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#11「Surf」

今回、シマを取り巻く波は荒く片腕を失ったサーファーがやってくる話です。

少女シィとビーバーのビーの物語、よろしくお願い致します。



 シィの脇腹の傷は既に塞がっていたが、やはり傷跡は残りそうだった。

「………」

 太陽が照りつける中、シマに流れ着いたガラス片で脇腹を映して見ながらシィは

その傷に触ってみる。

 褐色の筋肉質でしなやかな肌に残る、レールガンの弾が貫通した跡。

 痛みはもう無かったが、そのざらりとした手触りが撃たれた時の痛みと熱さを少

し思い出させた。

 シィの身体には他にも傷は多数存在していたが、この傷はまた違う様な気がした。

 これまでの自分が無茶をした故のものとは明らかに。

「…………」

「シィ」

「どしたの、ビー」

 ビーバーのビーがやってきた。

 ビーも同じく手足を撃たれていたが、回復は割と早かった。

 今では普段通りに歩いたり泳いだり出来る様になっていた。

「いい天気だね」

「ね」

 ビーは砂浜で佇んでいるシィの側に来て転がった。

 ビーはビーバーだが何故かヒトの言葉を話せる。

 そして二人だけのこのシマでは、時に環境が変わり何処かからヒトやモノが現れ

ては消える。

 だがあれから一ヶ月、特にシマでは新しいことは何も起きてはいなかった。

 シィとビーは身体の回復を図りつつ、日々を過ごしていた。

「キレイだね………」

 座り込んだシィは水平線を眺める。

 砂浜の外はいつもの珊瑚礁と海面と青空が広がっていた。

 それでも、シィは考える。

 シィのウナジにあるタトゥーの様な紋章、通称『ファントム』。それはある時代

からヒトに現れる様になり、それを使ってヒトとヒトとは繋がり合い、時に奥深く

まで分かり合うこともあるのだという。

 前回、それを無くした人間が現れた。彼は混乱し、レールガンをむやみに撃ち続

けていた。

『ファントム』が無いということは、それほどまでにヒトに影響を与えるものなの

だろうか。その絶望と混乱との中で、シィは撃たれた。

 シィに『ファントム』が現れたのはごく最近だが、それで誰かと繋がる、という

ことは確かにシィにとって深い意味を持っていた。

 そして、シィの奥底にはかつて深海で出会った白い白亜の塔の頂上にいる青年、

恐らくシィを導くべき存在であろう『ヒュー』がいる。時々シマに現れる謎の緑の

光の方の『ヒュー』と同じ存在なのかどうかも今ははっきりしてはいないが、その

両者に繋がるのは、大抵『ファントム』を介して誰かと繋がっている時だった。

 物心ついた時からこのシマにいるシィにとって、最近知った『ヒュー』、そして

それに繋がる『ファントム』の存在は特別だった。

 いつかその先に辿り着きたい。そして全てを知りたい。

 シィはそう思っていた。


  *   *    *


 その夜、シィは自慰にふけっていた。

 あれ程のことがあったのに、と自分でも思うが夜になると身体が疼いた。

 ケガをしてしばらくは痛みの中だったのでそうでもなかったが、痛みが引くと快

感はより強くなっていた。何故なのかは分からない。自分の身体は、どんどん変わ

っていくということなのか。シィはそのことに驚きを感じつつもその期待と不安が

ないまぜになった感覚を味わっていた。

「ん………」

 シィの左手は自らの胸の先を捉え、右手は下腹部の奥へと差し入れられていた。

「あぁ………」

 あの銃弾に貫かれた様に。

 またいつか、オトコに貫かれることもあるのだ。


「ふぅ……」

 ビーは遠くで聞こえるシィの声を聴きながらいつものように小川の中程にある自

分の巣の中で木片を抱いて転がっていた。

 シィは元の様に自慰にふける様になった。

 健康的で良いとは思うのだが……あれで実は身体だけでなく精神的にも結構成長

して来ているのではないか、とビーは思っていた。

 このシマでは、色んなことが起こり過ぎる。そして考える時間も多くある。

 その中で、シィは捻れずに前を向いて進んでいる。

 それはとても希有なことだ。

「………」

 ビーは木片を抱えたままゴロンと寝返りを打った。最近この木片は抱き心地が良

くとても身体になじむ。抱き枕、というモノを考えたヒトは天才ではないのだろう

か。

 そんなことを考えていると風に乗ってシィの達した声が聴こえて来た。

 ビーはそっと微笑んだ。

 波の音が少し大きく聞こえていた。


  *   *    *


 次の日の朝、シィが外に出てみると珍しく強い風が吹いていた。

 太陽は出ているものの外海は荒れ、手前の珊瑚礁部も外海からの波の影響を受け

て小さく白い波頭が見えていた。

「荒れてるね」

 ビーが側にやってきた。

「そうだね……天気はいいけど」

「今日は漁は無しだね」

「うん………」

 シィは空を見上げた。素晴らしく晴れた蒼が広がっている。流れる雲も早い。

 やがてビーが呟く様に言った。

「何かが、起こりそう」

「え?」

 シィは足元で海を見つめているビーに目をやった。

「………」

 確かに、何かが起こりそうな予感がした。

 シィは海の方に目をやった。

 今のところ特に新しいシマは現れていない様だ。誰かがシマにやって来る時は、

そのヒト自身のシマを伴ってくることが多いのだが。

「………?」

 シィは少し歩いて岩場の方へと向かった。

 やがてその歩みは小走りになり、そして全力の疾走になった。

「シィ!」

 背後でビーが叫んでいたが構わず走った。

 何かが、自分を呼んでいる様な気がした。

 ひょっとしたらシマの見えない側に、既に新しいシマが出現しているのかも知れ

ない。

「………!」

 そしてシィは見つけた。

 岩場の先の波が立つエリアで、シマではなく波間に見える人影を。

「いた!」

 その男性はロングボードに突っ伏して、気絶している様に見えた。力なく四肢は

海に浸かったまま波間で揺られている。溺れたのだろうか?上半身は裸で、サーフ

パンツのみの筋肉質な白人だった。一見してサーファー、に思えた。

 シィは岩場に走っていって迷うこと無く海へと飛び込んだ。

 シィはクロールでロングボードの方へと泳いでいった。波は高く少し苦労したも

のの、シィはその並外れた体力ですぐにサーファーの元へと辿り着いた。

「……大丈夫?」

 シィは近づいて声をかけたが返事は無い。サーファーは顔の右側を下にして向こ

う側を向いていた。

 反対側に回り込んでいったシィは気がついた。水に浸かったサーファーの左腕は

肘の先からが無かった。今何かに食いちぎられた、というよりはかなり前のものだ

った。既に傷は塞がっている。

「………!」

 サーファーは気を失っていたが呼吸はしていた。

 シィはロングボードを押して岩場の方へと向かった。


  *   *    *


 岩場ではビーが待っていた。

「大丈夫?」

「うん、気を失ってるだけみたい」

 ボードと共に何とかサーファーを引っ張り上げて息を荒くしながらシィは答えた。

 痩せ気味だが割と筋肉質で背は高かった。銀色の髪に白い肌。クッキリとした顔

立ち。左手が肘の先から無いことを覗けば健康そうに見えた。

「………」

 シィは頭から足先までを眺めた。サーフパンツで隠れているところを除けば、『

ファントム』は無さそうだった。もし普通の人の様に左手甲に『ファントム』があ

ったのだとしたら、この人も『ファントム』を失くしたことになる。

「う………」

 その時、サーファーがうめき声を上げた。

「どうしたの?」

 シィはサーファーの顔を覗き込んだ。

「………うあっ」

 サーファーが飛び起きて、覗き込んでいた頭とぶつかった。

「うっ………いたた」

 シィは尻餅を突いて額を押さえた。

 サーファーは痛みもあるだろうがザザッと下がって辺りを見回して怯える様な仕

草を見せた。

「あ……大丈夫?」

 痛む額を押さえながらシィは立ち上がった。

 サーファーは辺りを怯える様に見回し、ロングボードを見つけると寄っていって

それを胸に抱いた。

「あ………?」

 シィは何と言っていいのか分からなかった。

 ザッパーン!

 その時一際大きな波がやって来てシィ達の側の岩で砕け水しぶきを上げた。

「あぁ、あぁーーー!」

 サーファーは怯えた声で叫んだ。

「え?」

 シィは戸惑った。何を恐れているのだろう。サーファーなのに波を恐れているの

だろうか?

「…………」

 シィは近づいていった。

「森に入ろう」

「………!?」

 サーファーは恐れた顔でシィを見上げた。

 シィは努めて明るく笑顔を作った。

「此処はあたしのシマだよ」

 シィの促す様に差し出した手がボードの先に少し触れた。

「!!触るな!」

 突然サーファーは激高してロングボードを振るった。

「シィ!」

 ビーが叫んだ。

「ウッ…」

 ボードの先はシィの頬を直撃し、シィは気を失った。 


  *   *    *


 その瞬間、サーファーは目撃した。

 自分が振るったボードに当たり倒れていく少女のウナジに『ファントム』がある

のを。

 そしてそれが一瞬どす黒いモヤモヤとした光を放ったのを。

「………!」

 それはサーファーを恐怖に陥れた。

 かつて自分の左腕を奪っていった、あのドス黒い光ーーー。


  *   *    *


 シィはモヤモヤとした暗い空間を漂っていた。

 ヒトやモノの邪悪な面が塊になった様な存在に、じわじわと取り込まれている様

な感覚。

 自分は何故こうしているのだろう。

 ある時から、このシマの潮目が変わった様な気がする。

 そう、『ファントム』ーーー。

 それが無い人達がやって来る様になってからだ。

 いや、そもそも自分に『ファントム』が現れたこと自体がそうなのか?

 とにかく、自分はその度に傷ついている。

 身体の傷は構わない。今まで何度も自分の無茶で傷は負って来た。

 だが『ファントム』に触れれば触れる程、そして『ファントム』を失ったヒトの

ある種歪んだイメージを受けた時、自分は何も出来ないことに気付かされる。

 自分はまだ、『ファントム』のことも『ヒュー』のことも、自分の人生のことで

すら何も知らないのだから。


  *   *    *


「………!」

 気がつくと、シィは自分の小屋の簡素なベッドに寝かされていた。

 頬には薬草が貼られている。

「あ、気がついた?」

 見ると、側にはビーがいた。

「いたた……」

 痛む頬と首を押さえながらシィは身体を起こした。

「どれ位寝てた?」

「んー、数時間位」

 小屋の外を見ると既に日は落ちかけて辺りは少しオレンジ色が入りかけていた。

「……あのヒトは?」

 ビーは首を傾げた。

「さぁ……岩場、かな」

「………?」

 それは現れた場所、ということだろうか。

 シィは顔をしかめながら薬草を剥がし、立ち上がった。


 岩場に近づくと、あのサーファーはロングボードを抱えて座り込み日の沈みかけ

た海を眺めていた。まだ風は強く波も荒々しく舞っていた。

「…………」

 シィはそっとサーファーの表情を窺った。

 その顔には何かへの恐れが見て取れた。

「…………あの」

 シィは努めて笑顔で側に寄っていった。

「!」

 サーファーはまた恐れる様子を見せボードを抱え込んだが、その表情には少し後

悔の念も入っていた。

「あぁ……大したことないから。もう触らないよ」

 シィは頬を指してそう言ってから少し離れて座った。ボードには触れない距離だ。

「あぁ……悪かった」

 サーファーは少し落ち着いた様だった。

「サーフィン、やるんだ」

「……今はもう、やってない」

「そう………」

 それは左手を失ったから、だろうか。

 シィはその手に目をやった。サメにでも食われたのだろうか。時折そういうこと

はあるという。シマに現れた何かの本で読んだことがあったっけ。

「そう……シャチか何かに食われた」

 サーファーはシィの方を見ずに答えた。

 シィは慌てて目を逸らした。

「あ……ゴメン」

「いや……」

 サーファーは失くした腕を懐かしむ様に左肘を上げて見た。

「このくらいの重り、無くしたところでバランスが取れない筈はないんだが」

「……え?」

「何かが消えて、それで何もかもうまくいかなくなった」

「…………?」

 それはやはり、『ファントム』のことなのだろうか。

 シィは黙って海を見つめた。

 自分はまだウナジの『ファントム』を失った事が無い。失うとどうなるのかは、

想像するしかなかった。だが、最近現れるまでは自分はそれを知らずにずっと過ご

して来たのだ。何故そこまで変わるのだろうか?それほどの影響が、自分でも気付

かないうちに与えられているということなのか?

「あの…どうしてこのシマに来たの」

 シィは聞きたかったことを聞いてみた。

 サーファーは少し考え込んだ。

「さぁ……多分ーーー」

 そして荒れる波間を哀しそうに見つめた。

「終わりにしたかったんだ」

「………」

 シィは俯いた。

 自分にはやはり、何も出来ないのだろうか。ーーーいつもの様に。

 ーーーーでも。

 シィは顔を上げて言った。

「あたしはシィ。此処はあたしのシマだよ」

「………聞いた」

 サーファーは表情を変えなかったが、シィは立ち上がって笑顔を作った。

「だからーーーー気が向いたら、サーフィン教えてよ」

「…………」

 サーファーは波を見たまま答えなかった。

 

  *   *    *


 その夜、シィはサーファーを浜に招きシマのキノコや果実でもてなした。

 相変わらずサーファーは自分のロングボードを肌身離さず持っていたが、少しは

警戒を解いたようだった。

 シィはサーファーと少しだけ話をした。

 やはりサーファーは前いたホシや自分の名前や家族のことなど、何も覚えていな

かった。

 少しだけシィはサーファーに好感を持った。

 ビーはそれを静かに見つめていた。

 夜の間も風は強く波は高かった。


  *   *    *


 次の日、シィはまだ荒く寄せては返す波打ち際にいた。

 そう言えば前にシマに流れ着いた短めのボードが何処かにあった筈、と思い出し

て朝のうちに探して来たのだった。

「じゃあ」

 シィはいつものスポーツブラに革のショーツに骨のナイフを腰につけた姿で、古

いサーフボードを抱えて立った。

「…………まずはパドリング」

 サーファーはやはり水際には来なかった。離れたところにロングボードと共に座

って指示をしていた。

「うん」

 シィは海に入ってボードに腹這いになると両手で水をかいた。サーフィンの映像

は何度か見たことがある。昔何度か木を削った板で試してみたことはあったが、そ

れではやはり上手くはいかなかった。今シィが手にしているのは古いとは言えちゃ

んと発泡スチロールで出来たボードだ。

 持ち前の体力もあってか、パドリングは問題無く出来た。

「………こっからだね」

 シィは上体を上げてボードに股がり海上でノーズを岸の方へと向けた。

「で波に乗ってパドリングしながらーーー」

 おあつらえ向きの波がぐーっとシィのボードを持ち上げた。

「起き上がって乗る!」

 シィはパドリング状態からバッと起き上がって両足を踏ん張った。

「ーーーあっ」

 バランスを崩し、シィの身体は海中に消えた。

「シィ!」

 波打ち際まで出ていたビーが声を上げた。

 シィはほどなくして海面から顔を出した。

「ふいー」

「大丈夫なの?」

「以外と難しいね!」

 シィは離れたボードまで泳いでいった。本来のサーフィンはリーシュと言って足

首とボードを繋ぐコードが存在するが、勿論シィのボードにそんなものは無い。

 シィは器用にボードに這い上がるとまたパドリングを始めた。

「………?」

 時折シィは離れたサーファーの方へ「何かアドバイスは?」と視線を送るがサー

ファーは「続けろ」と手をヒラヒラとさせるだけだった。

「…………よしっ!」

 再びシィは岸に向かって構えた。

 

 シィは何度か波に飲まれた。

 だがシィの類いまれな身体能力は急速にそのコツを掴みつつあった。

 サーファーにもそれは分かっていた。

「ニンジャの様に、体重を抜いて落とす!」

 何だそれは、と思いつつ何処か納得する部分もあった。

 シィは再びパドリングで少し沖へ出た。

「………よしっ」

 波がボードと自らを押し上げていく。

 その流れに乗ってーーー今!

 シィはサッとボード上で上体を起こし、タッとその上に立った。

「!!出来た!」

「シィ!」

「おぉ………」

 シィは少し腰が引けつつも、ボードの上でギリギリバランスを取っていた。

 初めて感じる、波に乗ると言う感覚。確かに波の上を滑っている。シィはそのま

ま波に乗ってまっすぐ砂浜へと上がった。

「やったね!」

 サーファーは波打ち際までは出て来たものの、やはりボードを抱えて座り込んだ

ままだった。だがその表情には少し笑顔が見えた。

「ガウガウ」

 近づいて来たビーも何か言っている。サーファーが近かったのでビーは話せなか

った。

 シィはそのビーの頭をポンポンとやってからサーファーの方へ近づいていった。

「でこの先は?」

「まだまだ、波と一体になるにはもっともっと」

「……了解」

 その表情は昨日と打って変わって穏やかだった。

「時には真っすぐだけじゃなくて、斜めに波を降りて行っても良い」

「そっか」

 そう言えば、今まで見たサーフィンは波を斜めに横切りつつそれを延々と続けて

いるものだった。

「やってみる!」

 そう言ってシィが踵を返した時だった。

「ああ、ああああーーーー」

 サーファーが恐怖の声を上げた。

「!?」

 シィは振り返った。サーファーが腰を浮かして、海の方を見つめて何か怯えてい

る。

「………?」

 シィは海の方へ目をやった。寄せては返す波以外は何も見えなかった。

 その下には、サーファーだけに見える何かがいるのだろうか。

「……大丈夫?」

 シィは思わず駆け寄った。

「触るな!」

 サーファーは暴れ、振り回したロングボードの先がまたシィの頭部を直撃した。

「ガウッ」

 ビーが何か叫んだが、あ、と思う間もなくシィの意識は飛んだ。


  *   *    *


 サーファーも、頭がグラグラとしていた。

 先程サーファーは確かに見たのだ。波の下に潜む、モヤモヤとしたどす黒い何か

を。

 そしてそれは、かつて自分の左手と共に『ファントム』を奪っていった何かとイ

メージ的に重なっていた。

 あれが、また来たのだ。

 そして踵を返した時のシィのウナジの『ファントム』もまた、どす黒い光を放っ

ていた。何故なのだ?この少女は、このシマは、一体何なのだ?

 今度は自分から、何を奪うというのだ?

 サーファーは頭を振ったが揺れる視界は収まらなかった。足がもつれてどうしよ

うもなかった。それでも自分のロングボードだけは放さなかった。

 サーファーは背後の森に何とか逃げ込んで倒れ込み、そのまま気を失った。


  *   *    *


 シィはうなされていた。

 悪意の様なモヤモヤしたものが、全身を取り巻いている。

 自分はそれで身動きが取れず、どんどん身体を浸食されていくのが分かっている。

 シィは叫んだが、全く声にならなかった。

 気がつけば自分は既に形が無かった。感覚も、全く存在しなかった。

 シィは絶叫した。


「あ…………」

 じっとりと寝汗をかいて、シィは目を覚ました。

 頭には濡らした布が乗せてあった。恐らくビーが乗せたものだろう。

「…………?」

 そこは暗い森の中、ヤシの木の根元だった。サーフィンをしていた砂浜から少し

奥に入ったところにある森だった。

 辺りはすっかり夜になっている。あれからどれ位経ったのだろうか。

「………いたた」

 ズキズキとする頭を抑えながらシィは上体を起こした。

 側にはシィが使っていたサーフボードがあった。

 ビーの姿は無い。

「………?」

 木に掴まりつつシィはヨロヨロと立ち上がった。

 辺りを見回したがあのサーファーとビーの姿は無い。

 まさかビーにまで暴力を振るうとは思えないがーービーならわざわざ近づくこと

もないか。などと思いながらシィはすぐ側の森の入り口まで出て行った。

 海は夜もずっと荒れていた。

 思えば、自分もよくこんな海に入ったなとシィは少し苦笑した。

 少なくとも初心者が入る海ではなさそうだ。だがあの波に乗った感覚は泳ぐのと

はまた違った、素敵なものだった。

「悪かった」

「!?」

 気がつくと、側のヤシの影にサーファーがロングボードと共に座っていた。

「あぁ……あたしが不用意に近づいたから……」

 シィは少し離れて座った。

 そうは言ったが、コメカミは痛むし心中は穏やかではなかった。

 ビーも側に来て見守る様に座った。

「あいつが来た以上………」

「え?」

 サーファーは恐れを内に秘めたまま、絞り出す様に言った。

「もう海には入らない方が良い」

「そう……」

 サーファーは自分の肘から先が無い左手を上げてみせた。

「あのモヤモヤにやられて、こうなった」

「モヤモヤ……?」

 昨日はシャチか何か、と言っていたがーーーー?

「あぁ」

 サーファーは目を細めて言った。

「………!」

 シィは考え込んだ。

 モヤモヤと言えば一つ、ずっと気になっていたことがあった。

 それは前回、スナイパーと出会って『ファントム』で繋がり幾多のフラッシュを

見た時のこと。その中でスナイパーの目線の中の自分や、かつてスナイパーが別世

界で出会ったと言うフライの面影を残した青年も、ある種のどす黒いモヤモヤの何

かに包まれている様だった。それはとても邪悪なイメージだった。

 あれは一体何だったのだろう。

 ひょっとしてあれもまた別世界での、ある種の自分なのではないだろうか。

 先程の悪夢の中の様に、悪意やそれらに負けた自分が捻れていったなれの果てが

それだというのなら。自分もまた、いつかそうなるということではないだろうか。

その姿を見て、あのスナイパーやこのサーファーは恐れを抱いているのではないだ

ろうか。

 だとしたら、自分はーーー?

「…………」

 シィは夜空を見上げた。

 相変わらず風は強く、雲は早かった。

 澄んだ空気の向こうで月が凛とした姿を見せていた。

 ゴォッ。

 突然突風が吹いた。

「!!」

 ズキッ、とまたシィは頭に痛みを覚えた。

「う……」

 シィは頭を抱えて転がった。

「どうした?」

「ガウガウ!」

 ビーとサーファーが駆け寄った。

「触らないで!!」

 叫ぶシィに二人はビクッとした。

 叫んだシィ自身も衝撃を受けていた。

 何故自分が叫んだのか分からなかった。だがそれはーーーあの時のサーファーも、

同じだったのではないか?今正に自分は、あのモヤモヤに取り込まれている様に、

どんどん堕ちていっているのではないか?

「うぅ……」

 それはーーー嫌だ!

 痛む頭を押さえながらシィは走り出した。

「あ………」

 サーファーはそれを見送るしか無かった。その目には、シィのウナジの『ファン

トム』がまたどす黒い怪しい光を放っているのが映っていた。

 ゴォッ!

 時折暴風がシマを薙ぐ。

 それは何かの予兆の様だった。


  *   *    *


 森に入ったシィはヤシにもたれ掛かっていた。

 呼吸が荒い。

 相変わらず頭は激しく痛んだ。

 そしてそれよりも、先程何故か叫んだ時の嫌な感覚が未だにシィを苦しめていた。

 あれは何だ?自分が自分ではなくなっていくかの様な。邪悪な何かに支配されて

いる様な。

 本当にさっき見た悪夢の中の様に、悪意のモヤモヤに取り付かれでもしたような

感じ。

 「殴られた」

 ただそれだけのことで、自分はここまで堕ちるのだろうか。

 いや、それだけでは無い。ヒトの悪意や、自分の未熟さや弱さ。それらが束にな

って弱い自分を責め立てている。

 ズキズキッ、と更に頭が痛んだ。

「くはっ」

 シィは地面に転がった。暴風に揺れる夜の木々がまるで悪魔の様にさざめいてい

る。

 シィは呼吸を落ち着けようと必死で目を閉じた。

「…………」

 ダメだった。

 動悸は収まらない。頭痛も激しさを増すばかりだった。

「うぅ………」

 シィは頭を抱えてゴロゴロと転がった。


「………!」

 その時、シィは遠くで何かを感じた。

「…………?」

 いや、遠くではないーーーーもっと近くーーーー!


 キィーーーン!


 それは、シィ自身の中からの音だった。

 シィのウナジから緑色の光が放たれ、辺りを照らした。

「あぁ………!」

 シィは、何かが分かった様な気がした。

 その光の中で、何かが見えた気がした。

 いつの間にか頭痛は消えていた。

「シィ!」

 ビーが駆け込んできた。

「ビー!」

 ビーが話せるということは、サーファーは近くにいないということだ。

 また何処かに行ったというのか?

 ビーは息を荒くしながら言った。

「波が、引いてる」

「ーーーー!?」


  *   *    *


 ゴウゴウと音を立てて波が引いていた。

 森を出て来たシィとビーは目を見張った。

 砂浜の先は少し落ち込むと更に延々と続いていた。ある程度より先は岩に近いモ

ノになってはいるが、それでもかなりの遠浅だった。目の前に広がる海底。シィも

初めて見る光景だった。

「あのヒトは?」

「……あそこ!」

 その海底だった岩場のかなり先に、微かにロングボードが見えた。サーファーが

抱えて歩いている様だ。

「待って!」

「シィ、これ!」

 走り出そうとしたシィが振り返ると、ビーがシィのサーフボードを咥えて来てい

た。

 この現象はーーやがて大波が来る。今までとは比べ物にならない程の。

「そっか……ビー、なるべく高いところへ逃げて」

「了解」

 森へと向かうビーを見てから、シィはボードを抱えて走り出した。

 海底だった岩は地平線まで続いている様に見えた。どれだけの水量がその向こう

に溜め込まれているのか。そしてそれが一気にやって来る時、シマはどうなってし

まうのだろう。

 だが今、シィはサーファーの行く末の方が気になっていた。

 どうして波に向かう気になったのだろう。あれほど恐れていたのに。そしてこれ

から来る波は今までのそれとは桁が違うというのに。その下に何かが潜んでいるか

もしれないのに。

 それでもシィは何処かで分かる気がしていた。

 そんな自分を、振り払おうとしているのだ。シィが今やろうとしている様に。


 サーファーは、歩いていた。これから来るべき巨大な波に向かって。

 恐れはあるが、それでも今は期待感の方が勝っていた。

 失くした左腕の先が、今ではある様に感じる。

 それは失くして以来、初めての感覚だ。

 あれから、自分はずっとバランスが取れず苦しんでいた。

 自分が自分でなくなっていた。

 そしてこのシマで、あの少女を二度も傷つけた。

 少女は何も言わなかったが、恐らく彼女にも自分の捻れた部分が伝染したのだろ

う。

 だからあの子のウナジの『ファントム』はどす黒い光を放っていたのだ。

 全て、自分のせいだ。

 『ファントム』を失くした位で、自分がこれほど変わるとは思わなかった。

 これは全て、自分の弱さが作り出したものだ。

 サーファーはそれをようやく自覚したのだ。

 先程暴風が吹いた時、微かな予感がした。

 その通りに、それから海水がどんどんと引いていった。まるで全てを白日の下に

晒し、そして押し流すかの様に。

 波が、ーーー自らの恐れが、決着を付けろと自分を呼んでいるのだ。

 サーファーは理解した。

 そうしてサーファーは立ち上がり、自身のロングボードを抱え歩き出したのだっ

た。

 

  *   *    *

 

「待って!」

 走りながらシィは叫んだ。

 地平線の先は既に明るくなりつつあった。

「…………」

 遠くでロングボードを抱えたサーファーが歩きつつこちらを向かずに手を挙げた。

「………?」

 そしてサーファーは背を向けたままシィの方を指差した。

「…………!」

 そこにいろ。

 そこで見ていろ。

 確固たる意思を持って、そう言っている。

 シィはそう受け取った。

「ーーーーー!」

 シィは小走りになり、歩きになり、そして止まった。

 荒い息の中、シィの視線の先ではサーファーが歩き続けている。

 その向こうでは微かに水の壁が現れ始めていた。

「来た……!」

 サーファーは歩みを止めなかった。

 それをシィは遠くから見つめていた。

「…………!」

 その姿は、とても尊いものに見えた。

「……………!?」

 シィは一瞬、その近づいて来る波の中にどす黒く蠢くモノを見た。

「あれは…………!」

 それは波の壁の奥で怪しく光るモヤモヤだった。シィが悪夢の中で観たものと同

じに見えた。

 だがそれが見えている筈のサーファーは全く歩調を乱すこと無く、歩いている。

 覚悟ーーーーそれが形になったものを、シィは見た。

「……!」

 シィはボードを立てて、一瞬でも見逃すまいと前を見据えた。

 キィーーーーン!

 緑色の光が見えた。

「あれはーーー!」

 それはサーファーのウナジーーーちょうどシィの『ファントム』があるのと同じ

様な位置に、『ヒュー』の緑色の光が見えた。

「!?」

 シィは目を凝らした。その驚異的な視力は、そこに新しく現れたモノを確実に捉

えていた。

 それはタトゥーの様な紋章ーーー『ファントム』。

 無くした筈のモノが、サーファーのウナジへと再び出現していた。

「!」

 だが次の瞬間、サーファーの姿は押し寄せる波に吹き飛ばされて見えなくなった。

「あっ!」

 シィは波の壁のあちこちに目をやったが、サーファーの姿は見えなかった。先程

見えたあのモヤモヤも今は視認出来ない。

「…………」

 死んだのだろうか?

 だがーーーー。

 その間にも、巨大な波はシィの方へと向かって来る。

「………フッ!」

 ーーー今は仕方が無い。

 シィはボードを持ったままシマの方へと走り出した。なるべく相対速度差を小さ

くして、波に乗るのだ!背後からゴゴゴと地響きを上げながら巨大な波は迫る。シ

ィはその迫り来る壁の波動を感じながら更にスピードを上げた。

 波は咆哮を上げながらシィへと迫る。

「……今だ!」

 シィはタイミングをつけて跳躍した。

 今までで一番高いそれであったろう。

 シィは空中で身を翻し、そそり立つ海水の壁にボードのテールから見事に着水し

た。

「!!」

 何とかバランスを取り、そこからはノーズを横に向け登山道のように斜めに斜面

を滑り降りる要領だ。

「……うわあ……!」

 シィは目を見張った。自身は滑り降りている筈なのに、一向に下には着かない。

むしろどんどん押し上げられている。

 これがサーフィンか。これが波の力か。これに比べれば人間の力など微々たるも

のだ。

 今更ながら、シィは海の雄大さに敬服した。

「シィ!」

 上方から声がした。

「?!」

 シィが向くと、そこには晴れやかな顔をしたサーファーが自身のロングボードを

駆り波を切っていた。そこに迷いは無かった。巨大な波を、シィよりも速く強くス

ムーズに乗りこなしていた。それは雄々しい姿だった。

「………!」

 シィはその失くした腕に目をやった。確かに無いが、そこには緑色のチラチラが

舞っている様に見えた。

「行くよ!」

 サーファーは勢いをつけてシィをパスしていった。

「あ………」

 シィも何とか後を付いていった。

「………!!」

 サーファーのウナジの『ファントム』は緑色の光を放っている。

 その軌跡にも緑色の光のパーティクルが混じっている様だった。

 そしてーーやがて二人の上方には砕けていく波が巻き込み、水のトンネルを抜け

ていく形になった。

「うわぁ………!」

 チューブ。そう呼ばれる状態だ。

 自分の上下左右を激しく海水が流れていくのに、自分はその中心で波に乗ってい

る。

 その初めての感覚に、シィの胸は高鳴った。

 サーファーは更に勢いをつけてそこを抜け、シィの方を見やった。

「シィは戻れ」

「え!?」

 見れば、既にシマの元の海岸が迫っていた。

 だが二人の位置はその高さよりも遥かに上だ。この巨大な波は何処まで行くのだ

ろうか。

 ビーはちゃんと高台まで行けただろうか?

「じゃあ!」

「あ………」

 サーファーは見事なカットバックターンを見せ、逆方向へと切り返した。

 シィはそれを目で追ったが勿論そんな技術は無いので自身はシマの方へと向かう

しかない。

 サーファーは波を切り返しながら更に沖の方を目指している様だった。

「!!」

 その先に一瞬、モヤッとした何かが海中から現れるのが見えた。

 ザッパーーーーーン!

 波間を突き破って飛び上がったのは、何度もシィが見たことのある巨大なクジラ

だった。

 一瞬クジラはどす黒いモヤモヤを纏っている様にも見えたが、それは空中で身を

翻す間に緑色の光になってチリチリと消えていった。

「……………!」

 あの波に隠れていたどす黒い何かをかき消す為に、あのクジラが現れたのだ。

 シィはそう思った。


  *   *    *


「あうっ!」

 突然足元が揺れた。

 波がシマの陸地部分へと入っていったのだ。地形で波は不規則に形を変える。

 シィは必死でボードを操った。

 既に波に乗っている、というより流されているに近い状態だった。

 巨大な波はシマの森を押し流し、越えていく。

「………?」

 揺れるボードを必死でコントロールしながらシィはチラリと後ろを振り返ったが、

既にクジラもサーファーの姿も無かった。

「…………」

 シィは揺れるボードを操りながらもそっとウナジに触れ、『ファントム』で呼び

かけてみた。

"ねぇ……いる?"

 ーーーー返事は無かった。

 だが微かに何かのイメージが届いたような気がした。

「…………。」

 サーファーは、いなくなった。

 でもーーーー。

 恐らく、海の中ではあの白亜の塔の上の青年ーーー『ヒュー』には、会っている

筈だ。自分はしばらく会えてはいない、あの存在に。

 ……ちょっと、羨ましいかな。

 シィはそっと微笑んでいた。

 そして、久々に現れたあの巨大なクジラ。

 シィはあのクジラも、『ヒュー』が使わした存在ではないかと思う様になってい

た。

「……………」

 シィは、また会えるよね、と呟いていた。

「……うわ!」

 揺れが更に酷くなった。

 下を向くと波は完全に勢いを失い、高い木の先や突き出た岩が次々に目の前に迫

っていた。

「!!」

 シィはアタリを付けてボードから跳んで迫り来る岩に手をかけ、更に蹴って飛ん

だ。

 反動でボードは空に舞い上がった。

 その先でキラリ、と光が見えた。水平線から太陽が顔を出したのだ。いつの間に

か夜は明けていた。

 シィは山頂近くにふわりと着地した。

「………!」

 見るとすぐ下まで迫っていた海水がゴウゴウと音を立てて引いている。

 シィは浜の方を見やった。

 浜は海水で溢れその流れはあちこちで渦を作っていた。

 あの分だとシィの小屋やビーの巣は流されたかもしれない。

「……ビー!」

 ハッとしてシィは辺りを見回した。ビーはあの波から逃れられただろうか?

「生きてるよ」

 頭上から声がした。

 シィが見上げるとビーは本当に山頂の岩の上にチョコンと座っていた。

「ビー!大丈夫だった?」

「何とかね」

 と言いつつビーはびしょ濡れだった。

 実は山の中腹まで来たところで波に飲まれ、流れの中を必死に泳いで頂上にたど

り着いたのだった。

 ビーは動悸を押さえつつシィの方を優しく見下ろした。

「やれやれだね」

「うん、片付けが大変そう」

 そう言いながらも澄んだ表情をしているシィを、ビーは頼もしく思った。

「そう言えばさ……」

「ん?」

 ビーは鼻をヒクヒクとさせながら言った。

「多分、あの人のシマって、あのロングボードだったんだよね」

「あ……」

 シィは目を丸くした。

 だがその仮説は最もなモノに思えた。

「………」

 シィはフッと笑んだ。

「?どうしたの」

 ビーが不思議そうに見た。

 シィは思ったのだ。

 自らのシマと海を渡り、波を探して旅をする。

 それは、何て素敵な生き方であることか。

 ひょっとしたらあのサーファーは波に飲まれたのではなく、ボードと共に別の世

界に行ったのかも知れない。

「………」

 そしてシィは見たのだ。

 『ファントム』が復活することがあるということを。

 シィに初めて現れた時もああいう形だったのだろうか。

 また『ファントム』の新たな一面が現れた。

 まだまだ、知らないことは沢山あるーーー。

 でも、今はそれでもいい。

 いつか、辿り着ければ。

 そう思った。

 風はいつもの緩やかなものに戻っていた。

 シィの肩までの黒髪がゆるやかになびく。

 その緑色の瞳は遠くを見つめていた。

 海水は既にいつもの位置まで引いている。まだあちこちで渦を巻いたりはしてい

るものの、また穏やかな海が戻って来ることは想像出来た。

「ふぅ………」

 シィは朝日を浴びながらユックリと目を閉じた。

 ビーはその表情をとてもキレイだなと思った。


                          (   終   )



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