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神楽、初めての料理



俺は暗殺者の物を換金し、神楽のお土産に鍵をモチーフにしたお洒落なペンダントを買った。


神楽が危険な目にあっている時、いつでも俺がいれるわけではないので、俺はそのペンダントに保険をかける事にした。


それに"どこでもドア"の概念を付属させ、一度のみ好きな場所に行く事ができる。

というもので、万が一神楽が危険な目にあってもこれで即逃げる事ができる。



保険もかけたので、俺は検索(サーチ)により、神楽の現在地を探し、そこに向かった。












††††††††††††



氷夜が去った後、その空き地には髪の蒼い美女が佇んでいた。


「何て美味しいのかしら。」


そこにある筈の死体は消え去り、代わりに満足そうな彼女の笑顔があった。


「絶対に魔王になってもらうわ。

私のためにもね。」












††††††††††††


「ただいま。」


言葉通り、氷夜は夕飯前に借り屋に着いた。


「時間通りだな。

部屋の割り振りやら、家の説明なんかは後にして、とりあえず夕飯にしよう。」


私が作った料理は……………おにぎりだった。


「…悪かったな、それしかできないんだ、私は。」


そう、私はこれでも姫だから、王宮の生活では誰かが食事は作ってくれたし、ここにいる時も、ご飯はカリスのとこで頂いたり、街の定食屋で食べていたので、料理をした事がなかったのである。


「あ〜、まだ時間あるし、一緒に何か作るか?」


くっ、男の氷夜に教わるのもしゃくだが、料理はできた方がいいと思い、私は氷夜に料理を教わる事にした。






「うん、いい感じ。

神楽はやればできるんだから、このまま続けていけばすぐに上達するよ。」


氷夜の教え方は親切で、分かりやすかった。

褒めて伸ばすタイプらしく私はさっきから褒められっぱなしだ。

もちろん、褒められる事に嫌な気はせず、むしろやる気が湧いてくる。


「いたっ!」


だが、少し調子に乗ってしまったのか、誤って包丁で指を切ってしまった。


「見せて。

ちょっと傷が深いな。」


次の瞬間、氷夜は私の指をくわえた。


「氷夜、待て、早まるな!!」


私の抵抗も虚しく、氷夜に腕をつかまれ、指を氷夜の口内で舐められる。


氷夜はこういう事も絵になるな…

私は心配そうに私の指をくわえる氷夜にいつしか見とれてしまっていた。

こういう時、容姿がいいとは得だと思う。


気がつくと、私の指に痛みは無くなっていた。


「氷夜、もう大丈夫だ。」


しかし、それで止めてくれる氷夜じゃない。


氷夜は一瞬いつもの意地悪な顔になり、舐め方が明らかに治療のそれではなくなっていた。


……氷夜、なんかエロいぞ!!


その色気ただよう所行に、少し興奮してしまっている私は氷夜の思う壺なのだろうが、今の氷夜相手ではしょうがないと思う。


「ふぅ〜。」


やっと開放された私は茹だっていた。


「氷夜には、唾以外の治療法は思いつかないのか!?」


「うん。」


いつものように即答だ。



「それに治ったでしょ?」


確かに、私の指は治っていた。


「氷夜、治ってからもしばらく舐め続けたよな?」


おそらく、痛みが無くなった時には既に傷は治っていた。


「ソンナコトハナイヨ?」


物凄くカタコトだった。


「もういいよ、取りあえず料理をを終わらせちゃおう。」


私は氷夜のこういう事に、もう慣れてしまい茹だっても、すぐに持ち直せるようになっていた。



「「頂きます。」」


自分で作ったとは思えないほど美味しかった。

いや、もちろん氷夜に手伝って貰ったのだが。

しかし、それを差し引いてもこの美味しさには驚きである。


「うん神楽、美味しいよ。」


氷夜のお墨付きも貰えたことだし、これからは自炊もしようかな?











「神楽、渡したい物があるんだ。」


食後、氷夜はそんな事を言ってきた。


「なに?」


「はい、これ。お土産。」


それは鍵をモチーフにしたお洒落なペンダントだった。


「………氷夜、万引きは犯罪だよ?」


氷夜はお金を持ってない筈だ。


「違うよ、ちょっと持ち物を換金して買っただけだから。」


「そ、そうか。」


どうにも照る臭くて、素直に受け取れなかった。


が、氷夜は何を勘違いしたのか、ペンダントを私に付けてきた。


「似合ってるよ、神楽。

あと、それに少しおまじないをかけといたから。

強く祈れば、好きな場所に一回限りだけ行くことがてきる。

危ないと思うような事があれば、それで逃げてくれ。」


「……ありがとう。」


少し俯きぎみだったが、しっかり言えた。


「じ、じゃあ、家の案内をしちゃおうか。」


私は気恥ずかしいのを誤魔化すように、そう言いった。


「そうだね、神楽の部屋を確かめなきゃ。」


「なんで真っ先に私の部屋なんだ!?」


こうは言っているが、氷夜は私を襲ったりはしない。私が本当に嫌がる事は絶対にしないのだ。











その後、家の案内をして一日が終わった。

ちなみに私の部屋には入れなかった。

戻ってきたばかりで散らかっているので、そんな物を見せたくはない。









「今日はなんだか騒がしくないか?」


私達は今、家の食料を昨日の料理に全て使ってしまったので、街の定食屋にいるのだが、氷夜の言う通り街が騒がしい。


「あぁ〜、そう言えばゼウス殿が円に訪問されるのが今日だったな。」



「神が来るのか。

……何かあるな。」


「何かって?」


「いや、気にするな。

それよりも神楽は王宮に戻らなくてもいいのか?」


話を誤魔化された感はあるが、それ以上追求しようとは思わない。

誰にだって言いたく無いことはあるもんな。


「それは大丈夫だ。

私がいなくても、何も問題ない。」


氷夜はそれを聞いて安心したようだ。


そして、私達は氷夜のに比べれば劣るが、それでも充分に美味しい朝食を食べ、お祭り騒ぎの街を二人で楽しむことにした。












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