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罰ゲームで黒髪清楚な高嶺の花に告白した僕は、百合だったカノジョに女装させられて秘密の関係になった。  作者: きたみ詩亜


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⑫ 和奏のこだわり。フロントホックじゃ駄目な理由。『後ろ手にホックを留める姿が見たいわ……』

 週末土曜日。和奏と2回目のデートの日がやってきた。

 彼女のタワーマンションまでやってきた僕。インターホンで部屋番号を呼び出し、オートロックを開けてもらう。

 エレベーターに乗り込むと、高速で和奏の自宅がある最上階まで上昇していく。


(それにしても、和奏の家って絶対お金持ちだよな……ご両親は、なにやってる人なんだろう……)


 玄関前。

 チャイムを鳴らす。ほどなくして和奏が出てきた。

 淡いブルーのトップスに、紺のジーンズのカジュアルスタイルな彼女。


「和奏の両親って、何してる人なの?」


 玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。

 廊下を進みながら疑問をぶつける。


「お母さんは専業主婦だけど、お父さんは総合商社に勤めているわ。忙しくて、昔から家にいないことのほうが多かったわね」

「そうなんだ……」


 和奏の部屋に入ると、すでにローテーブル上に着替えが準備されている。


「今日は自分でブラジャー着けてみない?」

「……分かった」


 意を決する僕。

 シャツを脱ぎ、ブラジャーを手にとる。肩から紐をかける。背中に手を回しホックを留めようとするが、やはりなかなかうまくいかない。


「ホックが最難関なんだよね……フロントホックってのじゃ駄目なの?」


 あれなら前で留められるだろう。まだ簡単なはず。


「まあ、そっちでもいいのだけど……あたしは優が、後ろ手にホックを留める姿が見たいわ……」

「分かったよ……」


 よく分からない彼女のこだわり。

 そこからまた苦戦する。


「優、ちょっと見てて」


 和奏のほうを見る。

 彼女が着ているトップスと、キャミソールを脱ぐ。大きな乳房を包む、漆黒のブラジャーが露わになった。


「え……」


(……いや、大丈夫だ! 和奏のブラジャーは前回見てる……)


 そうして気持ちを落ち着ける僕。

 ——しかし。

 彼女が背中に手を回す。すると、そのまま、パチン! とホックをはずした。

 ブラが浮いて、脇から胸が見えそうになる。

  

「ちょっ……! 和奏……!」

「なに驚いてるのよ……、今からホック留めるところを、実演してあげるから」


 クイッと反転して背中を向ける。

 僕に、ホックを留めるやり方を見せてくれる。


「こうするのよ」


 和奏が実演してくれるのを見ながら、僕のブラジャーのホックを留めてみる。

 そのおかげか、無事ひとりでのブラジャー装着に成功した。


 最難関をこなしたあとは、ブラウス、フレアスカートを着る。

 フレアスカートから広がる足。ふたたび生えてきたすね毛などは、和奏に言われて、事前に家で剃ってきた。

 化粧台の前。おそるおそる自分でメイクをする。なかなかうまくいかず試行錯誤し、完成……。

 そして、仕上げにと、ピンクのリップをくちびるにつける。

 

 ——パチパチパチ……


「優、やるじゃない」


 和奏が、きちんと自分で着替えてメイクした僕に向けて拍手を送ってくれる。

 和奏からレクチャーを受けながらだから、相当時間がかかってしまった。しかし、なんとかひとりでできた!

 ……なんだか、自分が女性として成長している気になり、気恥ずかしくなる。

 

 着替えを終え、和奏宅を出る。

 空を見上げると、薄曇り。


「冷えるわね……早くいきましょ」


 2回目のデートへと足を踏み出した。

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