おしまい
「おめでとう、君は生き残った。」
結局残ったのは俺一人だけだった。
確率的にはもう一人くらい残っても良かったのに…
「正直、お前は生き残ると思っていたよ。他の負け組と違って目が違った。覚悟が違った。」
「ありがとう、ございます…」
賞金を受け取り、帰路に就いた。
今日の悲劇を受け入れ、飲み込むのに三日掛かった。
「まさか本当に生きて帰ってくるとは、流石狂人だな」
「ありがとうございます。他では得難い貴重な経験が出来て本当に良かったと思ってます」
あの悲劇を受け入れた後、俺は今回お世話になった兄貴に会いに行った。
「しかし、説教臭くなるがいくら金が欲しいとは言ってもああいう事はやらねぇほうが良いぞ」
「兄貴、というか俺たちがそれを言っちゃおしまいでしょ!」
下っ端が思わず突っ込む。
「お気遣いありがとうございます。ですがまた金が必要になったらお世話になります」
そういって俺はヤの付く屋敷を後にした。
「白波零時、俺ですらビビっちまうほどに恐ろしい狂人だな…」
「今日が約束の日ですが、準備は出来ましたか?」
あれから5年の月日がたった。
「正直な話、準備なんかどれだけしようと足りないし死ぬ覚悟もあんまり出来てないんですよね」
「まぁ常人であれば「これから死にます」って言われても受け入れられないですよねー」
「ですがあなたは既に狂人で、しかも5年も期間があったのだから覚悟はできていますね?」
どちらにせよ後には引けない、仮に今日生き永らえたとしても今更現代社会に復帰できるわけでもないしね。
「…出来ているみたいですね。では最後の一日… まぁ半日程度ですが、楽しんでください。」
「さて、人生最後の日か……」
こんな日に限って目覚めはさわやか、神様からの最後の贈り物だろうか?
「と言っても、未練はあんまりないしやれることも全部やったからなぁ…」
机の周りに目をやる。
そこには山積みの参考書や、必要だと思って取り寄せた数々の機械部品。
この先、一人で世界を救う自信なんてこれっぽっちもなかったが、この積みあがった知識が俺の背中を押してくれる。
どうせ最後になるんだ、日の光を浴びて人生の幕を下ろそう。
そう思って俺は家を出た。
そんな俺が最後に見たのは、暴走するパトカーとあの日、ニュースで見た凶悪犯の顔だった。




