㉙ 彼女との痴話。マンボウくんのストラップ。『優のほうが……もっと凄いわよね……?』
イケメンデートで空回りし、和奏を怒らせてしまった僕。
しかし、互いに本音を吐露したことで仲直りをし、彼女との初エッチまで果たした。
ようやく童貞を卒業し、爽やかな気持ちで迎えた本日、土曜日。
電車を乗り継ぎ1時間半。僕たちは知り合いに見つからないようにと、遠く、海沿いの水族館へとやってきた。
和奏は、上はサーモンピンクのトップス、下がイエローのロングスカート。トップスの上はベージュのコート。
僕はというと、今日の格好は、上はブラウスカラーのニットセーターに、下はブルーのスキニーパンツ。ライトグレーのダウンを羽織った。
女装ではない、和奏との初めてのデート……!
水族館入り口。
受付で当日券を購入し、館内図付きのパンフレットを受け取る。
「割と、こぢんまりしてるのね……」
和奏がパンフレットを見ながら言う。案内を見る限り、30分もあれば全部周りきれそうだ。
水族館に行きたいと希望した和奏にあわせ、できるだけ人の少ない穴場の場所を選んだ。
「どこから見ましょう?」
「順路が書いてあるから、道なりでいいんじゃない?」
「適当ね……。まぁ、いいわ。行きましょ」
道なりに進むと、マンボウの泳ぐ大きな水槽があった。
ヒレを動かしながら、平べったい体でゆっくり泳いでいる。
マンボウはあまり泳ぎが得意ではないようで、ときどき水槽のガラスにぶつかりそうになっていた。
通路に沿って回っていると、ある水槽の前で和奏が立ち止まる。水槽内には、チンアナゴが3匹揺られていた。しばらく見つめていたものの、ふいに僕の股間へ視線を移す。
「優のほうが……もっと凄いわよね……?」
「わっ、和奏……ッ!」
直接言われると、少し恥ずかしくなった。
チンアナゴの水槽から離れしばらく進むと、別の水槽ガラスにアワビが張り付いている。
そのシルエットに、先日の初エッチではじめて見た彼女のアソコを思い出してしまう。
和奏のはピンク色で綺麗だったな……。
「なに見てるの……? アワビ……?
ねぇ、あたしのほうが綺麗だったでしょ……?」
「……っっ!」
「あとでまた見せてあげるわよ。——もちろん、味見のほうも、ね?」
僕のアソコが先ほどのチンアナゴのようになってしまい、慌てて考えをそらした。
◆◆◆◆
アシカショーを見るため、その待ち時間、おみやげショップに入る。
どうやらマンボウがフィーチャーされているらしく、さまざまな種類があった。
マンボウのぬいぐるみや、クッション、お風呂グッズなんてものまで並んでいる。
「ねえ、このストラップかわいくない?」
和奏が目の前に陳列されていた小さなストラップを手にとる。青と白のツートンカラーに丸い胴体、ふたつのヒレ……。
水族館のマスコットキャラクター『マンボウくん』とPOPが出ていた。
『間もなくアシカショーがはじまります。ご覧になるお客様は……』
「あっ、和奏、ショーはじまるよ」
「ちょっと待って!」
和奏がタタッと向こうに走って1分くらいで戻ってきた。
「お待たせ! 行きましょっ」
和奏がギュッと腕を組んできた。胸が当たる。




