出会い
「ここはどこだ?」
俺、氷夜は何故自分がこんな森の中で倒れているのか思い出せずにいた。
「たしか、白夜とマゼリナに呼ばれたんだったよな…
で、白夜が泣きそうな顔をしてて…」
『ごめん、死んでくれ。兄さん。』
瞬間、俺は何があったのか思い出した。
泣きそうな顔の白夜とマゼリナを見て全てを悟った俺は…
「死んだのか。」
いや、死んでいたらここには居ない筈である。
「そういや、死ねないんだったな、俺。
って事は戻ったのか。」
俺はとある事情で死ねない体なのだ。
しかし、今回は体が全消した為、戻るのに数年はかかった筈だ。
「で、ここは日本か?それとも「あっち」か?」
確認しようにも、周りには木しかなく、確認のしようが無かった。
「周りは木だけ…、いや何かが近付いてきてるな。」
大きな殺気がこちらに近づいていた。
が、氷夜は殆ど回復できておらず、能力はおろか体を動かす事もままならない。
「それでも立たなきゃ死ぬよな〜。」
何かを諦めたように氷夜が立つのと同時に現れたのは体長五メートルほどもある白い化け猪だった。
「あっち側の世界なわけね。」
日本にこんな馬鹿でかい猪はいない。という事はここはあちら側の世界なのだろう。
「「£%#&¢$」」
人外の言葉を叫び突進してくる化け猪。
それを避け、渾身の力で化け猪の頭に蹴りを叩きつける。
しかし、弱り切っている氷夜の蹴りは化け猪の命を削り切ることができなかった。
「$¢&#%!!」
奇声を発してよろける化け猪を横目に雹也は高く跳躍し、能力を強制発動した。
「に…ひゃく……ばい」
戻ってそうそうの無茶な肉体酷使、能力の強制発動によって氷夜は限界だった。
薄れゆく意識の中、二百倍になった自らの足を化け猪の頭に振り落とした。
†††††††††††††††
俺と白夜は同い年の兄弟で六歳までは施設で育った。
そこには俺たちの他にもたくさんの子供がいて、何一つ不自由なく、大切に育てられた。
しかし、それは殆どの者にとって最後の幸せであり、施設の人にとっては彼らへの罪滅ぼしだった。
俺達が六歳になった年の冬世界中から集められた三万人の子供は二人を除いて跡形もなく消え去った。
††††††††††††
俺は暗闇の中を漂っていた。
「また死んだのか?」
いや、そうでも無いらしい。段々と体の感覚を取り戻していくと同時に周囲の情報が入ってくる。
どうやら俺はベッドに横になっているようだ。
体も足を除いて殆回復している。
「やっぱり、病み上がりには厳しかったな。」
案の定、化け猪を蹴り飛ばした足は骨から筋肉、筋に至るまで目も当てられない状況だった。
「一度、分解しなきゃ駄目だな。」
足の分子間の引力を解除し、元通りに再構成する。
しっかりと動く事を確認したら、次は何故ベッドで寝ていたのか考える。
「十中八九、誰かに助けられたんだな。」
既にこの小屋の構造を能力を使い把握していた雹也は物の配置などから自分を助けてくれたのは一人の女性だと見当をつけていた。
しかし、今はここにはいないらしい。
「腹も減ったし、朝飯でも作って待ってるか。
御礼もしなきゃだしな。」
氷夜は朝ご飯を作り出した。