禁忌と禁忌
「ところでさ、結局忌み子ってのは禁忌の魔力の話なんだろうけど、その禁忌の魔力ってなんなの?」
「…確かに貴方のことを信用したけど普通出合って数分の女の子にそれ聞く?」
彼女はそう言って俺を睨んだ。
今後の事を考えるとコミュ力もある程度磨いた方が良さそうだ…
「はぁ… 魔力は鍛えると個人に適応した属性が芽生えるのは知ってる?」
「あれって勝手に芽生えてくるもんなんだ…」
自由に属性選んで鍛えてるものだと思ってた。
「基本は火、水、風、土の四代属性と、そこから派生する属性に目覚めるのが通常よ」
「で、そこから外れた、まさに規格外の属性ってのが禁忌の魔力って訳か」
つまり四代属性以外の「血」っていう属性を鍛えてる俺もある意味で忌み子って訳だな。
「で、私の場合は影属性だから忌み子って訳」
「影属性か… 鍛えればかなり強そうだよな」
影での攻撃や拘束、影に入って移動なんて芸当も出来るのかな?
夜は勿論、場所によっては昼でも戦えるのが強そうだ。
「やっぱり貴方、変わってるわね」
「まぁ俺も「血」の魔術を学んでる真っ最中の狂人だしね」
「…まさか私以上に不気味な禁忌に出会うとは思ってなかったわ」
彼女はふっ、と笑った。多分嘲笑って奴だ。
「お互い禁忌同士、切磋琢磨して世界を救おうな!!」
家に帰った俺はそれはまー怒られた。
勝手に山に入っていただとか、盗賊と勝手に戦っただとか、血塗れで返ってきたことだとか。
しかし一番怒られたのは女の子を連れ帰ってきたことだった。
「それは何処の子!?」
「これ以上女の子を置いておくことは出来ない!」
「元の家に送り返したほうが良いんじゃないの?」
何とか説得してメイドの様な立ち位置で置いてもらうことになったが、まさかここまで反発されるのは想定外だった。
「ごめんなー、嫌な目に合わせちゃって」
温厚な家族だと思ったんだが、どうやら女手はこれ以上必要ないって感じの反応だったな。
「別にいいの。それよりも忌み子だって伝えても嫌な顔されなかったのは嬉しかったわ」
「よくわからないけど文化の違いとかじゃないかな?」
血の魔術書なんて物騒なものが書斎にあったくらいだし。
「ちょっと貴方、ユリと言ったわね?」
俺たちの前に立ちふさがったのは一番上の姉、リリアンだった。
「何か御用ですか?」
「少し特別な魔法が使えるからと言って調子に乗らないことね!私が学校で勉強すれば貴方なんて目じゃないんだから!!」
そういって走り去っていった。
「…まさかの宣戦布告、でしたね」
そうだ、一番上の姐さんは今年で12歳、4月から王都の学校に行くんだった。
この世界はどうやら12歳から20歳まで学校に通うことになっている。
ただし義務教育ではないので学びを受けられる人とそうでない人は分かれているが。
その中でも王都の学校は資金面だけでなく相当な実力じゃないと入学すらできない、いわばエリートの集う場所だ。
「こりゃユリも気を抜いてられないな!!」
「…なんで競う前提なのよ」




