」

 リスクが力ない声で答える。オリオン座が重い声を震わせる。

「神おも超える力か…確かに恐ろしい力だが、それでうろたえる俺達じゃあないだろう」

 そこに現れたのはオリオン12星座の面々だった。

「万全の準備をしてその大会をめちゃめちゃにしやがったてんびん座がどれほどのものを怒らせたのかわからせてやろうじゃねえか……!」

 そこには残りの神聖12星座の面々がづらりと並んでいた。

 運営側の本拠地が崩壊し大会がほぼ続行不可能な状態に、そんな中大会参加者達が立ち上がった。神聖12星座もオリオン12星座も協力し、打倒極悪神ゼウス討伐へと動く。 


「こーらーだせー!」

 楽園エデンの城の使われていなかった牢屋を使ってスズとレイシャは閉じ込められていた

「なあなあわらわもあの本読みたいんじゃ、あの原初の本のな、他の人にも憑依出来ると言う項目に興味がある、わし巫女にしか憑依出来んからな」

 てんびん座とゼウス、レイシャとミュウが牢屋越しにおしゃべりをしている。

「しかしな~これを読ませる訳には……禁書だし……」

「なーなー頼むよ~何でもやるから~」

「な!何でも!? じゃーじゃーあ……頭なでなでとか!?」

「え!? あーはーいいんじゃないかな~?」

「うっひょー! わかった良いぜ! 約束だぞ! 俺女の子に膝枕してもらうのが夢だったんだ~!」

「わーいありがとう~!(この男…ちょろい…!)」

 心の中でそう思ったミュウであった。

 その後、ミュウは『原初の書』を読んだ。巫女と憑依するなら時間は制限時間はいらないが、他の人間と憑依すると、3分が限界らしい。これでミュウは巫女以外の人とも憑依をすることが出来ると言う情報を手に入れた。

「おお…それはそうと『原初の書』のおかげで我ら神の軍勢が甦ったぞ、我の!我による!我の為の軍勢だ!」

「対するお前の軍はどうだ、聞くところによると6000人の軍勢しかおらんと言うではないか、しかもただの人間に神の力をわけあたえた者達のみ。そんな軍勢が結束力などあるはずもない、軍隊としての訓練も何もしてないだろうしな!」

「確かにわらわの仲間たちは軍隊ではない、でもみんなわらわが作ったゲームで遊んでくれた仲間だ、そもそも戦争をやる為に作られたわけじゃない、遊ぶためだ、どこまでもおもちゃで、おもちゃに誇りを持っている、人を護るための武器なら拳銃でも持ってればいい、でもそうじゃないんだ、わらわは彼らの意思を尊重する」

「助けに来ると思っているのか?」

「来るさ、特にブロードはレイシャにぞっこんだからな」


 楽園エデンの端っこの湖、リスク、ブロード、オリオン座とその他の能力者の軍勢6000人が楽園エデンに攻め込もうとうずうずしている、相手は極悪神ゼウスの軍勢10万人。

 ミュウとオリオン座、両陣営の秘密兵器こと完全なる右腕達も今回ばかりは駆けつけた。ミュウ側からはヒーロー戦隊レジェンズ、大海賊王オーケアノス、スーパースター笑点軍団。

 オリオン座側からは竜騎士ハーツ大隊、トライデント電撃大王軍、企図大帝アロハU座長。

 過去の大戦で、文献で残っている伝説の戦争を1とするならば。視野も規模も質も8を有に超えているだろう。避難が遅れている人たちを誘導して、助け出す作業が行われている。

 今回ばかりは能力者達が結束し、束になろうとも勝てる見込みは薄い、が………。

「レイシャを助け出す、あとスズも」

「事のついでみたいに言うなよ……スズはうちが助ける!」

 ブロードとリスクの意思は固い。オリオン座が重い声を響かせる。

「じゃあ6000人の軍勢は俺が引き受けよう、その間にお前らは城に飛び込んじまえ」

 オリオン座が野太い声を轟かせる。

「よっしゃあ行くぞ野郎どもー! 俺達の力を見せてやれー!!」

 6000人の軍勢の声がオリオン座の声に呼応する。

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」

 企図大帝アロハU座長が杖を地面にひと突きすると、フィールドから月光花が咲き乱れる。攻撃性そのものは無いが多重影分身効果があり6000人が倍近く増え、更に消えても永続効果がある。トライデント電撃大王軍が天空から雷を落としトライデントの槍に吸収、そのまま電光石火の早業で先陣突撃をする。奇襲を成功させ敵軍が怯んだ隙を更に崩すため、スーパースター笑点軍団は和ませることに専念しシリアスな笑いが場を支配する。空中戦は竜騎士ハーツ大隊の土俵、相手の観えない所をハート型の光槍で敵ドラゴンと激突。劣勢な場所へは大海賊王オーケアノスのミニホシウミガメ船『輪廻転生号』が地面から出現。墨と雷の黒い流星矢が噴水のごとく辺りを彩る中……敵を宙に浮かせトドメをヒーロー戦隊レジェンズが円陣に必殺技を放ち、まるであたり一面黒一色のオセロ盤を白一色に染め上げ、ひっくり返しド派手な大爆発があたりを彩る。やはり美味しい所はヒーロー達が栄える。

 ミュウは話にならない声で、ぼそりと涙をにじませながら呟く。

「……今度は皆……『居る』んだな……」

「事情は分かった! 道は俺達が切り開く! フォローは任せろ!」

 リスクは仲間達の声を叫んだ。

「にんじん、サプリメント、金魂、宴会、禁書目録、皆来てくれたのか!!」

 10万人の暗黒神ゼウスの大群の中を一点集中で突き進むメンバー達!

「どいてろ! 邪魔だ!」

「はーいはーい私達の出番だね~!」

 先頭を切ったのはふたご座とほうおう座だった。

「ふたご座! ほうおう座!」

 二人の超火力がゼウスの軍勢を焼き尽くす。

「絶対王政!」

「太陽フレア!」

 灼熱の業火が煌めき――道は開けた。ふたご座兄とほうおう座は交互に激励を叫ぶ。

「さっさといつも通り前へ走って行けバカ野郎―!」

「援護と後ろは任せな! いっけィぇええええ―!」

 リスクとブロードが走ったいたその果てに、リスクの教師。湘南桃花は光と影を背に、化物じみたカンフー的な動きを人間として行っていた。誰にも教えられてない用法で桃花の拳は敵兵に牙をむく。

敵兵1体がその攻撃で倒される。桃花は手に持っていた三色だんごを1本食べ終わった。

「全く、こんなことやったって意味ないのにね」

「桃花先生!」

「お前は確か頂上決戦の時の……」

「最後のクライマックスぐらい私にも活躍させな! いくよ! 心のエレメンタル!」

 どよよ! っと敵兵にざわめきが起こる、が、何も起こらない。

「なんちゃってー! うっそだぴょーん! オーバーリミッツ!」

途端にエレメンタルから炎眼を纏った神霊が姿を現す。神霊は宙に浮き、手のひらから紅黒い球体を敵兵に飛ばし、地獄の大釜を作った。地獄の沼に引きずり込まれた敵兵5体は、最後に黒い巨大な手に握りつぶされる。

「地獄の裏釜耐えれるかい? 魂に刻め! 奥義! ヘルハンドショック!」

 敵兵の心にトラウマがショックを与えた。

「ここは任せて、あんたたちのステージは邪魔させない。行ってらっしゃい」

リスクとブロードは「おう!」「わかった!」と感情を理解し、走るのを止めずに走り抜け、すれ違った。桃花の重く深い桜色の心と心に触れた気がした。

 こうしてリスクとブロードは、極悪神ゼウスが乗っ取った、楽園エデンに殴り込みをかけた。


 ミュウとレイシャは『原初の書』を読んだには読んだが、極悪神ゼウスが闇の力を使ってレイシャを操り始めた、そしてブロードの所に行く。占領された楽園エデンへ殴り込みをかけたリスクとブロード。そこへレイシャとザンベルトが現れた。


 神と巫女の器と言う物は最近のゲーム好きな子供にわかりやすく説明すると、身体がプレイヤーでそれに憑依する神様がゲームハードと言った感じだ。いくら神様というゲームハードが高性能でもプレイヤーの方が壊れてしまうのでは意味がない。反対にプレイヤーの方に高い技術力があっても、ゲーム自体がつまらなければそもそも遊んでもらえない。要するにバランスの問題だ。

 大人にわかりやすく説明するなら車である。ゼウスはレース用の高級なスーパーカー、ミュウは庶民に愛されている軽自動車。レイシャはそもそも巫女として優秀でスーパーカーも軽自動車も運転できる、残念ながらヒミコは軽自動車も運転できなかった無免許ドライバーという感じである。そしてレイシャは今スーパーカーと軽自動車を同時運転しながらブロードと戦おうとしている。レイシャの精神が削れる前にゼウスとミュウ両方のガソリンをカラにしてしまおうという魂胆だ。そもそもどちらも車レベルで強いのでブロードは勝てる可能性は皆無だろう、だが少しでもゼウスのガソリンを少なくして欲しい。レイシャはそう想っているのだ。

 それは一人の普通の男子高校生にゲームをいくらでも遊んでいいから、原子力発電所の電気をカラにして欲しいという。99%無理な相談なのだが100%無理という話でもない。エネルギーは必ず磨耗する、減っているのならいつかはカラになる。レイシャはその1%以下の限りなく無いに等しい確率に。ブロードが必ずやってくれると信じて命を駆けた。ブロードはその意味を理解した。

 エレメンタルカプセルの中で尋常じゃない戦いが今、幕を開ける。

「じゃあいくよ……私はブロードを信じてる!」

「受け取ったぜ……お前の想い! 必ず助ける! 心のエレメンタル!」

 ブロードは初めから全力でいくつもりだ。当然と言えば当然である。現在の普通の状態でのブロードではまるで相手にならない。何千何万件の電気エネルギーを一カ所で補完してしまう原子力発電所の電気を、1家庭の中の1家電のゲーム機という盾一つで防ぎきろうというのは土台無理な話だ。

「ドロ―!」

 それを一気に1企業の30階建てのビル相当の盾に切り替える。これで電磁波の余熱だけで消し炭になるという事態だけは避けられるだろう。

「名は「護る」!」

 レイシャはブロードに光の速さで急接近する。瞬間、最初の一撃が激突する。ブロードは剣、レイシャは素手だ。前もってミュウがゼウスの力を空周りさせるように空回転させ、余計なエネルギーを消耗させてブロードの剣芯に当たる。力は拮抗しはじき返せた。それは見立てではボクサーが相手と挨拶するようなジャブでしかなかった。

「くっそ……重すぎる! 今ので地球一個分のエネルギーが無くなったぞ!」

 ゼウスは「それはギャグで言っているのか?」っと大笑いする。

「あんな小さな星一つを基準にしてお前頭おかしいんじゃねえの? なァ!」

 レイシャはスーパーカーのハンドルをワザと道を外すように操作する。スーパーカーはアクセルを思いっきり全快で蒸かす。

「ブロード危ない!」

 レイシャが思いっきり的外れな方向へ拳を突きだし空彼方へ攻撃した。

 瞬間―、時空間が吹き飛ぶ。空は砕けブロードは文字通り光の早さで回避するが、余波が剣芯から伝わる。どう感じても地球2個分のエネルギーが消費された。

「こんなのが続くのか……いや、ビビんなよ俺! セイ! ハア! ヤア!?」

 少しでも相手を消耗させようと軽く地球5個分エネルギーで3回剣撃を食らわせた、レイシャは普通に腕でガードした。腕でガード出来るという絵面もおかしいが。もっとおかしいのはブロードの方は素手でダイヤモンドを攻撃したような痛みが腕から伝わって来たということだ。その事に気づいたミュウが助言をする。ちなみにミュウはゼウスの攻撃を8割削り取ってからブロードはそれを相殺している。最初のジャブでブロードに1ダメージ相殺できたということは、ジャブ1発で地球5個分のエネルギーが放出されていることになる。

「作戦行動はいのちだいじにだ! 無理に攻撃する必要は無い! 逆効果だ! とにかく撃ってきた攻撃を相殺しまくれ!」

 当たれば死ぬ、空振りは世界が滅ぶ、攻撃したら防御力が高すぎて自分がダメージを食らう。そうなってくると、ゼウスの攻撃をミュウが削りまくったあとの。その余波を相殺するしか出来ない。レイシャの身体はゼウスが操ってるので攻撃は止まない。とにかくタイミングを合わせて相殺し続けるしかない。

「ちょこまかと逃げるんじゃねえ! これで吹き飛ばしてやらあ!」

 ゼウスは半球体方向に無数のエネルギー弾を発射、ホーミング式でブロードめがけて襲ってくる。

「風神連牙弾!」

 風神爆破の連続攻撃弾を発射して相殺させる。すかさずその隙にレイシャが光の速さで接近、上段を拳で5回、中段拳で3回、下段後ろ回し蹴りを1回の連続攻撃をすべてジャストで剣に攻撃を当て相殺させる。流石に恋人同士ということもあってこういう連携は上手い。ゼウスが楽しんでるのか怒ってるのかわからないような感情で、ブロードに剥き出しの殺意をばら撒く。

「そーれワンツー! ワンツー! ワンツー! あーもーじれってー! これで死ね! 俺様強ぇえ弾!」

 今度はレイシャは赤いエネルギー弾を生成。ブロードめがけて投げ飛ばす。ブロードはすかさず相殺しようと剣を当てたが、まるでスーパーボールに当たったかのように跳ね返る。跳ね返った先はレイシャの方へ誘導され、レイシャはそれを攻撃する。するとどうだろう、赤いエネルギー弾は付加エネルギーを重ねで一回り大きくなりまた跳ね返った。・・・、ブロードが跳ね返し、レイシャが跳ね返し、ブロードが跳ね返し、っとみるみる赤い玉は大きく更に速く加速していく。まるでテニスをしているようにも見えるがどちらかがラリーを失敗すればその膨れ上がったエネルギーを全て食らうという形だ。

「しまった!」

 ミュウが理解し止めようとするがもう遅い。光の10倍速くなった赤弾はブロードめがけて命中する!

「ぐおあああ!」

 ゼウスはざまあみろと言わんばかりにミュウを見下す。

「どうだ~? いくらお前が頑張って削っても後から付加させれば問題ないだろ~?」

「く!」

 先ほどの原子力発電所の例で言うと、風で通常のビル以上に強度を高めたとは言え。周りにあった9件の同じようなビルは余波で吹き飛んだ。と説明するしかない。

「想像出来る範囲で全力で! でなきゃ相手に失礼だ! コレで死ね!」

 ゼウスは半球体方向に無数の赤いエネルギー弾を発射、ホーミング式でブロードめがけて襲ってくる。さっきの技を二つ合わせた攻撃だと、ブロードはダメージにより気づくのが一歩遅れた。

 36個の赤い弾丸を全て弾ききったまでは良かったが、レイシャの方も全て弾き返してしまった。

「しまった!」

 付加を重ねた赤いエネルギー弾はブロードに全弾命中。威力にして地球36個分、更に跳ね返しによる付加で地球72個分のエネルギーがブロードを襲う!もはやひとたまりもない。

「ブロード!」

「ハハハハハハ!」

「…………」

「ぜい、ぜい、ぜい……」

 疲労困憊、ゼウスだけぴんぴんしている。いや、ゼウスにも大量の汗は確認できる。100メートル走をして大量に汗をかいた程度には消耗しているのだろう。だが、それでは健康的に汗をかいた程度である。体力を尽き果てさせるにはまだまだ全然たりない。

 ブロードはもう立っているのがやっとだった、もはや望みはない。諦めてはいないが身体が動かない、残された選択肢は一つ。「受け継ぐ者の為に少しでも」っという想いだけだった。

「レイシャ、息合わせろよ!」

 身体は死にそうだが心は、目はまだ死んではいなかった。

「う……うん!」

「ははは! わるあがきを! 来い! 全力で相手になってやる!」

 レベルが無限なのを良いことに想像の限界を超えて風圧を拡大させ収縮させている。そのレベルは太陽ほどのエネルギー消費!いやその数倍!

「風神竜爆殺!」

「スーパー俺様強ぇえ弾!」

 二つのエネルギーの激突により、エレメンタルカプセルの中の宇宙は、世界は白一色となり。エレメンタルカプセルは砕けた。


「一体私がどんな想いで待ってたと思ってるの!?」

「待ってる気が無かったから今回こうしてこうやってここに居るんじゃないのかい?」

「……そりゃそうね、待ってるのなんて私のガラじゃないし。待ちながら鶏ガラスープになるのはごめんだわ」

「集中してなくて適当なこと口走ってる君だとまだまだだね。そうだ、この戦いで僕が負けたら闇のエレメンタルをあげるよ。元より僕にはこんなもの必要ないんだ」

「悪いけど止める気はない。あんたの説得がまともな論争で連れて帰れるとは思ってはいない。どの道、力づくで連れて帰っるつもりだったんだからそれでいい。城の外でほかの人達が戦ってるんだ。もう私一人の問題でもない。だから、勝ってエレメンタルも没収する」

「それは善なる絆か悪なる絆か……まあいいや。そんなことは気にしたってしょうがない。僕達は僕たちのケリをつけるしか無いのさ」

思考が空回る、集中できない、ヨシュアが目の前に居ることによって思考や身体でのブレが生じている。それは心のしょさ、進んでるのか戻ってるのか分からない思考は周りの人々にも波紋するのかもしれないし、ぶつかるのかもしれない。でもここは止めてはいけない。考えろ、思考を止めるな。

この戦争は今も続いている。だから、その闘争の渦にケリをつける事こそがスズやヨシュア、果ては周りの戦士達への指揮にかかわる。

ここで揺らいではいけないのだ。雑音にいちいち心揺らすな。

闘争で揺らめいているこの状況下で、鈴虫が懸命に鳴いているのが聞こえる。生命の息吹が聞こえてくる中で、スズはヨシュア。檻からでたスズは揺らめく木刀を手に取り、そして瞬足。

背後に回り込んでからの突きによる牙突。

しかしヨシュアは残像を残して視界から消えた。前方、後方、忍者でも無いのに真下も確認したが居ない。否、ヨシュアは目の前に居た、自分がヨシュアを「認識したくない」という緊張下から自分から認識するのを拒否してしまった。

ヨシュアは何もしていない、何かとてつもない事がおこっている「ようにスズが感じただけだった」。前方、ヨシュアの剣劇が炸裂する、その攻撃はリスクやスズとも違うものだった。

リスクは暴力的な無駄で派手な立ち振る舞いだが、スズは計算された流麗な型。対するヨシュアは静と動、両方をかね揃えていた。相手が火タイプだから水タイプを出せば勝てるな、とかそういうものではなかった。もっと人間くさい代物。

スズが流麗な剣劇を放ってきたのでヨシュアは不動な剣劇をお見舞いした。いわく、全く動かない。最低限度の攻撃、流れるような攻撃を一撃の下に「崩した」。まったく思うように動けない。

み……、右手首空の上段斬りを崩される。ひ……、左下段回転斬りを崩される。ま……、前上段牙突を「加速させられた」。速すぎる自身の攻撃に足を崩す。思うように動けない、これがヨシュアの天武の才能だというのだろうか。

「こんの……!」

 昔から戦闘を行っていたスズは久しぶりの感覚に身震いする、これだ、この理不尽に、無差別に。積み重ねてきた努力が訳の分からない方向に引き吊り込まれるのが。

 次に、ヨシュアは相手の思考を崩した。次に思考の再構成を崩した。次に立て直そうとして姿勢を間違った方向へ治した。

 スズはこける。頭からゴツンと、それから立ち上がる。

「まだだ……まだこれからだ!」

「僕もそう想ってなかったよ、やっと体が温まってきた」

 自分のペースに持って行きたくて一呼吸おくスズ、このままだと防戦一方。仕方ないのでとっておきを出すことにする。

「無音の永眠!」

 音もなく飛ぶ斬撃を放つ、風なので見えない。唯一音速で察知出来るはずの音が無いのにも関わらずヨシュアは当たり前のように跳ね返す。

 絶対当たると想ったものが訳も分からず跳ね返ってきた、当然それは絶対当たる、かに見えたが。それを考える間も与えず無音の永眠で相殺する。とんだ気苦労が増える。

 

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