㉟ クリスマス直前のクリスマスデート。風吹く街。『あなたの手で温めて……』
12月18日、日曜日。
クリスマスを翌週に控えた本日。
僕たちのクリスマスウィークイヴデート当日だ。
和奏のマンションで、本日の衣装へと着替える。
本日はクリスマス記念にと、いちばん最初のデートで着た、なりきり制服に身を包んだ。
気合を入れるためにも、和奏からもらったピンクのリップでくちびるを彩る。
鏡を見る。ラメで輝く僕のくちびる。
かつての、女装がバレるかもという心配も、今はない。
「和奏、準備は大丈夫?」
「……ええ。行きましょ」
ポーチを肩に掛ける和奏。
彼女が僕の腕に抱きつく。ぴたりとつく彼女の体。
扉を開ける。
——僕と和奏は、デートの一歩へと踏み出した。
◆◆◆◆
「制服着てデートしてたら補導されないかな……?」
「きっと大丈夫よ。そもそもこれ、ホントの制服じゃないし。それに女子同士なら変な勘繰りされないんじゃないかしら……?」
言ったそばから、腕を組んでくる。
「みんな見てるから、マズいって……」
「ふふっ……平気よ……」
街は翌週に控えた一大イベントに向け湧いている。
そんな中、僕たちにとっては、本番のクリスマスデート。
——ヒュうぅーー……
強く風が吹く。空き缶が転がっていく。
(校舎裏で、和奏に告白した日もこんな風の日だったな……)
彼女の手を見る。手袋をしていない。
「和奏、寒そうだけど、手袋しなくて大丈夫……?」
「あなたの手で温めて……」
和奏が、僕の手を握り、指先を絡めてくる。
遥か昔から、当たり前だったように、恋人繋ぎ。
「僕たちって付き合い始めてから、まだ3ヶ月も経ってないんだよね……」
僕が和奏に告白したのが、10月中旬。
今は12月中旬。
——彼女に告白してから約2ヶ月。
和奏に告白してから1ヶ月ちょっとで、キスどころかエッチまで済ませた僕たち。
永遠に続くかと思われた童貞も、あっという間に卒業し、今では互いの体の虜になってしまっている……。
「期間の長さは関係ないわよ。それに、去年からおたがい意識はしてたんだもの……」
「たしかにね……」
歩幅をぴったり合わせ歩いていく僕たち。
「ねえ、優……きょうは楽しみにしてて?」
「う、うん……?」
和奏の言葉。あいまいな僕の返事。
僕たちはふたり、クリスマスムードに染まる街、肩を寄せ合い進んでいく。




