宮殿を渦巻くもの
◆皇帝の権力がないという状況
本作の皇帝は実権を持たない名ばかりの皇帝です。これはアルフレッドの父の資質に問題があったわけではなく、外戚や官吏たちの長い派閥争いが招いた結果です。ゲームなので、その辺りの細かい理由は省略しています。
アルフレッドの父のジャレッドは、皇帝の権力を取り戻そうとしていましたが、それができずに嘆いていました。彼がアルフレッドに将来を託したのは、アルフレッドが嫡男であっただけではなく、うつけ者と呼ばれる息子に革命を起こしてほしいと願っているのです。
◆うつけ者のアルフレッド
主人公のアルフレッドは帝国の伝統や礼節を重んじない、自由奔放な人間です。そのため彼は宮殿内で嫌われています。ラスクレアのように彼を熱烈に慕う人間はいますが、そういう人間はごく一部です。
宮殿で過ごす貴族や官吏たちは頭の固い人間が多いので、イレインのようにアルフレッドへ反意を持つ者が圧倒的に多いというのが、本作の開始時の状況です。
パロミデスやグルバンヌは帝国の状況を鑑みてアルフレッドを支持していますが、内心では苦々しく感じています。
◆宮殿内の対立関係
帝位の正当な継承権を持つアルフレッドを指示するグルバンヌらと、アルフレッドの帝位継承を嫌うイレインたちで派閥が分かれています。イレインたちは、気弱で見た目だけ立派なヘリオットを次期皇帝に据えるため、アルフレッドの暗殺を模索します。
◆序盤にちょっとだけ登場するエリスロットは重要キャラ
エリスロットはアルフレッドとジョセフィンの親友です。彼の父は帝国の元官吏で、アルフレッドの父の親友でした。しかし彼の父は政争で破れ、家は没落してしまいます。
アルフレッドの暗殺を企むイレインは、エリスロットの起用を考えます。彼は優秀な術法師であり、アルフレッドにも近づきやすいため適任です。
エリスロットは家が没落してしまったことを嘆いています。暗殺の交換条件は、彼と父の宮殿への復権だったため、彼はイレインの提案を断れなかったのです。
◆アルフレッドは身内すら信用していない
彼は幼少の頃から暗殺の危機に瀕し、実の兄をふたりも亡くしているため、非常に用心深いです。ラスクレアが玉座で彼に念を押すようなことを言っているのは、自分が信用されていないことを理解しているからです。
だれも信用できない状況で、真に信用できるのはだれなのか。それが彼の冒険のテーマになっています。
◆ラスクレアはまわりがあまり見えていない?
アルフレッドはうつけ者ですが、若くして帝国の状況を熟知しています。宮殿の対立関係や自分の置かれている状況だけでなく、フォールズなどの地方の情勢まで知っています。
ラスクレアは政治に無関心であるため、視野が非常に狭いです。お兄様はわたしが支えればなんとかなるくらいにしか思っていないので、変なところでモーガンみたいな悪い男に捕まるのです。
◆ジョセフィンの思惑
作中のジョセフィンはアルフレッドの追っかけくらいにしか見えませんが、彼女はラスクレアと違い、かなり計算しながら行動しています。
彼女はグルバンヌの娘であり、グルバンヌは宮殿でイレインの次くらいに有名な人です。ジョセフィンは紛れもなくアルフレッドの正妃の第一候補であり、アルフレッドが彼女を選べばグルバンヌの権勢はさらに強まります。
しかしアルフレッドは用心深いので、ジョセフィンが幼なじみであっても容易に信用しません。そのため彼女は、危険を冒しても彼の信用を得る必要があるのです。
◆ジョセフィンとラスクレアって仲いいの?
ぶっちゃけた話、微妙な間柄です。お互いにアルフレッドを取り合う間柄なので、無理はないのですが。
その辺りもゲームに盛り込めれば宮殿の話っぽくなるのですが、本作のシナリオ的にはあまり重要ではないし、アクター同士で仲が悪いのもRPGとしてどうかと思うので省略しています。
◆パロミデスって何者?
作中の冒頭から登場し、皇帝であるアルフレッドに説教する緑の人。彼はアルフレッドの教育係なので、説教するのは仕方ないのですが。
パロミデスは宮殿で騎士団長を務めたけっこう偉い人です。「翠嵐」という異名まで持ち、その名はフォールズにまで知れ渡っています。
人を信用していないアルフレッドも、彼のことは一目置いている姿が伺えます。