008.用量・用法をよく読み、正しくお使い下さい。
王様が壊れました。
大きな笑い声が部屋に響いています。それも、何もない壁の方を向きながら。しかし、王様の背中は「怒り」のオーラを隠しきれていなくて、余計恐ろしい。
とりあえず、今までとまた別の意味で身の危険を感じるので、夢よ お願いだから覚めさせてくれ。
王様が壁を見ながら笑っているのを良い事に、私はソファから離れ 部屋を脱出するべく壁にそってこっそり移動する。変態と狂人は紙一重だと、私はこの夢で学んだ。えぇ、とても学べる事が多い夢でございました。ご馳走様です、ってことで早く覚めろや夢。
バンッッッ!!!!!
はい、この音。「王様どうなさいましたか~」とかで、兵士や侍女さんが入ってきた音なら どんなに良かったか。
じゃぁ、良い子の皆に問題!今の音は何だったのでしょうか?
ヒント1:私は壁に張り付いています。
ヒント2:私は今動けません。
ヒント3:先程まで向こうにいた王様が目の前にいます。
そうだね、答えは王様にまた腕を拘束されて、思いっきり壁に貼り付けにされた時に出た、私の腕と壁がぶつかる音だね。つまるところ、乙女の夢という壁ドンだね!大変よくできました!先生、嬉しくて涙出てきちゃうよ。嘘です、腕がすげぇ痛くて涙が浮かんできました。
「どこに行くつもりだ?」
大きな手で、私の腕を掴み もう片方の手を壁につけながら王様はにっこりと笑い、私に問いかけてきた。本当に、シミ一つない綺麗な顔しやがって。ファンデーションとか化粧品のCMに王様が出てたら、その商品バカ売れ間違いないな。私も手に入れたいぜ、Notシミ Yes潤い!
「どこに行くつもりだったのかと聞いている。」
イテ、イデデデデ!!!王様が私の腕を掴む力を強くした。可愛く首を傾げながら尋ねても、痛いわアホッ!!!
現実逃避をしていた私を、王様の言葉と行動が現実に戻す。
「お…おトイレに…」
その場から抜け出す際の一言エチケットだよね!空気を壊さず、さり気なく消える事ができます、どろん。日本人は本当に空気が読めて、まるで忍者のようですわ。ジャパニーズ、ニンジャ!
「ほぅ…トイレは、反対方向だが?」
どろん失敗。オラとした事が、やっちまったぜ☆
どうやら、トイレは部屋に完備されており ドアとは反対に位置するらしい。このブルジョアめ。
「…、他の男の所に行くのか…?」
トイレ以外の言い訳を考えていた私は、王様が呟いた言葉を聞き逃してしまった。病んでるイケメンの顔を見てもイケメンなので、とりあえず直視しないように下の絨毯を見たのも仇となった。
この時、王様から見ると自分の質問に頷いたように見えていた。
ぎりぎりぎりぎりっっ!!!腕を締めつける力は強くなる一方で、我慢強いねって幼稚園の時に転んでも泣かずに褒められた私も、限界である。
「痛っっいです!王様!!!」
王様を直視しないように、目を細めながら言ったら 溜まっていた涙がポロリと零れ落ちた。女の涙は狂人+変態にも効果があったらしい。
王様の力が緩んだ瞬間を見逃さず、私は腕を引き抜いて。自分の膝を思いっきり、王様の大事な息子さんに目掛けて打ち込んだ。パオ-ン。
これでも、痴漢対処法は嗜む程度には、知っておりますのよ。まぁ、逆上する可能性も大きいのが、この対処法の欠点なので 世の中の女の子は用量・用法をよく読み正しくお使い下さい。
読んで下さった皆様に感謝でぅ(ノ)´ω`(ヾ)