表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
罰ゲームで黒髪清楚な高嶺の花に告白した僕は、百合だったカノジョに女装させられて秘密の関係になった。  作者: きたみ詩亜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/43

⑤ 同性愛の仮定。ノットイコールな命題。『あなたが男性を好きなら、一番仲のいい航汰くんが恋愛対象になるのかしら?』

 和奏と僕の秘密のお付き合いがスタートし、はじめて迎える週末の土曜日。

 数日前に彼女からレインで、デートの誘いをうけていた。

 デートのお迎え&僕の着替え(女装)のため、和奏の住むタワーマンションへと再び赴く。

 エントランスで和奏の部屋番号を呼び出し、ロックを解除してもらって、彼女の部屋にあがる。


「お邪魔します……」

「いらっしゃい、優」


 僕の訪問に扉を開けた和奏。

 上はディープグリーンのセーターに、下は淡いブルーのスウェットパンツという、ラフな私服姿だった。


「溝ヶ淵からだと、ここまで結構かかったんじゃないかしら?」

「30分くらいだから大丈夫だよ」


 彼女には先日、自宅住所を伝えていた。

 しかし、和奏とデートできるなら、1時間や2時間くらいかかっても、苦にならないだろう。

 

 玄関で靴を脱ぎ、出されたスリッパに履き替える。凛との会話どおり、両親は不在のようだ。


「和奏は今ひとり暮らし中なの?」

「そうよ。お父さんが海外赴任中で、お母さんもそれについて行っちゃって。

 たまに鍵かけ忘れそうになるから、防犯面ではオートロックにしたいのだけど……」


 亜桜家の家庭内事情を聞かされながら、奥にあるリビングへ入った。


「ソファにでも座って、ゆっくりしててね」


 大型テレビの前に、4人くらいはラクに座れる大きなソファが置かれている。

 遠慮するのも悪いかとソファに腰掛けた。


「飲み物持ってくるわ。紅茶でいいかしら?」

「うん、ありがとう」


 キッチンに立つ和奏を見ると、ペットボトルなどの紅茶ではなく、きちんと茶茶から淹れはじめた。

 しばらくしてカップを2つ手にし、戻ってくる。


「どうぞ」

「いただきます」


 ひとくちすする。

 ……おいしい。

 思わず、自分の口元が、ふっと綻ぶ。


「……お口にあったかしら?」

「すごくおいしいよ」


 しばらく無言の時が流れる。

 そこへ和奏がふと漏らす。


「——あなたが、女装してもいいって言ってくれて、本当によかったわ……」

「……あのさ、和奏って女の子が好きなんだよね?

 だったら本当は、僕よりも、凛のほうがよかった……?

 たぶん彼女なら、和奏のこと嫌わないと思うし、もし一番仲のいい凛と付き合えたら、女装とか気にしなくていいんだよね……?」


 和奏の言葉に対し、言いたくないことが、勝手に口をついた。


「……たしか、優って、メガネかけてて成績が学年1位の男の子と、仲良かったわよね……?」

「航汰のこと……?」

「……そう。航汰くん。

 もし、あなたが男性を好きなら、一番仲のいい航汰くんが恋愛対象になるのかしら……?」

「え、うーーーん……」


 ——自分が同性愛者だと仮定する。


 これまでの人生で関わってきた、自分が親しくしていた男の子や、年上の男性の顔を思い浮かべていく。


 小学3年までクラスが一緒で、今は遠くに行った引っ越した同い年の男の子、

 近所に住んでいた大学生のお兄さん、

 20代の若い男性担任……。


 ——なかでも、小学校で同じクラスだった男の子には、異性へのドキドキに似た、恋慕のような感覚もあったように思う。


 顔立ちは、なぜかうまく思い出せない。

 しかし、あの子との間には、墓場まで持っていきたい大事な『秘密』まである……。


 しかし……、翻って、航汰と付き合った想像をしてみる。



   航汰と手を繋いでの下校。

   休日のラブラブなデート。

   人目を盗んでの、キ、キス……、


    ——ホテルでなかよくエッチ…………ッ?!



(……うぐっ、

 航汰とはいくら仲が良いとはいえ、辛い想像だ……)


 ——やはり、恋愛対象にはならない、と思う……。


「……でしょう? 恋愛としての好きと、親友として好き、は違うのよ」

「まあ、たしかにそうかも……」

「あたしにとってはね、凛は仲のいい女友達なの。恋愛感情はそこにはない。

 ……だいたい、凛だって、あたしに告白されたら困るでしょう? あっという間に、今の距離感ではいられなくなるわ」


 和奏が目を伏せ、紅茶をひとくち飲んだ。


◆◆◆◆


「今日はあたしも着替えようかしら」


 クローゼットから女子制服一式が入った袋を取り出し、以前に僕が着たものと同じ種類のブレザーを広げた。


「そう言えばこの制服って、和奏が中学生だった時の物なの?」


 うちの学校の制服は黒のセーラー服であり、スカートもデザインが全然違う。


「あら。これ、なりきり制服っていうのよ。校章も入ってないし、休日に制服デートしたりするために着るものなの」


 大学生や社会人で制服を着る人たちは、こういうのを利用しているのかもしれない。


「それにしても、なんでこんなに色々持ってるの……?」

 

 スタイルのいい和奏には必要のないパッド入りのブラや、ウィッグ、なりきり制服や、清楚な雰囲気の彼女には少しかわいすぎる洋服。ちょっと大人な服の数々……。


「……さあ、着替えはじめましょ」


 僕の質問には答えず、和奏が音頭をとった。


◆◆◆◆


 先日よりはサクサクと進む着替え。

 ブラウスとスカートを身に着け、ボブカットのウィッグを着けたあと、化粧台の前で和奏にメイクを施してもらう。


 ——ピンクのリップだけは、和奏にお願いして、再び自分で塗った。まだドキドキするけど……。


「ねぇ、そのリップ、優にあげるわ。その子も優に使ってほしがってるみたいだから」


 和奏からピンクのリップをいただいてしまった。


(ホントに僕、女の子になっちゃったみたいだな……)


 手のひらの上のリップを見て思った。


 前回と比べると早く着替えが済んだが、時計を見ると、やはり1時間くらいはかかってしまった。

 和奏が、鏡の前に座る、綺麗に変身した僕の顔を見つめる。


「やっぱり、かわいいわぁ………♡♡」


 抱きつき、頬ずりしてくる。

 和奏の巨乳が、僕のパッド入りの胸越しに当たっている。胸が触れているのに気付いていないのだろうか……?

 しかし、凛にしていたのと同様、女友達とハグする程度の感覚なのかもしれない……。


「——やっぱり不織布パッドだと、ちょっと固いわね……あたしの胸は柔らかくて気持ちよかったでしょう?」


 和奏が、僕のパッド入りの胸を見ながら聞いてくる。


(やっぱり、胸当たってるの気付いてたし……!)


 そんな気持ちを切り替えるよう、彼女にたずねる。


「……和奏は着替えないの?」

「そうね、あたしも着替えましょう」


 ぱっ、と僕から離れる。

 するとおもむろにセーターへと手を掛ける。腕をクロスさせると、そのまま脱いだ。

 その下のキャミも脱ぎ、彼女の大きな乳房を包む、淡いピンク色のブラジャーが露わになる。

 細やかな刺繍が施されたそのブラジャー。その中の大きなふたつの膨らみ……。

 航汰によれば、たしかバスト91……!!


(——ごくり。)


 思わず、生唾を呑みくだす。


「ちょっ……! なに脱いでるのっ?!」

「なによ、ブラジャーくらいで……女の子同士でしょう?」

「女装だからっっ」

「あんまり気にしないの」


 和奏は気にせず、僕とお揃いのなりきり制服に着替えていく。

 僕に背中を向けると、スウェットパンツを脱いだ。

 ショーツに包まれた綺麗なお尻が見え、慌てて目を逸らす。


 ——ショーツはブラとお揃いの淡いピンクだった。


 スカートを穿き、ブラウスの上にブレザーを着る。


「和奏も準備できたことだし、行こうか?」

「——あ。優、外でちょっと待ってて?」

「ん……? 分かった。玄関前にいるから」


 5分ほど外で待っていると、大きなトートバッグを手に提げた和奏が出てきた。


「さあ。楽しいデートに出発しましょう!」


 口角をあげた彼女が、高らかに宣言した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ