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004.変態、ダメ、絶対。

 

 穴。  

穴は何処ですか!!!?


 私、古瀬ゆあ ピチピチの19歳は「穴があったら入りたい」という言葉を痛感している。この言葉を思いついた人と親友になれそうな気までする。


 私もそうだと思うが、目の前のイカツイ兄ちゃんは顔を真っ赤にして止まっている。ってか、この状況ピンチじゃなーい?乙女の危機フラグたってますよ。強姦、ダメ、絶対!!

 色々と身の危険を感じたのか、私の耳も尻尾も垂れている。あ、耳はもともと垂れてたかー!ははっ(ネズミーランド風の笑い方)



 脳みそはフル回転中だが、実際にどう行動すれば良いのか分からずに、お互いフリーズ。最初に行動を起こしたのは、イカツイ兄ちゃんの方だった。



  「じゅ・・・・」 


 私の方を見ながら、何かを言おうとしている。


 …じゅ?ジュ・テーム?え、そしたらヤバくね?私絶対犯されるに1票。とりあえず片足を立てて何時でも走れる用意はしておく、冷静な自分がいる。


 

 「獣人様!!お許しください!!!!」



 ガバッと音が出そうな勢いでひざまずくイカツイ兄ちゃん。庭でバニーガールもどきにイカツイ兄ちゃんが跪いてる姿…傍から見たらシュールだ。というか、私が悪女っぽい。



 「私の方が今、許してほしいくらいですよ!」


 先程のことを思い出し、泣きそうになる。ついつい思考に没頭していた私は、こんな大きな耳をつけているのに物音一つにも気付かず、このイカツイ兄ちゃんに尻尾を触られた。


 別に減るもんじゃないから良い…が、結果としては限りなく良くない。


 目茶苦茶 変な声をあげてしまったのだ。それもR指定系の。真っ赤な顔をしていたから、イカツイ兄ちゃんも気付いただろう。あぁぁあ、穴はまだなの、セバスチャン!!!



 お互い泣きそうな顔をして、困っているバニーガールもどきと、トラックの運転でもしてそうなイカツイ兄ちゃんが見つめあっていると、イカツイ兄ちゃんの後ろからものすごい美形が現れた。

 サラサラの金髪が風になびいており、目は二重でややつり目でまつ毛バサバサ。鼻もスッと通っており、体全体も引き締まって長身。183cmはあるとみた。色も白く、赤いマントを羽織っている姿は、おとぎ話の王子様のようだ。




 戦いますか?

はい・いいえ



 もちのろん、「いいえ」を連打である。チキンな女子大生にはキツイっす。むりっす。パネェっす。いきなりのラスボス出現のクソゲーかよっっ


私が後ろの方を見て、目を大きく開けて間抜けヅラを披露しているので、イカツイ兄ちゃんも異変に気付き後ろを振り返る。


  

  「お、王様!!!」



 OUSAMA…、だと?イカツイ兄ちゃんは、顔が地面にめり込むのでは?と思う勢いで頭を下げる。


やっべ、出遅れた。と思いつつも、イカツイ兄ちゃんと同じような態勢をしようと跪くために、いつでも逃げる準備をしていた格好を崩して膝をおる。バニーちゃんでも、夢の世界でも、郷に入っては郷に従えである。ましてや、この美形が王様ならば、無礼者~!って首を飛ばされるかもしれない。

 失恋後の夢で自分死ぬとか、悲し過ぎる。まじ勘弁。


 しかし、私はイカツイ兄ちゃんと同じ姿勢をとれなかった。何故なら、王様に抱きつかれたからである。だから、セクハラ、ダメ、絶対!!!イケメンだからって何しても許されるとか思うなよ!!


 一方的に抱きしめられ、跳ね返そうにも王様という立場を考えると行動が起こせない。悲しいかな、はっきりNOとは言えない典型的な日本人なのだ。心ではNOと叫びまくっているが、現実の口とはリンクしていないので、悪しからず。私はただ「ぐぬぅ」と可愛くない呻き声を出しながら、行き場のない手を動かすしかない。



 ってか、今気付いたけど尻尾も耳もピーンと立っている。なにこれ、私の感情に反応するの?プライバシーとか関係ない上に、感情ダダ漏れやん。とか現実逃避なのか、違う所を冷静に観察し始める私の思考回路。


 


    「…会いたかった。」



 美形な王様に抱きしめられながら、色っぽく耳元で囁かれる私。私も会いたかった~Yes!!なんて答えられるはずもなく、耳が孕みそうです。


 一息つくと、王様は私を抱きしめていた腕を緩めた。あ、そういえばイカツイ兄ちゃん、蚊帳の外だな、可哀想に。あまりの現実味がない展開に、私の意識は散漫だ。あえて、モブキャラ化しているイカツイ兄ちゃんに意識を向ける事で、冷静になろうと精神が仕事をしている。


しかし、視界に入っている現実を無視出来ないわけで。


 美形は、近くでみても美形でした。近い、近い、近い、と思いつつも至近距離で美形に見つめられる私。緊張と興奮で、鼻の穴が広がりそうだ。


 意識したら最後、私は鼻血を撒き散らして倒れると容易に想像できるため、常に萎える事を考えている、私の可愛い脳みそ。しかし、この欠点は 現実に起こっている事の対応に遅れることである。



 近いと思っていた美形の顔が、さらに近くなり 私の唇を奪っていたのに気付いた私は



 「変態死ねーーーーーーー!!!」



と、叫んで美形を思いっきり殴っていた。 それもグーで。


むしゃくしゃしてやった。今は反省している。




読んでくださった皆さんに感謝です!ありがとうございます*.

((ノェ`*)っ))タシタシ

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