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005.これって、あり?


 イケメン王様に、キスされる夢をみる。これって あり?


数時間前の私なら、あり!と全力で答えられただろう。でも今なら、なしって言う。こんなリアルなのは嫌です、はい。寝る前にジャ●ーズに抱かれたいなんて思ってごめんなさい、生きててごめんなさい!!!


 と、イカツイ兄ちゃんに連行されながら思っているわけです。ヤンデレルートに入りそうだ。あ、でもデレがない。ついでにオチもない。


 そりゃぁ、いくら夢でもバニーガールでも、王様を殴るのはダメだろう、自分。バニーガールは関係ないか。ははっ。…現実逃避のスキルレベルが上がっている気がする。そもそも夢なのに、なぜこんな事になってしまっているのか。もっと夢をコントロール出来ぬのか、お前様(脳みそ様)よ。


 私が見事なネコパンチならぬ、バニーパンチをくらわせた後も変態…間違えた、王様は抱きついてきた。「愛してる」と囁きながら。生まれてから初めて、変態の底力を目撃した気がする。変態 怖ぇぇ!



 ちなみに、王様は恐い顔した頭の良さそうなイケメンたちに逮捕されていった。後から知ったが、彼らは王様の補佐の方たちで王様は仕事中に脱走していたらしい。変態の補佐とか、大変だな…。

 


 とりあえず、私は変態と離れられて嬉しいのだが、今からどんな罰が下されるのかを考えると、武者震いがするぜ!!おら、わくわくすっぞ!…嘘です、ただの恐怖です。恐怖しかないです。こんな状況楽しめるのは少年漫画のイカれた主人公か、ゲームの世界くらいです。



 イカツイ兄ちゃんは最初の「おr…私に付いてきてください」から一言も話さずに、黙々とお城の長い廊下を歩いている。私もその後ろを黙々とついて行っているのだが、先程チラリと窓にうつった自分の姿は まさに連行されている犯人に見えた。耳も尻尾もこれでもか!という程に垂れていて、そろそろポロリと とれそうだ。

 もしも、尻尾や耳がとれたら 燃やしてオーストラリアの海にばら撒いてほしい。『助けてください!!!』異世界の中心で助けを叫ぶ。あぁ、笑えない。



 って、目の前に大きな壁が… 壁が!!?


   「グェッ。」



 大きな壁はイカツイ兄ちゃんの背中でした。立ち止まったのに気がつかず、その背中に鼻から突っ込んだ私は、蛙がつぶれたような声が出た。

 

 女子力?なにそれ、美味しいの。



 分かったから、そんな憐れみを含んだ目で私を見るなイカツイ兄ちゃん。


「突然立ち止まり、失礼いたしました。ここが、獣人様のお部屋でございます。」


どうやら、私はとりあえずココで死刑執行を待つらしい。


 「ありがとうごじゃぃます。」


あ、久しぶりに喋ったから かんじゃったよ。

恥ずかしくて照れる私の前には、イカツイ兄ちゃんが眉間にシワ寄せている。


「お召し物が汚れていらっしゃいますので、あとで侍女をお呼びいたします。」


 完全たるスルーをありがとうございます。


「でも自分で着替えるので、侍女さんは大丈夫です。洋服だけ貸していただけたら…」


 死刑囚の服に着替えろということですよね。



「では、お部屋のクローゼットにある洋服の中から、お好きなものを…」

「え、はい」


今どきの異世界の死刑囚は、囚人服を自分でセレクト出来るんですね。オシャンティーさんだ。


 ちなみに皆様、お忘れかもしれませんが。私、寝ている時に見る夢だからか、寝た時のままのウェットにTシャツという格好なんです。バニーガールとかファンシーなのに、そこだけ現実的。それも茂みに隠れたから、葉っぱとか泥とか付着してて汚い。


 王様はこの格好の私を、よく抱きしめる事が出来たなぁ…。としみじみ思う。むしろ、なぜ抱きついたのか。あのイケメンなら多少変態でも、女性なんか選り取りみどりだろうに。



ガチャッとドアノブを回して案内された部屋に入る。扉をぬけたら、そこはピンクでした。雪国の方がまだ、ましだと思う。

 

 ピンクを主とした家具で整えられたこの部屋は、フリフリのレースがふんだんに使われ、かなり乙女チック☆ってかなんでロリータちゃん風の部屋!?はっきり言って、ピンク過ぎて一般peopleの私にはイタイ。目が、目がぁぁぁ!!



  死刑囚の待合室はピンク一色のフリフリ。これってあり? 



お気に入り、評価本当にありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいでう(つω`*)

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