命を賭ける、という意味
深夜、町はずれの廃ビルに8人の負け組が集まっていた。
当たり前な話だが、こんな命を賭ける運ゲーなんかにまともな人間は参加しない。
ちなみに俺は負け組ではなく狂人側の人間だと思いたい。金欠が原因での参加ではあるが。
なんて思っているところに黒服のやばそうな人が現れる。
「ようこそ、人間の屑共。お前たちは負けに負けてここまで来た敗北者の中の敗北者共だ。」
やばいな、これ以上語られたら別の漫画からNGが入って怒られる気がする。
「…全員がそういう訳ではなさそうだが」
今一瞬こっちを見たな。
「さて、お前ら屑にやってもらいたいのは簡単なロシアンルーレットだ。自分の頭に向けて、銃の引き金を引く。生き残ればそれだけで1000万だ。」
アシスタントっぽい人たちが机と銃を並べ始めた。
「弾は4発、2発だけ空砲だ。確率では33%と分が悪い賭けではあるがお前ら人生の負け組が逆転できると考えれば十分すぎるだろう?」
ありがたい。まさか実物の銃が、しかも手に取れるのは知識面としてスゴイアドバンテージだ。
思わず手に取ろうとしたとき、目の前の黒服が付け加えた。
「おっと、動きには気を付けたほうが良いぞ。不審な動きを少しでも取った場合は周りのスナイパーが即座に打ち抜くからな。」
全く気付かなかった。こんなに気配を消しつつ狙えるなんて、これも勉強になった。
気配の消し方も、逆に探る方も絶対練習しておいたほうが良いよなぁ。
「さぁ誰から挑戦するんだ?精々我々を楽しませてくれよ?」
周りのアシっぽい黒服がニヤニヤしながら、一部の奴はカメラを持って撮影している。
我々、かぁ。本当に居るんだな、こういう悪徳代官みたいな奴。
「うぉぉぉぉ、俺はやる、やってやるぞォォォ!!」
俺の隣にいた奴が叫びながら銃を手に取り、そのまま……
「まずは一人、次はどいつだ?」
一拍置いた後、悲鳴が上がる。
気分が悪い、吐き気がこみあげてくる。
でも目は逸らさない。これは、この先切っては切り離せない。
誰も失わずに世界を救うなんて理想論だ、叶う訳がない。
遅かれ早かれ受け入れることになるであろう悲劇をここで体験できたのは彼には悪いが幸運だった。
「次は、俺が行きます…!」
金属がいやに冷たく感じる。これがまるで「死の恐怖だ」と言わんばかりに。
落ち着け、俺はまだ死なない。運命はそう簡単に変わるわけがないんだ。
――本当に信じられるのか?あの女神を。
――女神という確証はあるのか?それは命を張る価値がある事か?
頭によぎる迷いを振り払うため、引き金を引いた。




