表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

010.このメス豚めっ!!


 皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?私は元気に監禁生活を送って……いるわけないでしょ、おバカさん☆監禁されて不愉快に感じないほど、図太くない。

この部屋に監禁されてから2週間経ち、顔の怪我も内出血していた所が青から黄色になり、良く見ると腫れてるなというレベルまで治ってきた。ちなみにこの2週間、寝ても覚めてもこの世界にいるので、さすがにこれが夢じゃないと気付いた。認めたくなかったけど。


 監禁生活はご飯は3食出るし、お風呂もベッドも用意してあるし、一応ご飯の用意や洗濯物を取りに侍女さんが来てくれる。生活は保障されていて、何もしないで過ごす日々は贅沢でもある。しかし、現代っ子の私には、分かるかな?この生活は暇すぎるのだ!!やることなくて寝すぎたせいで、私のお肌はココに来た時よりもツルツルだ。


 最近の私の悩みは、寝すぎて頭痛がすること。あぁ、慣れない大学生活や人間関係・課題で疲れがたまっていた時の私ならば、羨ましすぎる悩みだろう。この生活で平均13時間睡眠の私だが、不眠症にならなくてすんだのは、机の上にあった本のおかげである。本の内容が難し過ぎて読むと3秒で寝れるという、のび●君並みの寝る速さを身につけたのだ。おかげで毎回同じぎょうから本は進んでいないが。


 


        コンコンッ


 扉をノックし、部屋に入ってきて静かに礼をする彼女は、監禁生活での私の身の回りの世話をしてくれる侍女さんである。年齢は私よりも幼い14歳前後で、なんと目も髪も青みがかかった紫色である。目は大きく、物腰や数少ない会話からも知的さを感じる。鼻の上にあるそばかすが、キュートな子だ。



「獣人様、もう少しお食べになられないと…。」


 

 テーブルの上に残してあるご飯を見て、侍女さんがため息をつく。あぁぁご飯を無駄にしてごめんなさい。別に、この世界のご飯がマズイわけではない。しいて言うならば、量が多いのだ。それも監禁生活の私は基本寝るなどしかしていないため、そんなにお腹が減らない。ご飯が勿体ないので量を減らしてほしいと言ったのだが、この世界の人は胃袋が大きいのか、逆にもっと食べろと怒られてしまった。



 「そんなに食べてたらブタになっちゃうよ…」



ただでさえ、耳と尻尾ついてんだからさ。体型ぐらいは人間らしさを意地したいものだ。



 「…?それと、用意してほしいと頼まれていたモノをお持ちいたしました。」



 どうやら、おデブ=ブタという考えがないらしい。じゃぁ、お黙り!このメス豚め!!とか言っても怒られないのかなぁ…。言う機会は無そうだけど。

 私が頼んでいたモノが、片づけられたテーブルの上に置かれる。そう、私が頼んだもの それは、もっこもこ のパジャマである。


 この世界は砂漠のように、昼間と夜間の温度差が激しい。そのため、私が昼間に着ている短パンやノースリーブなどでは、夜は寒すぎるのだ。

 ということで!暖房器具に囲まれて冬を過ごした私には耐えきるわけもなくて、もっこもこのパジャマを頼んだのだ。耳と尻尾が何故か生えている私が、このもこもこパジャマを着ると他の人から見たら、本当の動物に見えることだろう。どうしよう、獣人じゃなくて獣って言われるようになったら…。



 ササッと用事を済ませて、侍女が出ていく。その後ろ姿を見ながら、もうそろそろ限界だなぁ なんて思ったり。監禁2週間に耐えたのも褒めて欲しいぐらいだ。

 私は、昔からこの世界を夢に見てきた。それも、最近こそ城の人に追いかけられて捕まったりしているけど、昔は空気のような存在で城や町をよく探検してきたのだ。今こそ、その知識を活用するべきだよねー。


 

 侍女さんが来る時間は規則正しく、特に夜から朝にかけては一度も巡回には来ない。脱走するならこの時間帯だろう。暗いから人目にもつきにくい利点つき。


 問題の脱走経路は、もちろん窓である。屋根を辿れば地面に着くと思われる。城の部屋数も多いから窓につかまりながら移動したり、カーテンが閉ってるからバルコニーで一休みも出来るだろう。



 もっこもこのパジャマが届いたことだし、今夜 脱走することに決めた。久しぶりに何かを行うことへの興奮でお腹が痛くなってきた。ヤバいヤバい、下痢で決行が延期とかダサすぎる。







     「…ふぐっ。」



 夜になり脱走を行った私だが…出だしからつまずくとは、予想外だ。原因は下痢ではなくて、窓の開く幅がせまかったこと。そのせいで私のお尻がはさまっているのだが、私が太ったからではなく もこもこのパジャマのせいだと言い訳をしておく。

 

 こ、こんな所で…負けられるかぁぁぁ!!! ファイトー!!!イッパーツ!!!



        ビリビリッッ!!!



 すっぽん!っとお尻が抜けてマヌケな姿から逃れた私だが、すごく嫌な音が聞こえた。気のせいだと思いたいけれど、お尻のあたりがスースーしていて私に現実だと教えてくれる。まぁ、成功に失敗はつきものだ。



  

読んでいただき、ありがとうございます*.

_/\○_【感謝状】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ