007.死ねばいいと思うよ☆
王様の腕は細そうなのは見掛けだけで、意外とがっしりしていた。今流行りの細マッチョってやつか。いいよね細マッチョ、女の子にしてみたら好評価ポイントだろう。しかし、そんな好評価も使用用途によっては地に落ちてしまう。というか、女の子を拘束するために使うヤツなんて 地【獄】に落ちてしまえ。
掴まれて動かない自分の腕を睨みながら考える。この状況が打破できる神の一手を。 あ、こらこら、股の間に体を入れてくるな。鼻息を首にふきかけるな。
いちいち、静かに脳内でツッコミしていたら 抵抗しないのを肯定だと勘違いしたのか、変態は服の下にまで手を入れてこようとした。うん、死ねばいいと思うよ。
「や~め~て~く~ださい~~~!!!」
全力でいやいや、と顔を振り 足をバタつかせても「…可愛い」の一言でスル―されてしまう。ダメだ、何してもコイツには効く気がしない。変態に効く薬を知っている人はいねぇか~~。
「黒い髪に黒い目、何よりもこの高揚感。間違いない、俺の獣人。やっとお前を手に入れることが出来る…。」
私の首元に顔を埋めながら、切なげに呟く。
…が、私にはストーカー並みの勘違いと片思いの塊の言葉のように聞こえる。こわいよーママー。
白けた目…、否 軽蔑した目で見ていた私と、何かに取り憑かれたような熱い王様の目線が合う。
「…、 お前もこの高揚を感じるだろう?」
「感じません。」
王様の質問に即答で返す。人に腕を拘束されて、ハァハァする趣味はありません。しかし、その会話のやり取りで空気が少し変わったのを感じた。
「 私を見て、 …何も感じないというのか?」
「えぇ、(変態だと思う以外に)特には。」
あ、私の胸を揉んでいた手が止まった。 王様は驚愕している様子で、「そんな…」「いや、しかし....」など、呟きながら ふらふら と、覆いかぶさっていた私の上から退いた。拘束されていた腕が赤くなっている。危ない趣味のある子のようなので、早く跡が消えることを願う。
「何故だ… まさか、お前。」
先程まで真っ青な顔でふらふらしていた王様が いきなり、鬼の形相でこちらを見てきた。熱っぽく発情したり、青くなったり、怒ったり、忙しい人だ。
「汚れを犯したのではなかろうな…!?」
汚れ?一応、泥ならお風呂で流したけど?まだ臭うかしら。
イマイチ、分かっていない様子の私に、王様が違う言い方をしてきた。
「異性と禁を犯したのか!!?」
ようするに、やっちゃったのか と聞きたいんですかね、この変態は。一応、私18歳以上ですし、3年間も付き合った彼氏がいましたし。やってない方が難しいと思うのですけれど。まぁ、初めてを捧げた彼氏には振られちゃいましたけどねーーー!!!
「まぁ、はい。そうなりますね。」
私が素直に認めた瞬間、王様は壊れた。
読んで下さり、ありがとうございます\(^o^)/